永遠の都イタリアローマ観光で外せないスポット7選
イタリアのローマは「永遠の都」と表現される美しい街。世界中の観光客が訪れるローマは街の至る所に古代ローマ時代から様々な年代の史跡が残されています。初めてローマを訪れる方はどこから訪ねるべきか迷ってしま...
更新日:2020年4月13日
古代ローマ時代の力強い彫刻や、ルネサンス期の繊細で優美な絵画など。ローマにはヴァチカン美術館をはじめ、貴重な美術品が目白押し。しっかりとプランを立てて、1つでも多く鑑賞したい。
悠久の歴史を展示物で語る美術館
古代、ゴシック、ルネサンス、バロックと、ローマには何千年という歴史の流れとともに歩んだ人間の知と美が存在する。まさに都市全体が美術館といわれるように燦然と輝く。
偉人たちの足跡が追える博物館
かつての教皇の別荘や詩人の家など、イタリアの歴史のなかに生きた人々の暮らしを知る。
歴代教皇が居住したヴァチカン宮殿。ルネサンス隆盛の16世紀、ユリウス2世の時代に美術館としての基礎ができ、18世紀に一般公開を開始。その間、増改築を繰り返し複雑に入り組んだ宮殿は、別名「美の迷宮」ともいわれる。展示面積4万2000㎡、展示コースの総延長は7kmに及ぶ広大な美術館。内部は大小24の美術館、ギャラリーに分かれ、作品は年代別、テーマ別に展示されている。それらの収蔵品は、歴代教皇たちがイタリア芸術を国外に流出しないようにとコレクションしたものだ。とくにミケランジェロやラファエロ、ダ・ヴィンチなどの作品は感動を与えてくれる。
サン・ピエトロ大聖堂から直接は行けない。いったん外に出て入館する
ルネサンス期の絵画も多く所蔵。時代順に鑑賞できる
入口(1階)
近くに立派な門もあるが、それは出口で、本当の入口は見た目に地味なので注意したい。
出口
貸し出しカウンター
日本語オーディオガイド(€7)は、パスポートを預けて借りることができる。
八角形の中庭
八角形をした中庭では、アポロ、ヘルメスなどの彫刻が見られる。2世紀頃、ローマ帝国時代にギリシャ時代のものを模したもの。
ピーニャの中庭
ブロンズ製の大きな松ぼっくりが置かれ、この庭のシンボルとなっている。
大聖堂への抜け道
システィ−ナ礼拝堂の左の出口は図書館へ、右は大聖堂への抜け道になっている。専属ガイド同行時のみ利用できる。
らせん階段
華麗ならせん階段。ジュゼッペ・モモの設計によるもの。
ミュージアムショップ
ショップは館内各所にあるが、出口にあるショップが広くて充実している。ヴァチカン美術館ならではのオリジナル商品もたくさんある。
絵画の栞はたくさん買っても運びやすいのでおみやげに
名画のノートも種類が豊富
『天地創造』のマグカップで朝のコーヒーを
年代、ジャンルともに幅広い収蔵品は、基本的にカテゴリー別の展示。
古代オリエント
紀元前のエジプト美術を中心に集められた。彫像、石碑、レリーフがある。エジプト博物館ほか
古典古代
古代ローマ時代に制作された見事な彫刻などが展示されている。ピオ・クレメンティーノ美術館ほか
エトルリアの出土品
紀元前にイタリア中部で栄えたエトルリア文明の発掘品を展示。エトルリア美術館ほか
3〜14世紀のキリスト教と中世芸術
キリスト教美術からビザンチン、ロマネスク、ゴシック美術を展示している。絵画館ほか
15〜19世紀の絵画
ラファエロ、ミケランジェロを筆頭にルネサンスの巨匠たちの作品などを展示。絵画館、システィーナ礼拝堂ほか
民俗学と歴史
世界の民族美術や歴史資料など、教皇たちが集めていたものを展示している。馬車博物館ほか
20世紀の現代美術
パウロ6世によって集められた現代宗教美術の数々が展示されている。現代宗教美術コレクションほか
中庭を散策しながら美術館やギャラリーを巡るのも楽しい。なかでも、ピオ・クレメンティ−ノ美術館とシスティーナ礼拝堂は見逃せない。
【展示カテゴリー】
古代オリエント、古典古代、3〜14世紀のキリスト教と中世芸術、15〜19世紀の絵画、民俗学と歴史、20世紀の現代美術
リッピ(3室)、ダ・ヴィンチ、ラファエロ(8〜9室)の名画が観られる。15部屋で構成され、11〜19世紀の絵画やタペストリーが年代順に展示されている。
キリストの変容 (Trasfigurazione) ラファエロ[1520年]
