641623

まっぷるマガジン編集部

更新日:2020年4月13日

ウィーン ハプスブルク家の居城【ホーフブルク王宮】

ハプスブルク帝国の都であったウィーンには歴代皇帝が暮らした王宮ホーフブルク、夏の離宮のシェーンブルン宮殿と、王家の生活を今に伝える壮麗な建築が残る。華やかな歴史の舞台を訪ねてみよう。

偉大なるハプスブルク家の居城 ホーフブルク(王宮)Hofburg

帝国の隆盛を物語る王宮
600年以上の長きにわたり、ハプスブルク家の歴代皇帝が居城としてきた王宮。建築の開始は13世紀にさかのぼり、帝国の発展とともに増改築が繰り返されてきた。そのため、バロック様式やルネサンス様式など、さまざまな時代の建築様式が入り交じり、複雑な構造となっている。
20世紀初めには新王宮が建てられ、さらに規模を拡大する計画であったが、完成を待たずして帝国は崩壊した。建物の一部は博物館として公開され、帝国の歴史や豪華絢爛たる宮廷の生活を垣間見ることができる。

ホーフブルク(王宮)1日鑑賞プラン
旧王宮 見学時間●90分
↓ 徒歩2分
フォルクス庭園 見学時間●20分
↓ 徒歩5分
新王宮 見学時間●60分
↓ 徒歩5分
スイス宮 見学時間●60分
↓ 徒歩2分
国立図書館(プルンクザール) 見学時間●15分
↓ 徒歩3分
アウグスティナー教会 見学時間●20分
↓ 徒歩3分
アルベルティーナ 見学時間●60分

華麗な宮廷生活を今に伝える 旧王宮 Alte Burg

旧王宮(ウィーン)

現地名:
Alte Burg
TEL:
01-533-7570
営業時間:
9:00~17:00(閉館は17:30)、7・8月は~17:30(閉館は18:00)※チケット販売は閉館の1時間前まで
定休日:
無休 

ウィーン市民の憩いの場 フォルクス庭園 Volksgarten

1823年に造られた庭園。純白のエリザベート像や約5000本のバラが咲くバラ園がある。

651154

フォルクス庭園

現地名:
Volksgarten
営業時間:
6:00~22:00(12~3月は6:30~)
定休日:
無休 

帝国終焉を目前に造営された宮殿 新王宮 Neue Burg

1881〜1913年にかけて、リンク通りを設計したカール・フォン・ハゼナウアーとゴットフリード・センペルにより王宮が新設された。1938年には、新王宮のテラスでヒトラーがドイツ・オーストリア連合を宣言した。パピルス博物館を有する国立国会図書館のほか、中世武器博物館、古楽器博物館、エフェソス博物館と、左翼には民俗学博物館がある。

664262

オイゲン公の騎馬像を囲むように弓形に建つ新王宮

649534

新王宮の内部。ゆるやかなカーブを描く大理石造りの美しい廊下

640303

精巧な甲冑や武器は芸術的価値も高い(中世武器博物館)

651461

偉大な音楽家が使用した楽器も展示(古楽器博物館)

新王宮

現地名:
Neue Burg
TEL:
01-52524-4502
営業時間:
10:00~17:30(閉館は18:00)
定休日:
月曜 エフェソス博物館は月・火曜
Webサイト:
http://www.khm.at

王宮の礎となった古い宮殿 スイス宮 Schweizerhof

1200年代の建築で、王宮内最古といわれる。スイス宮の名前は、かつてマリア・テレジアの時代に、王宮警備をしていたスイス人傭兵が宿営していたことから。

640457

ルネサンス様式のスイス門。堀に架かる跳ね橋だった名残が見られる

スイス宮

現地名:
Schweizerhof
営業時間:
王宮礼拝堂は月・火曜10:00~14:00、金曜11:00~13:00(9/15~6/30の日曜のミサにはウィーン少年合唱団の合唱あり)、王宮宝物館は9:00~17:30
定休日:
王宮礼拝堂は水・木・土曜、7・8月、王宮宝物館は火曜 
Webサイト:
http://www.hofburgkapelle.at

世界で最も古い図書館 国立図書館(プルンクザール) Österreichische Nationalbibliothek Prunksaal

18世紀前半に建てられた宮廷の書庫を、帝国解体後に国立図書館として一般公開。金の装飾や大理石を使った空間が奥行80m、高さ20mにわたって広がる。

640165

「知の小宇宙」と呼ばれ、膨大な蔵書を誇る

国立図書館(プルンクザール)

