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まっぷるマガジン編集部

更新日:2020年4月13日

オーストラリア先住民アボリジナルについて知ろう!神話とアートの世界

天地創造の神話、ドリーム・タイムとともに生活を営んできたアボリジナル。独特の世界観は音楽や絵画などのアートで伝承されてきた。

アボリジナルとは

ラテン語で「原初からの(ab-origine)」を意味するアボリジナル。およそ6万年ほど前に祖先がオーストラリア大陸に住むようになり、古代から大地と共生する生活を営んできた。以後数千年にわたり、狩猟・採集による生活を続けている。

部族単位で生活をしており、その種は500以上、言語も200以上に分類される。地域ごとにまったく違う生活習慣を持っており、内陸部(アウトバック)に住むアボリジナルは遊牧民として暮らしているが、平地や山中には集落を持つアボリジナルもいる。

共通するのは文字を持たず絵や音で伝承を行なうこと、アルコールのないこと、狩猟民族であること、生まれたときから結婚相手が決まっていること、そしてドリーム・タイムという天地創造の神話の概念を持つことなど。

最盛期、アボリジナルは全土に25万〜30万人が暮らしていた。イギリスの植民地となり、同化政策によって6万人まで減少したが、現在は約46万人にまで増加した。土地の先住権も認められ、北部のアーネムランド、大陸中央部のウルルなどがアボリジナルランド(アボリジナルの居留地)とされている。

ドリーム・タイムの教え

ドリーム・タイムとは天地創造の神話で、アボリジナル社会における重要な宗教的概念となっている。

ここでのドリームは通常の「夢」という意味ではなく「旅をする、生活する」という意味を持ち、人間が旅をすれば足跡が残るように、エネルギーやスピリットも残ると考えられている。残す行為をドリーミングと呼び、ドリーミングが行なわれた時間をドリーム・タイムと呼んでいる。

ドリーム・タイムには暗黒の「始まりの時代」、天地創世の「創造の時代」、そして現在にいたる「伝承の時代」の3つの時代がある。暗黒の世界に大地で眠っていた祖先が現れ、太陽や生物を創造し、世界を人間に託して再び大地へと戻っていった。アボリジナルにとって時間は永続的なもので、「創造の時代」は過去ではなく、今も継続しているものととらえられている。

絵画や儀式によって伝承されているドリーミングのなかには、4万年前から培ってきた知恵や哲学が示されており、狩猟の領域など実用的なことから、あらゆる生命の存在起源、原因、理由まで包括されている。

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壁画や絵画には、ドリーム・タイムのなんらかのストーリーが表現されている

アボリジナル・アート

文字を持たないアボリジナルは、音楽や絵画でドリーム・タイムの世界観、部族の歴史、知識などの教えを伝承してきた。これらはアボリジナル・アートと呼ばれ、壁画、音楽、絵画、クラフトと大きく4つに分類される。

1970年代に入り、アボリジナル・アートの絵画は世界から注目されるようになった。細かい点や線を特徴とする絵は、モダンアートの世界でも評価されている。多文化主義政策のもとで、オーストラリアの文化的遺産として認識されるようになり、アボリジナル・アートを展示する博物館やアート店も多い。アートの制作は生産手段を持たないアボリジナルの経済的自立を支えている。ヒーリングミュージックとして知られる世界最古の楽器ディジュリドゥは、国立公園やディナーショーなどで演奏を聴くことができる。

壁画

オーストラリア各地の洞窟の岩や壁に、ドリーミングを伝承する壁画が残されている。

鉱石や貝殻を原料とする赤、黄、白、黒の4色の塗料が使用され、毛のブラシや木の枝などで岩壁に描かれた。生活風景や伝説をモチーフにした図案が描かれており、描写方法や色使いは民族や時代によって異なる。

約3000年前に登場したX線画は、世界にも類を見ないもので、動物の骨や内臓などをレントゲンで撮影したように描かれている。捕えた動物の食べていい部分、いけない部分の伝承を目的とした。先祖や精霊の姿を表現した、円や渦巻きによる抽象的な絵もある。

オーストラリア北部のカカドゥ国立公園の中にある西アーネムランドの洞窟や岩陰には2万年以上前のものも含む多数の壁画が残されており、人類最古の絵画のひとつとして世界遺産にも登録されている。