イエス・キリストが神の子であることを示した場面と、悪魔に取り憑かれた子供に奇跡を起こすという2つの場面からなる。ラファエロ最晩年の作品。
まさにイタリア絵画の宝庫だ
14世紀前半、サン・ピエトロ寺院の祭壇画。ジョット作
クレメンス14世のコレクション。古代ローマの逸品が揃い、イタリアでも屈指。後期ルネサンス期の芸術家たちに大きな影響を与えたといわれる。
ラオコーン (Laocoonte)
コロッセオ付近で1506年に発掘された彫刻。古代ローマの貴重な遺産であり、その表現力に圧倒される。
古代の美術作品が数多く並んでいる
1470年後半、教皇シクストゥス4世の命で建設された。1508年、ミケランジェロは天井画の制作に入り4年の歳月をかけて完成。壁画はその約30年後に描かれた。
最後の審判 (Giudizio Universale) ミケランジェロ[1536-41年]
ミケランジェロの最高傑作のひとつといわれ、また絵画界の最高峰といわれる壁画。誰もが深い感動に浸る作品だ。
・審判をするイエス・聖母マリア。表情は憐れみに満ちている・ローマの守護聖人たち・聖バルトロマイの手にはミケランジェロの自画像とされる、哀れな人間の皮・トランペットを吹き鳴らす天使たち・地獄に落ちた者を小舟から追い出す、渡し守のカロン
創世記からノアの方舟までを描いた天井画の迫力は圧巻だ
アダムの創造 (Creazione di Adamo) ミケランジェロ[1536-41年]
天井画の一場面。アダムが神の人さし指に触れ、命を吹き込まれた瞬間。
蔵書は100万冊といわれ、グーテンベルク聖書や貴重な写本があり、世界的にも評価が高い。入室はできないが、閲覧室の「シクストゥスの大広間」の豪華絢爛な内装はぜひ見ておきたい。※入場は要申請
巨大なブロンズ製の松ぼっくりがあるピーニャの中庭。ピーニャとは松ぼっくりの意味で、1〜2世紀の頃、噴水として造られ、大聖堂の前庭にあった。
上階はピオ・クレメンティーノ美術館の鑑賞後に階段を上って訪れる。ハイライトは有名な『アテネの学堂』などが展示されているラファエロの間。ここを過ぎたら階下に降り、システィーナ礼拝堂へと進む。
【展示カテゴリー】
古典古代、エトルリアの出土品、3〜14世紀のキリスト教と中世芸術、15〜19世紀の絵画
以前は回廊だった空間をギャラリーにした。大きな燭台があり、そのため「燭台のギャラリー」といわれる。両脇には古代ローマ時代の美術品が並び、天井画も美しい。部屋自体が見応えのあるギャラリーだ。
豪華な装飾の回廊を歩きながら作品を鑑賞
ラファエロと弟子たちの下絵によるタペストリーが何点かある。ギャラリー空間は、タペストリーの変色を防ぐため、直射日光が入らないように工夫されている。
カテゴリーごとに分けられたギャラリーのひとつ
ユリウス2世が自室の壁画をラファエロに依頼し、1508年に制作開始。画家の没後、1524年に弟子たちが完成させた。4部屋から構成される、これら4つの壁画はラファエロの傑作といわれる。
各部屋にラファエロの傑作がある
フレスコ画による1580年代の地図を廊下の両側に見ることができる。グレゴリウス13世が、当時の天文学者イニャーツィオ・ダンティに下絵を描かせたという。
天井から壁面、細部まで描き込まれた絵画は圧巻(ラファエロの間)
時間に余裕があれば立ち寄りたい
人気の美術館なので、観光客はとても多い。効率良く見学できるようにチケット入手や美術館の見学順路など、前もってしっかり計画しておいたほうがよい。
チケットはネット予約が便利
見学当日にチケットを購入してもよいが、効率良く入館するなら、オンラインで事前に予約することをおすすめする。60日前から予約できる。① HPにアクセス/必要事項を記入して送信。入館料はクレジットカード支払い。手数料€4がかかるので注意。② 確認書を受信/メールで届く確認書をプリントして当日持参する。③ 当日は、予約者専用の窓口で確認書を提示。チケットを受け取る。biglietteriamusei.vatican.va
早朝、または夕方がおすすめ