現地名:
Österreichische Nationalbibliothek Prunksaal
住所:
Josefplatz 1
地図を見る »
アクセス:
地下鉄3号線Herrengasseヘレンガッセ駅から徒歩5分
TEL:
01-534-1039-4
営業時間:
10:00~18:00(木曜は~21:00)
定休日:
月曜 
Webサイト:
http://www.onb.ac.at

ハプスブルク家の婚礼の場 アウグスティナー教会 Augustinerkirche

アウグスティナー教会

現地名:
Augustinerkirche
住所:
Augustinerstraße 3
地図を見る »
アクセス:
地下鉄1・3号線Stephansplatzシュテファンスプラッツ駅から徒歩6分
TEL:
01-533-7099
営業時間:
8:00~17:00
定休日:
無休 
Webサイト:
http://www.augustiner.at

膨大な美術コレクションを展示 アルベルティーナ Albertina

アルベルティーナ

現地名:
Albertina
住所:
Albertinaplatz 1
地図を見る »
アクセス:
地下鉄1・2・4号線Karlsplatzカールスプラッツ駅から徒歩5分
TEL:
01-534-830
営業時間:
10:00~18:00(水曜は~21:00)
定休日:
無休 
Webサイト:
http://www.albertina.at

ホーフブルク(王宮)

現地名:
Hofburg
住所:
Hofburg
地図を見る »
アクセス:
地下鉄3号線Herrengasseヘレンガッセ駅から徒歩3分
営業時間:
9:00~17:30(チケット発売~17:00)、7・8月は~18:00(チケット発売~17:30)
定休日:
無休 
Webサイト:
http://www.hofburg-wien.at

ホーフブルク(王宮)旧王宮の必見スポットを巡る

旧王宮は、歴代皇帝が日常生活を送り、執務を行なった重要な場所。16世紀に建てられたアマリア宮はロココ様式の漆喰装飾が美しく、その後17世紀にバロック様式のレオポルト宮、18世紀に宰相宮、19世紀にミヒャエル宮が加えられ、現在のような姿となった。

654920

旧王宮の入口、ミヒャエル広場には馬車が行き交う

旧王宮(ウィーン)

現地名:
Alte Burg
TEL:
01-533-7570
営業時間:
9:00~17:00(閉館は17:30)、7・8月は~17:30(閉館は18:00)※チケット販売は閉館の1時間前まで
定休日:
無休 

華やかな生活を物語るコレクション シシィ博物館 Sisi Museum

シシィの愛称で親しまれた皇妃エリザベートの愛用品や肖像画を紹介。結婚前夜の衣装やハンガリー女王戴冠式で着用したドレス、旅行に携帯した品々など展示品は多岐にわたり、少女時代から晩年にいたるまでの彼女の人生がうかがえる。皇帝がシシィにひと目惚れした運命の出会いから暗殺まで、帝国の凋落の時代と符合する。

643039

1 デスマスク Totenmaske der Kaiserin

1898年9月、世界一の美女と謳われた数奇な運命の皇妃は、その波乱の生涯を閉じた。南バイエルンに伝わる『死の輪踊』が人生と重なる。

642956

ジュネーブの湖畔で最期を迎えた孤高の皇妃

2 シシィ神話 Sisi Mythologie

姑との確執で宮廷になじめなかった皇妃。生前は国民からの評判は今ひとつだったが、暗殺から一転、永遠の悲劇のヒロインに。

642827

女、妻、母、そして皇妃としてさまよう

3 少女時代 Girlhood

少女時代。ブランコに乗るプリンセス・シシィ。ランゲンファス教授による展示コンセプト。

643091

湖畔の別荘で自由に過ごした

643198

7歳のエリザベート像。アントン・ドミニク・フェルンコルン作、1843年

4 宮廷生活 Hofleben

故郷のバイエルンからドナウ川を下ってお輿入れした16歳の少女を待ち受けていたのは、政治の実権も握っていた姑との確執。窮屈なお妃教育のみならず、生まれた子供も取り上げられて、うつ状態に陥ってしまう。

641340

ミュンヘンで行なわれた婚礼前夜のパーティで着用したドレス。オーガンジーとシルク地に、トルコ風紋様の緑と金色の刺繍がかわいさと高貴さを表現

5 逃避 Flucht

皇太子を失くしたあとは、あてのない旅を繰り返した。シェーンブルン宮殿近くの専用駅から列車で旅立った。皇太子ルドルフの死後、エリザベートは喪服しか身につけなくなり、その姿は大陸を移動する黒いカモメのようだったという。

