スペイン【アンダルシア】の知られざる生活
スペインで一番世界遺産(UNESCO)の多いアンダルシアは、スペインらしい建造物が1番残っていると言われています。 イスラム文化とローマ人の歴史が今も残るところ。 日本からのツアーなどでは、あっとい...
更新日:2020年4月13日
荘厳な聖堂と大河が見守る街はスペイン文化の発祥地
国内第4の規模を誇るアンダルシアの州都で、政治や文化の中心。フラメンコや闘牛の本場として知られる、華やかな観光都市だ。
貿易で栄えたアンダルシアの中心都市
古くからアンダルシアの中心であったセビーリャは、現在もアンダルシア州の州都でスペイン第4の規模を誇る。
その歴史は古く、紀元前のフェニキア人の植民都市に始まり、西ゴート王国やイスラム王朝の都として発展した。1492年のコロンブスによる新大陸到達後、その重要性はさらに増す。アメリカ大陸との貿易を独占する港湾都市となり大いに栄え、16世紀から17世紀にかけてスペインで最も人口の多い都市となった。ベラスケスやムリーリョといった、スペインを代表する画家を輩出する文化の中心地でもあった。
また、セビーリャはフラメンコと闘牛の本場。4月に開催される春祭りの期間中は大いに盛り上がる。
空路
市内中心部から約10㎞東にセビーリャ空港(別名サン・パブロ空港)があり、マドリード、バルセロナからの便が到着する。フライトの所要時間はマドリードから1時間、バルセロナから1時間35分。空港から市内中心部へはタクシーで約20分、バスで約35分かかる。
鉄道
マドリードのAtochaアトーチャ駅からAVE、ALVIAで約2時間30分、セビーリャのSanta Justaサンタ・フスタ駅へ。1日18〜21便運行。駅からカテドラル近くへはⒷ21番で10分(Puerta de Jerezプエルタ・デ・ヘレス下車)。
バス
マドリードの南バスターミナルから約6時間でセビーリャのアルマス広場バスターミナルへ。1日9〜11便運行。カテドラル近くへは徒歩20分。アンダルシア各地からはプラド・バスターミナルで路面電車に乗り換え、Archivo de Indias アルチボ・デ・インディアで下車。
セビーリャ・カード Sevilla Card
カテドラルやアルカサルなど、セビーリャの主要観光スポットに自由に入れるカード。飲食店やショップでの割引もある。24、48、72、120時間の4種類あり、48時間以上のものは観光バスも利用できる。じっくり観光するならば活用したい。
www.sevillacard.es
ランドマークであるヒラルダの塔からは、街全体を見渡せる
とうとうと流れるグアダルキビール川。アラビア語で「大きい川」の意
市バス、路面電車、地下鉄が運行しているが、ほとんどの観光スポットは徒歩で訪ねることができる。屋根なし2階建ての観光バスは2社が運営しており、黄金の塔やスペイン広場など、主要な観光地近くに乗り場があり、20〜30分間隔で運行。カテドラル周辺には観光用の馬車が客待ちをしているので、これを利用するのもいい。4人乗りで1時間€40程度。
思い出づくりにはぴったりな観光用の馬車
観光案内所
住所 Pl. del Triunfo 1
電話 600-140745
営業時間 9:00〜19:30(土・日曜、祝日は9:30〜15:00)
定休日 無休
by fotolia - ©etfoto
街のどこからも見つけることができるヒラルダの塔を目印に
街の中心部に建つ3つの世界遺産。カテドラルとアルカサルは、キリスト教国により大幅な改造を受けているが、イスラム勢力の強大な権力を今に伝える。スペイン黄金時代の歴史を伝える古文書館も興味深い。
スペイン最大の規模を誇る教会
ローマのサン・ピエトロ大聖堂、ロンドンのセント・ポール大聖堂に次いで、世界第3の規模を持つキリスト教聖堂。「後世の人が正気の沙汰とは思えないというほどのカテドラルを建てよう」と聖堂参事会が決定。イスラム時代のモスクを取り壊して1402年から建設が始まり、約1世紀後の1519年に完成した。奥行116m、幅76m。16〜19世紀に造られた75枚のステンドグラスや聖杯室、コロンブスの墓など見どころは多い。主祭壇右奥からはヒラルダの塔に登ることができる。
世界遺産の荘厳なカテドラル。細部までじっくり見たい
ヒラルダの塔。長いスロープを上って見晴らし台へ
