スペイン【アンダルシア】の知られざる生活
スペインで一番世界遺産(UNESCO)の多いアンダルシアは、スペインらしい建造物が1番残っていると言われています。 イスラム文化とローマ人の歴史が今も残るところ。 日本からのツアーなどでは、あっとい...
更新日:2020年4月13日
学問の中心として栄えたイスラムの首都。イスラム教やキリスト教、ユダヤ教などの文化が入り交じった街並みは、世界遺産に登録されている。グアダルキビール川沿いにそびえるメスキータは、モスクの要素を強く残したまま、カテドラルが内部に造られた、アンダルシアでも珍しい状態の建築。世界遺産に登録されている旧市街は入り組んだ路地が続く。絶好の撮影スポット、ユダヤ人街の「花の小道」はもちろん、街歩きを存分に楽しもう。
イスラムとユダヤの薫り漂う路地の白壁を花々が彩る
by fotolia - ©LUC KOHNEN
グアダルキビール川に架かるローマ橋。向こうには堂々たる姿のメスキータ
ユダヤ人街は、細い路地に花の鉢が飾られるかわいい通り
紀元前にローマ帝国によって建設されたコルドバは、10世紀、西カリフ帝国(後ウマイヤ朝)の時代に全盛期を迎える。当時の人口は100万近くに達したともいわれ、市内には300ものイスラム寺院があったという。寺院の学問を学ぶ場で文献が翻訳され、多くの知識人が輩出した。
1236年、フェルナンド3世によってコルドバは征服され、イスラム勢力は駆遂されたが、8世紀建造のメスキータを中心とする旧市街にはイスラム風建築や迷路のような路地が多く、当時の繁栄ぶりがうかがえる。
1984年にメスキータが、1994年には旧市街が「コルドバ歴史地区」として世界遺産に登録された。
コルドバ空港には定期運航便がなく、アクセスはセビーリャのサン・パブロ空港か、グラナダのフェデリコ・ガルシア・ロルカ空港を利用。ともにマドリード、バルセロナ便があり、フライトの所要時間はセビーリャへマドリードから約1時間、バルセロナから約1時間35分、グラナダへマドリードから約1時間5分、バルセロナから約1時間25分。
マドリードのAtocha アトーチャ駅からAVE、ALVIA、ALTARIAで約1時間45分〜2時間で、Córdoba コルドバ駅へ。1日22〜28便運行。駅からメスキータまでは駅前のバス停からⒷ3番で20分(Triunfoトリウンフォ下車)。
マドリードの南バスターミナルから約4時間50分でコルドバのバスターミナルへ。1日6〜7便が運行。メスキータまでは駅前のバス停からⒷ3番で約20分(Triunfoトリウンフォ下車)。
おもな観光スポットは旧市街内にある。旧市街は一方通行の道が多いので、徒歩でまわるのがおすすめ。コルドバ駅から旧市街へは徒歩約20分。メスキータの全景を眺める場合は、グアダルキビール川のローマ橋へ向かおう。観光馬車もあり主要な観光スポットを30〜40分でまわる。観光バスはミニバスで旧市街中心にまわるコースと、通常のバスで広い範囲の観光地をまわるコースがある。
Pl. del Triunfo, s/n(メスキータ前)
957-355179
9:00〜19:30(土・日曜、祝日は9:30〜15:00)
無休
文化の混在する巨大モスク見どころは1000本の列柱 世界遺産
後ウマイヤ朝を開いたアブド・アッラフマーン1世によって785年に建設が始められ、その後増築が重ねられたモスク。中に入ると、馬蹄形のアーチが続く光景に圧倒される。13世紀にキリスト教聖堂に転用、16世紀には内部にカテドラルが建立され、現在のような複雑な構造になった。ミナレットや「オレンジの中庭」は無料で見学自由。最大の見どころは、かつては1000本以上の円柱が並んでいたという「円柱の森」と呼ばれる、内部の広大な空間だ。
「免罪の門」の横にそびえるイスラム寺院の尖塔。現在の塔は、16世紀後半から17世紀にかけて建てられたもの。
ミナレットは「免罪の門」のすぐ脇にそびえる
礼拝者たちは中庭の池で沐浴し、身を清めていた。現在では市民や観光客の憩いの場となっている。
オレンジの中庭は無料で見学できる
内部には約850本もの円柱が林立する。赤レンガと白い石を組み合わせた、馬蹄形の二重のアーチで天井を支えている。
神秘的な空間はイスラム建築の最高傑作
キリスト教徒によって増築された部分。円形の天井部は内部に光が差し込む構造になっている。
レコンキスタ完了後に改装された空間
キリスト教徒によって増築された部分。円形の天井部は内部に光が差し込む構造になっている。
ドーム型の天井。細部まで装飾が見事だ
「ミフラブ」とは聖地メッカを指し示す目印。この方向を向いて祈りを捧げる。「マクスラ」はミフラブを強調する空間。
マクスラ。宗教の垣根を超えた美しい空間
ミフラブにはコーランの一節が刻まれている。当時の技術が凝縮された精緻な細工
白壁に飾られた花々を見ながら歩きたい 世界遺産
メスキータ北西の、白壁の家と路地が続くエリア。カトリック両王による追放令が出されるまで、多くのユダヤ人が住んでいた。現在その一部はレストランやみやげ物店に姿を変えており、シナゴーグ(ユダヤ人教会)もある。花々に彩られた「花の小路」をぜひ歩きたい。
メスキータ周辺に並ぶみやげ物店
レストランやバルも集中している。食事どきになるといっそう賑わう
「花の小路」から見たメスキータのミナレット
レコンキスタ時代の王の宮殿 世界遺産
アルフォンソ11世の命により、1328年に改修されたキリスト教時代の王の宮殿。15世紀末には要塞城として使われ、コロンブスが王に謁見した城としても有名。中の博物館には、ローマ時代のモザイク画や大理石の棺などが置かれている。
イスラムの影響を受けた美しい庭園
グラナダのイスラム勢力へ対抗する拠点として使われた
メスキータの川向かいイスラム時代の要塞 世界遺産
メスキータの対岸、グアダルキビール川に架かるローマ橋のたもとに建つ要塞。現在はアル・アンダルス博物館として、イスラム支配時代の資料やメスキータの復元模型などを展示している。
塔の屋上からは旧市街が一望できる
仔馬(ポトロ)の像の噴水が目印の広場
『ドン・キホーテ』の作者、セルバンテスゆかりの広場。作中では泥棒の溜まり場として描かれているが、実際は市民の憩いの場となっている。広場内には、みやげ物店とセルバンテスが宿をとった「旅籠屋ポトロ」がある(現在は美術展示館)。
噴水の中に立つ仔馬(ポトロ)の像はコルドバの紋章
美しい12のパティオと庭園のある旧侯爵邸
14世紀に建てられた旧ビアナ侯爵の邸宅。12のパティオはどれもかわいらしく、季節ごとの美しさがある。邸宅内には絵タイルや陶器など豪華なコレクションがあり、ガイドツアーでのみ見学が可能(約1時間)。
コルドバ人のパティオへの情熱を象徴する邸宅
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