バルセロナ弾丸旅行に最適!いいとこどり観光スポット!!
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更新日:2020年4月13日
882年に着工し、翌年、31歳のガウディが2代目主任建築家に就任。没するまで43年間のライフワークとなった。彼の構想では、イエス・キリストの「生誕」「栄光」「受難」を描く3つのファサードを建設し、さらに各ファサードに4本ずつの鐘塔をはじめ、合計18本の塔を建てる予定。現在完成しているのは地下聖堂と後陣、「生誕」「受難」のファサードと8本の鐘塔のみで、今も工事が進められている。なお、工事費用は入場料で賄われているため、拝観することが寄進となる。
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一番人気の撮影スポットがこちら。日が当たる午前中に行くのがおすすめ
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水面に映る姿と相まって幻想的。夜は人通りが少ないので、要注意
高台のグエル公園から見れば、その唐突なスケール感に驚く
Barcelona Casa Mila with La Sagrada Familia, by maltman23, CC BY-SA
はかったように屋上のアーチからのぞく聖堂。カサ・ミラ見学時に探してみて
北側に延びる通りにはカフェが並び、聖堂を眺めながらお茶を楽しめる
◆行列に並ばずに入場できる
時間ごとの人数制限があり、ハイシーズンともなればチケット売り場には長蛇の列ができる。予約をしておけば、大幅に列に並ぶ時間を短縮できる。
◆入場料が割安になる
エレベーター搭乗なし、入場のみのチケットの場合、€3割安になる。当日でもインターネットに接続できるのであれば、購入してから訪れたい。
◆予約方法&注意点
予約はサグラダ・ファミリア聖堂公式HPから。入場とエレベーター搭乗のセット券を購入する場合、最初に訪問する日と枚数、入場時間を選び、次に生誕と受難、どちらの塔のエレベーターにどの時間帯に乗るかを選ぶ。チケットはスマートフォンやタブレットで持参することも可能だが、炎天下で読み取りにくかったり、トラブルが起きがち。印刷したものを持っていくのがおすすめ。
聖堂の東側に位置する「生誕のファサード」。イエス・キリストの誕生から幼少期を表し、その様子は入口上部の数々の彫刻で表現されている。ガウディの生存中に建設された数少ない部分だ。
生命の木 キリスト門上部にある糸杉。葉の緑に白い鳩が映える。頭頂部には十字架
正面から向かって左側はキリストの父、聖ヨセフの門(希望の門)
正面部分はキリストの門(慈悲の門)。扉口のすぐ上にキリスト生誕の彫刻
正面から向かって右側はキリストの母、マリアの門(信仰の門)
聖母マリアの戴冠
天界の女王として迎えられた聖母マリアの戴冠を表現した彫刻群。
受胎告知
受胎告知を描いた彫刻と、その下にはイエスの誕生の際に輝いたとされる「ベツレヘムの星」の彫刻がある。
楽器を奏でる6人の天使像
右上から時計回りにハープ、タンバリン、ドゥルサイナ(カタルーニャの民族楽器で管楽器)、左上から時計回りにファゴット、シター、ヴァイオリン。ハープとファゴットが宗教音楽を、ヴァイオリンとシターが古典音楽を、タンバリンとドゥルサイナはカタルーニャの民族音楽を象徴している。
東方の三博士
中央のキリスト門の一部にしつらえられている。イエス生誕に際し祝福を与えた三博士。
キリスト生誕
聖家族の彫刻。母マリアと父ヨセフに見守られる誕生間もないイエス。
聖堂の西側に位置する「受難のファサード」。「生誕のファサード」とは対照的に、直線的でシンプルな門だ。最後の晩餐から死までの受難を表しており、左下の彫刻からS字を描いて物語が進む。中央には磔にされたイエスの彫刻がある。
昇天するイエス 昇天したイエスが天上から見下ろす。これで一連の物語の完結。
最後の晩餐
イエスが捕らえられる前日の晩餐。裏切り者、ユダも同席。
ユダの裏切り
イエスに接吻することで誰がイエスであるかを知らせた。
鞭で打たれるイエス
入口に置かれた、柱に縛り付けられ、鞭で打たれるイエスの姿。
ペテロの否認
ペテロがイエスを知っていることを3回否認した逸話を、後ろに立つ3人の人物で表現。
捕らえられたイエス
捕らえられ、イバラの冠をつけたイエスとポンティウス・ピラトゥス。背後には兜を身につけた兵士がいる。
ロンギヌス
十字架にかけられたイエスを突き刺したとされるロンギヌスとその槍。
ヴェロニカ