ベンチに座ってじっくりと鑑賞したい
コロンブスの墓 Una Tumba de Colón
1898年のキューバ独立後、ハバナ大聖堂から移された。棺はレオン、カスティーリャ、ナバーラ、アラゴンの4人の歴代国王が担いでいる。
主祭壇 Altar Alto
ひときわ目をひく豪華な装飾は、キリストと聖母マリアの生涯を浮き彫りで表したもの。ゴシック様式木彫の傑作といわれる。
ヒラルダの塔 Una Torre de Giralda
鐘楼部分にある見晴らし台
16世紀、イスラム寺院のミナレットに鐘楼部が増築された。塔の上にある24の鐘が鳴り響く音には圧倒される。風見部分までの高さは96m。
イスラム時代が垣間見えるムデハル様式の美しい宮殿
ローマ時代のアクロポリス、イスラムの要塞などを経て、14世紀後半「残虐王」もしくは「正義王」で知られるペドロ1世によって建築された宮殿。ムデハル様式の繊細な石膏細工や格天井が素晴らしく、世界遺産にも登録されている。
庭園部分にはアラブ風の中庭や噴水、池などが美しく配置されており、涼を演出している
ヤシがそびえるアラブ風のエキゾチックな庭園
アラビア文様の美しいアーチ型の装飾
内部にはあちこちに中庭がある
透かし模様のアーチが多いペドロ1世宮殿
植民地交易の記録など貴重なコレクションが残る
1572年に建てられたルネサンス様式の交易会館。かつてはスペインの植民地であったインディアスとの交易を一括して行なっており、古文書館は1784年に創設された。15世紀の大航海時代の記録やコロンブスの直筆原稿など、貴重な文献を多数所蔵する。
2階が展示室になっている
タイトルに街の名が入った『セビリアの理髪師』をはじめ、多くのオペラの舞台となったセビーリャ。見どころが多い絵になる街は、徒歩で散策するにも手ごろで、馬車でまわるのも面白い。
セビーリャ市民が集う美しい半円形の広場
1929年のイベロ・アメリカ博覧会の会場として、建築家アニバル・ゴンサレスによって造られた。広場はレンガとタイルを組み合わせた半円形で、スペイン各県の特徴や歴史を描いたタイル画のベンチがある。噴水池ではボート遊びも楽しめる。
『スターウォーズ エピソード2 クローンの攻撃』のロケ地として使われたことでも知られる
街歩きの途中、大きい広場でひと休み
かつてはユダヤ人街だった入り組んだかわいい旧市街
アルカサルの北側に広がる旧ユダヤ人街。アンダルシア地方の典型的な家々が並び、花をあしらった白壁や鉄柵の奥にのぞく美しい中庭などがあり、歩いているだけでも楽しい。レストランやみやげ物店も点在している。
細い路地にはおみやげ物店が並ぶ
強い日差しに映える白と黄色のコントラストが美しい街並み
カテドラルのヒラルダの塔から望む、サンタ・クルス街
静かにたたずみ街を見守る監視塔
1220年、グアダルキビール川の岸辺の防衛を目的として建てられた。当時は黄金のタイルで覆われていた。
かつては金色に輝いて見えたという
ビゼーの傑作オペラ 『カルメン』にも歌われた
王立のたばこ工場として1757年に建造。現在はセビーリャ大学法学部の校舎として利用されており、開いていれば校舎内は自由に見学できる。『カルメン』をオペラ化する際、ビゼーはこの工場をカルメンの勤め先として選んだ。
ファサードはバロック様式
修道院だった建物はセビーリャ派傑作の宝庫
中世から現代にかけてのスペイン絵画を中心に所蔵しており、セビーリャ派のコレクションが充実している。とくにセビーリャ市民が愛してやまないムリーリョのコレクションは世界一。そのほか、エル・グレコやスルバランなどの重要な作品も展示している。
中庭のアズレージョ、礼拝堂の天井装飾など建物自体も芸術性が高い
スペインの情熱にたっぷりと触れるスポットへ
アンダルシアは、闘牛とフラメンコの発祥の地。そのなかでも随一の大都市セビーリャでは、とくにレベルが高いものに出会うことができる
各地からレベルの高い踊り手が集まるフラメンコの本場で、公演が行なわれるタブラオの数も多い。セビーリャの夜には欠かせない楽しみのひとつだ。
セビーリャにあるマエストランサ闘牛場は、スペインでも有数の歴史をもつ、闘牛の聖地。オフシーズンでも博物館などで闘牛に触れることができる。
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