641357

緑で統一されたお召し列車

655613

宮殿から離れている期間が長いため、手紙を書く道具が、ぎっしりと詰まっている

6 暗殺 Attentat

ジュネーブを訪問中の皇妃は、レマン湖畔で乗船間際にアナーキストに胸を刺されて亡くなる。悲報はその日のうちに、皇帝に届いた。

643255

皇妃の心臓をひと突きした鋭いヤスリ

シシィ博物館

現地名:
Sisi Museum

帝国最後の皇帝と皇妃の暮らし 皇帝居館 Kaiserappartements

皇帝フランツ・ヨーゼフ1世と皇妃エリザベートが居住した部分。宰相宮には皇帝の居室や執務室、謁見の間などがあり、隣接するアマリア宮には皇妃のプライベートな部屋がある。宮廷を留守にすることの多かった皇妃を想い肖像画を掲げた皇帝フランツ・ヨーゼフや、美貌を保つ秘訣が垣間見られる皇妃シシィの暮らしぶりを拝見。

641978

7 控えの間 Wartezimmer

歴史的出来事や日常生活が描かれた豪華な壁画がある。帝国内の住民は誰でも謁見を申請でき指定の期日に出廷。

641612

謁見を待つ人々の民族衣装やユニフォーム

8 謁見の間 Thronsaal

皇帝はここで1日に100人前後と面会したが、訪れた人の顔と名前は忘れなかったという。

641623

週に2回の謁見が行なわれた

9 会議室 Tagungsraum

「ミニスター・コンセイユ」と呼ばれた大臣会議が開かれた部屋で、皇帝が議長を務めた。

10 執務室 Büro

皇帝が一日の大半を過ごした場所。無数の書類に目を通して、日々の激務をこなしていた。

641602

皇帝は毎朝5時から執務を始めた

11 寝室 Schlafzimmer

皇帝の入浴のために毎日ゴム製のバスタブが運び込まれた。

641348

鉄製のベッドが置かれている

12 居間兼寝室 Wohn-und Schlafzimmer

もともとは皇帝夫妻の寝室だったが、エリザベートの要望により彼女専用の寝室となった。

641387

美しい姿勢を保つために枕ははずした

13 化粧室兼体操室 Fitnessraum und Ankleideraum

エリザベート皇妃の化粧室兼体操室の簡単な体操器具。体操ホールには本格的な体操のための器機が備えられていた。

641633

吊り輪などの器具が置かれている

14 大サロン Großer Salon

来客と接するレセプションに使われたが、皇妃が王宮に滞在するときは皇帝夫妻の朝食の間となった。

641370

エリザベート好みの調度品がそろえられている

641918

大理石像はギリシャ神話のミューズ・ポリヒムニアに擬したナポレオンの妹エリーザ・ボナパルテ。アントニオ・カノヴァ作

15 赤いサロン Roter Salon

18世紀にパリの工房で制作されたゴブラン織のタペストリーは、フランス王ルイ16世から義兄のヨーゼフ2世に贈られたもの。ウィーン会議中、ロシア皇帝アレクサンドルが暮らしていた。

16 ディナールーム Dinner room

皇帝一家のディナールーム。フランツ・ヨーゼフ皇帝時代のディナーセットが並ぶ。

641687

通常9~13品の料理が供された

皇帝居館

現地名:
Kaiserappartements

宮廷の食卓を華やかに飾った銀器 銀器・食卓調度コレクション Silberkammer

宮廷で使用された膨大な数の食卓調度品を展示。緻密な装飾を施したきらびやかな銀器や金器のほか、ルイ15世がマリア・テレジアに贈った磁器セット、長さ30mを超えるミラノ製センターピースなどにも目を奪われる。

644038

結婚式用に特別に作られたデザートセットや、女帝へ贈られた食器などがある

655853

優美な曲線を描き、繊細な装飾が施されたティーカップ

644030

シシィ愛用のアヒルのガラ搾り器

644069

晩餐会を飾りたてたセンターピース

銀器・食卓調度コレクション

現地名:
Silberkammer

観光情報を観光地ごとに紹介する雑誌スタイルの旅行ガイドブック「まっぷるマガジン」。その取材スタッフや編集者が足で集めた「遊ぶ」「食べる」「買う」「見る」「泊る」のおすすめ情報をご紹介しています。

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

この記事のタグ