開館時間は朝9時。有名な美術館なのでつねに見学者は多い。朝の開館前に並んだほうが比較的早く入館でき、ゆっくり鑑賞することができる。または、14時過ぎも見学者の数が少なくなり、閉館までの見学時間も十分とることができる。しかし毎月最終日曜は、入場無料になるのでかなり混雑するため、ひかえたほうが無難だ。また、休館日の前日と翌日はやはり見学者が多いので、スケジュールを立てるときに注意したい。
服装と荷物に注意
ヴァチカン美術館も神聖な場所なので、大聖堂と同じく服装には注意したい。まずノースリーブや短パンなどのような肌の露出が多い服装では入館できない。軽装になりがちな夏は、ショールを持っていればなにかと便利だ。もうひとつ注意したいのが荷物。大きな荷物は持ち込みができないので、入口の脇にあるクロークに預けよう。小さなポシェットやバッグを準備して、貴重品を収納しておくと便利だ。
モデルコースも参考に
美術館のすべての作品を観るには5時間以上は必要。効率良く見学するためにはタイプ別のポイントをおさえたい。冬のオフシーズンや雨の日、平日、朝一番などは混雑も避けられる。
ダイジェストコース(所要約1時間30分):ピオ・クレメンティーノ美術館→ラファエロの間→システィーナ礼拝堂
定番しっかりコース(所要約3時間30分):ピナコテカ→ピオ・クレメンティーノ美術館→燭台のギャラリー→タペストリーのギャラリー→地図のギャラリー→ラファエロの間→システィーナ礼拝堂→ヴァチカン図書館
19世紀末に開館した、世界有数の古代美術のコレクションを誇る博物館。ローマとその周辺から発掘された古代の彫刻や壁画、考古遺物などを多数収蔵している。常設展示は市内4カ所で行なわれており、現在、17世紀のルドヴィシ枢機卿のコレクションをはじめとする重要な収蔵品は、マッシモ宮とアルテンプス宮に移されている。20世紀末までは、ディオクレティアヌス帝の浴場跡がメインの展示館だったため、「テルメ(浴場)博物館」の異名もある。浴場跡近くには、特別展開催時のみ開館するアウラ・オッタゴナもある。
枢機卿ルドヴィシ、マッテイ、アルテンプスのコレクションなどを収めたローマ国立博物館の分館。ヘレニズム彫刻をローマ時代に復刻した『ルドヴィシの玉座』、『妻を殺して自害するガリア人』などは必見だ。
ルドヴィシ枢機卿のコレクションが充実
4世紀初めにディオクレティアヌス帝によって造られた、3000人を収容したというローマ帝国最大の浴場跡。現在ローマ国立博物館の分館があり、ローマ時代の碑文などを見ることができる。
内部には浴場で発見された彫刻が展示されている
ローマ時代の彫刻群や、紀元前1世紀からローマ帝政末期にいたる古代ローマ文化に関する作品を展示している。ラビカーナ通りで見つかったアウグストゥス像をはじめ、コインコレクションも充実。
紀元前創建の劇場があった場所に建つ博物館。クリプタ・バルビの遺跡や発掘品、考古学的資料の展示のほか、街並の変化の歴史を追った展示などがある。要予約。
ミケランジェロが設計を手がけたカンピドーリオ広場に面して建つ美術館。広場中央にある市庁舎の南側が、切符売場のあるコンセルヴァトーリ宮、北側はヌオーヴォ宮と呼ばれる美術館で、この2館は地下で公文書館(タブラリウム)によってつながっており、これらを総称してカピトリーニ美術館と呼ぶ。コンセルヴァトーリ宮では、ブロンズの彫刻『牝狼』が必見。16~18世紀のヨーロッパ絵画も充実している。ヌオーヴォ宮では見事な彫刻作品をじっくりと鑑賞したい。
カンピドーリオ広場に面する、観光客にも人気の美術館
教皇シクストゥス4世のコレクションを中心に展示。『瀕死のガリア人』や『カピトリーノのヴィーナス』など紀元前3~2世紀頃のヘレニズム彫刻を古代ローマ時代に模刻した傑作が多い。
1階 (Piano terra) 中庭の巨像をはじめ威風堂々と並ぶ彫刻の数々
庶民が政府への文句を書いて貼った『マルフォーリオ』と呼ばれる巨大な像などさまざまなものが展示されている。
2階 (Primo piano) 所狭しと並ぶ胸像や優美な彫刻に圧倒される
歴代65のローマ教皇の胸像が並ぶ「諸皇帝の間」など、秀逸な彫刻作品群が並ぶ。『カピトリーノのヴィーナス』や『傷ついたアマゾン』などは見逃せない。
歴代ローマ教皇の胸像が並ぶ
教皇シクストゥス4世らが収集した古代彫像を展示。オラーツィとクリアーツィの間にあるローマ建国神話がテーマのフレスコ画も素晴らしい。3階はルーベンスらの作品がある絵画館。