イエスの顔が写った布を掲げるヴェロニカ(中央)。左は磔刑場に向かうイエス、右は十字架を担いだシモン。
3人のマリアとキレネの人シモン
倒れたイエスと、十字架を担ごうとするシモン、3人のマリア。
賭博をするローマ兵
処刑されるイエスの衣服を賭けてサイコロ遊びをするローマ兵たち。
キリストの磔刑
キリスト教の信仰のシンボルである磔にされたイエスと、悲しむマリア。足元の頭蓋骨がイエスの死を意味する。
イエスの埋葬
イエスの亡骸を埋葬する弟子たちの様子。
外観の迫力もさることながら、内部はまた違った魅力に満ちている。
ガウディの意図を表現する光のステンドグラス
聖堂内部は無数の石の彫刻と柱が複雑に入り組み、近未来空間に迷い込んだかのよう。ガウディはさらに光を操ることに長け、色ガラスや無色、くもりガラスを使い分けている。
by fotolia - © bal
自然界から多くの発想を得たガウディらしい、生命体的な内装
ファサードのステンドグラス
柱の上部に付けられた絵は、4人の福音史家を表す。
ルカ
マタイ
マルコ
ヨハネ
周囲の建物よりひときわ高い聖堂に上れば、大パノラマが待っている。
エレベーターで塔の上へ塔の意匠も見逃さずに
受難、生誕のファサードともに、エレベーターで上りらせん階段で下りる。エレベーター搭乗には予約が必要で、聖堂入場券と併せて購入する。大きな荷物は持ち込めないので、そばにあるロッカーへ。6歳以下と階段使用に支障がある人は入場不可、16歳以下は同伴必須なので注意。
決められた時間の前に、エレベーターの場所を確認
貝殻のようならせん階段。ガウディらしく、生物の曲線を取り入れたもの。どちらの塔も下りは階段のみ
IMG_0453, by jash_breit, CC BY-ND
狭い通路を下っていく
View of Barcelona from Sagrada Familia, by zcamerino, CC BY
どちらの塔も眺めは抜群だが、強いていえば午前は受難、午後は生誕の塔が太陽が逆光にならないためおすすめ。
聖堂について詳しく学んでおけば、目にしたときの感慨も奥深くなるはず。数多いトリビアの一部を紹介しよう。
彫刻家の外尾悦郎氏が、サグラダ・ファミリア聖堂の専任彫刻家として活躍している。1978年から40年近く、現在では最も長く建築に携わり、全体を主導する立場となっている。生誕のファサードの天使像や塔の上を飾る果物などが、彼の手によるもの。
間近で見られる外尾氏の作品は、2015年に完成した生誕の門
聖堂を眺めていると、あちこちで生き物の彫刻が目に入る。変わらないものを象徴する亀など、それぞれが意味を持つので、探してみるのも面白い。上記の外尾氏作の生誕の門にもテントウ虫やカマキリなどが潜んでいる。
生誕の門を支える柱の下に置かれた亀は、変わらないものの象徴。柱は雨樋にもなっていて、雨の日には口から水が出てくる
生誕のファサードの脇には、変化するものの象徴として、カメレオンの彫刻が施されている
塔や入口の扉に刻まれた文字は、聖書の一節や神とイエスを讃える言葉。シンボリックな頭文字や魔方陣も各所に見られる。現在建設中の栄光のファサードの扉には、日本の漫画家・井上雄彦氏による「我らを悪より救い給え」の手書き文字が刻まれている。
入口の扉に刻まれた文字は、さまざまな言語で書かれた聖書の一節。なかには日本語の箇所もある
16マスの魔方陣は、縦、横、斜め、どこを足してもキリストが処刑された年齢である33となる
塔にあしらわれた「Sanctus」という文字は「聖なるかな」を意味するラテン語
かつては21世紀中に終わるか危ぶまれていた完成が大幅に早まったのは、人気観光地となり入場料収入が多くなったから。もうひとつの大きな要因がIT技術の進化。これまで手作りだった設計用模型を、3Dプリンターで作ることで工期が半減したという。
地下で見られる工房にはたくさんの模型が並んでいる
聖堂の22.5mの高さまではまだ成熟していない世界、高さ40mは魂が成熟した成人の世界、高さ60m以上は魂をはるかに超えた聖人の世界を表し、天上界は鮮やかな色彩で表現されている。外尾悦郎氏が手がけた生誕のファサードの扉のみ、ガウディの意向により彩色されている。
塔の先端を飾るたくさんの色鮮やかな果物
聖堂のさまざまな寸法が人の1歩分にあたる75cmの倍数で作られている。ほかにも生誕のファサードの彫刻の数や柱の数は、聖家族を表す3の倍数で成り立っているなど、あらゆるものが明快な数字でできているという。
生誕のファサードの『合唱する9人の子供たち』の3×3の数などが一例
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