スペイン【アンダルシア】の知られざる生活
スペインで一番世界遺産(UNESCO)の多いアンダルシアは、スペインらしい建造物が1番残っていると言われています。 イスラム文化とローマ人の歴史が今も残るところ。 日本からのツアーなどでは、あっとい...
更新日:2020年4月13日
ナスル朝(1232〜1492年)の時代にアルハンブラ宮殿は拡張され大いに栄えたが、その中心であったのが王の居城であり、政治の中心でもあったナスル宮殿だ。メスアール宮、コマレス宮、ライオン宮の3つの宮殿からなり、見学はメスアール宮からスタートする。イスラム芸術の極致を堪能したい。
入場時間制限に注意
入口は行列ができていることが多いので、入場時間の10分ほど前には着いておきたい。前の時間帯の行列が終わっていないこともあるので、並び始める前にチケットを係員に見せ、どこに並べばいいか確認しておこう。
訪問者をまず迎え入れる場所
ナスル宮殿の中で、最も古い時代に造られた部分で、キリスト教勢力による征服以前から、たびたび改修が行なわれている。ここまでは宮殿内部でも公の領域に入る場所で装飾もひかえめ。
ナスル宮殿入口で、入場時間がきたら最初に通されるのがここ。王宮に来訪した者の控え室や、閣議が行なわれる場所だったという。キリスト教徒による征服後は礼拝堂として使われた。
上部の木の柵はキリスト教の聖歌隊席があった痕跡
メスアールの間から狭い扉を抜けると出てくるのがここで、細かい装飾が施された南側のファサードは最初の撮影ポイント。このファサードを境界線にして、王族たちの居住空間へと入っていく。かつてはここで行政や裁判が執り行なわれたという。
北側は柱廊とその奥の黄金の間へと続く
コマレス宮へ通じるパティオの南側は、壁一面が細密な装飾で飾られている
メスアールのパティオの北側の部屋で行なわれた政務を書記官が記録した部屋という。木造の天井の装飾が美しい。
もとは金箔が施されていたため、黄金の間という名前になった
王の権力を誇示する
14世紀、ユースフ1世によって造られた。かつては政治の中心となる場所で、王の偉大さを演出するためさまざまな工夫がされている。
宮殿の中心部に位置するコマレス宮にあるのがアラヤネスのパティオ。水面に塔が映るように設計された美しい風景を王たちも愛した。贅沢に水を使った空間もイスラム建築の特徴。アンダルシアの暑い空気に一瞬の涼を呼ぶ。
by fotolia - ©emperorcosar
ナスル宮殿の中心となるのがこの貯水池。高台にある宮殿に大量の水があることは、権力のあかしでもあった
名前は天井が小型の船(バルカ)の船底の形をしていることに由来する。または、アラビア語の「アラバルカ(祝福)」が語源ともいう。
大使の間へ続く控え室だった
コマレス宮のアラヤネスのパティオの奥に位置する。中庭から見た塔の内部には高い天井と、美しい装飾の空間が広がる。静寂がたちこめる空間は、王が謁見する場所で、奥に王座が置かれていた。
宮殿内で最も大きな部屋。かつては奥の窓はステンドグラスになっていたという
王族たちのプライベート空間
ユースフ1世の子、ナスル朝の最盛期を成したムハンマド5世が造った場所。王や王妃たちの居住スペースだった。イスラム文化の精粋ともいえる細やかな装飾は、息をのむ美しさ。
中央にライオンの噴水が配され、かつては花が咲き乱れていた王家専用の空間。諸王の間から獅子のパティオにかけての、アーチ型の柱廊が立ち並ぶ美しい空間はナスル宮殿のクライマックスのひとつ。
水路で4分割された庭園は楽園を象徴する
柱廊が立ち並び、夢のような空間をつくり出す
アベンセラヘス一族が惨殺されたといわれる部屋。水盤に残る赤いしみは血の跡と伝えられる。
天井の中央にはナスル朝の歴代10人の肖像画が描かれている。内部にはいくつかの小部屋があり、王の寝室として使用されていた。
部屋を仕切るアーチの連続が目をひく
獅子のパティオの北側にあり、見どころの多いナスル宮殿内で、最も精密な天井装飾(ムカルナス)が施されている。ハチの巣状の天井が圧巻で、まるで鍾乳洞にいるかのよう。
床の水路と天井に開いた窓は実際の鍾乳洞のように、部屋の空気を冷やす効果があるという
二姉妹の間の奥にある、リンダラハのパティオを望むバルコニー。ハーレムの女性たちの憩いの場所だったという。
アーヴィングを魅了したという、幾何学的にデザインされた植木が美しい。
荒廃したアルハンブラ宮殿に滞在し、その体験をもとに1832年、『アルハンブラ物語』を上梓した作家アーヴィング。現在閉ざされているが、扉の上に名が刻まれているのが、彼が住んだ部屋。
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