2階 (Primo piano) いくつかの部屋に分かれ、貴重な展示品を公開
現在もローマ市の迎賓館として使われているオラーツィとクリアーツィの間や、勝利の間、牝狼の間などに有名な彫刻作品が飾られている。
3階 (Second piano) 名高い芸術家たちの名作を見ることができる
14~18世紀のヨーロッパ絵画を集めた絵画館になっており、ルーベンスやカラヴァッジョ、ティツィアーノ、ティントレットの作品などを展示している。
牝狼 (Lupa Capitolina)
紀元前5世紀頃のエトルリアの彫刻。ローマ建国の祖ロムルスと双子の弟レムスが狼の乳を飲む姿を表している。
マルクス・アウレリウス帝の騎馬像はコンセルヴァトーリ宮に展示している
ローマ市民の憩いの場所、ボルゲーゼ公園内にある美術館。枢機卿シピオーネ・ボルゲーゼが1615年に別荘として建てた館だ。彼はバロック芸術のパトロンとして有名で、この美術館の収蔵品もそのコレクションからなる。1902年にイタリア政府が買い上げ一般公開を始め、20世紀末には大改修を行なって現在にいたる。収集品のなかでも彫刻家ベルニーニ作『アポロとダフネ』『プロセルピーナの略奪』は迫力ある作品だ。入館は事前の予約が必要なので注意したい(インターネットでの予約も可能)。
1階 (Piano terra) 彫刻とカラヴァッジョの絵画も展示されている
美術館スペースはそんなに広くはないが、展示作品数は多い。ベルニーニの作品は4点、カラヴァッジョの作品は6点が展示されている。それだけでも世界有数のコレクションといえる。
2階 (Primo piano) 14〜17世紀にかけての絵画コレクションが並ぶ
ルネサンスやバロックの絵画が中心に展示されている。おもな作品は、ラファエロ作『一角獣を抱く貴婦人』、ティツィアーノ作『聖愛と俗愛』があり、コレッジョ、カノーヴァと続く。
枢機卿ボルゲーゼが建造した壮大な館
1633年、バルベリーニ家出身の教皇ウルバヌス8世の居宅として建てられた館。設計は、マデルノ、ベルニーニ、ボッロミーニなどの当時の実力者たちが手がけたバロック様式で、今でも壮麗な雰囲気を漂わせる。その後もバルベリーニ家が所有していたが、1949年にイタリア政府に寄贈された。それを機に政府は、イタリア古典絵画の美術館として、一般公開を開始。2階の大広間の天井画は1600年代に描かれたもので、ピエトロ・ダ・コルトーナ作。『神の摂理の勝利』はバロック期のフレスコ画の傑作といわれる。
彫刻家であり建築家でもあったベルニーニたちが設計
典型的なバロック様式の館。美しい柱廊が並び、優雅な空間だ
堅牢な入口は美術館へと続く
13〜18世紀にわたる絵画を収集している。秀作揃いのコレクションでも評判が高い美術館。なかでも有名なのはラファエロの『ラ・フォルナリーナ』、フィリッポ・リッピ作『聖母子』、ピエロ・ディ・コジモ作『マグダラのマリア』、カラヴァッジョ作『ホロフェルネスの首を斬るユディト』など。
映画『ローマの休日』のラストシーンを撮影したのは、2階の「勝利の柱の部屋」。コロンナ家出身の教皇マルティヌス5世が15世紀に建設させた館だ。18世紀に改修された館は、コロンナ家のイタリア絵画と外国の絵画コレクションを基本とした美術館となっている。17〜20世紀の作品を中心にしたコレクションは、ヴェネツィア派のものが中心。また宮殿装飾で有名なランフランコやルーベンス、ブロンツィーノたちの作品も見られる。そのほかにはメロッゾ、ダ・フォルリなどの作品もある。
きらびやかな装飾は、思わずうっとりするほどの美しさ
開館は土曜日のみなので、訪れるときは気をつけたい
19〜20世紀にかけて起こった芸術運動を時代を追って展示している。建物の左翼には19世紀の作品が、右翼には20世紀の作品を展示。キリコ、ジャコメッティなどのイタリア人作家のほかに、クリムト、セザンヌなどの作品がある。
ゴッホやモネ、セザンヌなど国外作家の作品も所蔵
観光情報を観光地ごとに紹介する雑誌スタイルの旅行ガイドブック「まっぷるマガジン」。その取材スタッフや編集者が足で集めた「遊ぶ」「食べる」「買う」「見る」「泊る」のおすすめ情報をご紹介しています。
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