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動物の内部をレントゲンで写したかのようなX線画

音楽

アボリジナルは、伝統や神話を歌や踊りでも代々伝承してきた。生活のさまざまなシーンに対応する歌があり、シンボリックな図柄を体に描き、歌と楽器のリズムに合わせてドリーム・タイムなどについて再現する。

アボリジナルの音楽で代表的な楽器が、世界最古の管楽器といわれるディジュリドゥだ。シロアリに中を食い荒らされたユーカリの木を1〜2mに切った楽器で、大地に響く重低音が特徴。ヒーリング効果があるとされ、民族の儀式のほか病気の治療にも使われていた。

ほかにはクラップスティックという、アイロンウッドという重くて堅い木から作られた2本ペアの打楽器がある。狩猟用具であるブーメランも儀式時には打楽器として使用される。

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儀式のなかでディジュリドゥを吹くのはたったひとり。部族のなかで限られた男性のみが許されているといわれる

絵画

ドリーム・タイムのメッセージを伝える絵画は、「点描画」「樹皮画」「X線画」の3つの代表的なスタイルに分類される。円や線など、すべての図案に意味が含まれている。

「点描画」は細かい点で構成される絵画で、中央部の砂漠地帯に住むアボリジナルが水や食料の場所を示すのに幾何学的な模様を地面に描き、地図のように使われてきた。土地の絵を描く行為は、土地の継承権と宗教的権限を承認された者だけに許されている。

「樹皮画」は薄く剥いで乾燥させたユーカリの樹皮に描かれたもの。鳥や動物、精霊などが細かい線で描かれ、線を交差させて陰影をつける手法が使われた。「X線画」は洞窟の岩や壁に描かれた壁画によく見られる 。

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ドットのみで描く点描画は女性の絵とされている。円はキャンプ地や水のありかなどを示している

クラフト

アボリジナル独自のカラフルなモチーフが施された道具類は、芸術性の高いクラフトとしても評価されている。食器・武器・楽器などの種類があり、どれも生活や文化、伝統的儀式に密接して使われてきたものだ。手ごろな大きさのものも多いので、おみやげとしても人気が高い。

木彫容器のクーラモンは長楕円形の皿で、ヤスリで表面を磨いたユーカリの根に伝統的な模様をつけたもの。果実や水、乳児などを運ぶのに使われている。木製のブーメランは狩猟の武器や儀式用の楽器として使われている道具で、1万5000年前のものといわれるブーメランが南オーストラリアで発見されている。ほかには打楽器のクラップスティックや、儀式で女性が踊る際に使われているダンシングボードなどもある。

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ペイントが施されたブーメランはおみやげにも最適

Alice Springs Desert Park – Bush Tucker display

大小さまざまなクーラモン。自然採取した植物や木の実などは、食料のほか病気の治療薬にもなる

アボリジナルの文化に触れる施設&ツアー

・ウルル-カタ・ジュタ国立公園 Uluru – Kata Tjuta National Park

・レインフォレステーション Rainforestation

・ジャプカイ・アボリジナル・カルチュラル・パーク Tjapukai Aboriginal Cultural Park

・タリ・ウィル Tali Wiru
催行会社 エアーズ・ロック・リゾート Ayers Rock Resort

・どきどきジャプカイディナーショー
催行会社 どきどきツアーズ Doki Doki Tours

アボリジナル・アートはここでゲット

アボリジナル・アート・ギャラリー Aboriginal Art Galleries
アボリジナル・アートの専門店。絵画が充実しているほか、スカーフなどのアイテムも

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ベスト・リアル・オーストラリアン Best Real Australian
オーストラリアのおみやげが幅広く手に入る。アボリジナル・アート商品も充実

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オーストラリアン・ジオグラフィック Australian Geographic
オーストラリアの自然をコンセプトにセレクトされたユニークなアイテムが充実

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奥付:
この記事の出展元は「トラベルデイズ オーストラリア」です。掲載している情報は、2015年7〜9月の取材・調査によるものです。掲載している情報、商品、料理、宿泊料金などに関しては、取材および調査時のもので、実際に旅行される際には変更されている場合があります。 最新の情報は、現地の観光案内所などでご確認ください。

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

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