更新日: 2024年5月14日
激変する大阪の魅力を探る 古地図から見る街の移り変わり
「紙地図をたどれば、その町の歴史や人の営みが見えてくる」
実在しない都市の地図を描く、空想地図作家の今和泉隆行さんはそう言います。そんな今和泉さんに、今回は大阪市の海側に位置する此花区・大正区、北部にある都島区の変化について語っていただきました。→梅田や大阪城などを見る前編はこちら。
大阪府茨木市出身で、父に連れられてたまに大阪駅に電車を見に行っていた少年Bと、20代になって初めて関西に足を踏み入れたという今和泉さんの2人が、大阪市の地図を見ながら語ります。今和泉さん、今回もよろしくお願いします!
目次
此花区には渡し船がある
今和泉:
此花区といえば、真っ先に出てくるのがUSJだと思いますが、Bさんは行ったことあります?
少年B:
何度か行きました。ウォーターワールドとユニバーサル・モンスター・ライブ・ロックンロール・ショーのイメージが強いですね。今和泉さんはどうですか?
今和泉:
私は行ったことないんですが、USJのすぐ近くまで行ったことはありますよ。船に乗りました。
少年B:
船っていうと、ユニバーサルシティポートですか?
今和泉:
いや、天保山渡(てんぽうざんわたし)のほうです。おすすめですよ、無料だし。地元の人が乗ってますが、自転車の人もいます。渡ったあとは桜島駅から電車に乗ったので、USJの南側を通りましたね。
少年B:
此花区じゃなくて、この後話す予定の大正区の話ですが、友達のライターが乗ってました。こんなところにもあるんですねぇ。
少年B:
でも、なんで渡し船があるんですか? 需要があるから?
今和泉:
そうとも言えますね。でも、もっと単純な理由です。
少年B:
え……? 橋がないから、とか?
今和泉:
そうです。そうすると、次は「なぜ橋がつくれない?」という疑問が出てくると思いますが、じゃあ橋をどこに作ろうかとなるんですよ。
少年B:
天保山マーケットプレースから天保山渡船場まで、真っすぐにどーんと作ればよさそうですが……。
今和泉:
いや、それができないんです。安治川には船が通るから、橋の高さを上げなきゃいけないので。
少年B:
なるほど……。キャプテンラインがありますもんね。
今和泉:
地図には載ってないですが、他にも色々な船が通ってます。関東でいえば、レインボーブリッジみたいにぐるぐる回って高度を稼がないといけない。レインボーブリッジでさえ、通れなくなった船があるぐらいです。
少年B:
湾岸線の天保山JCTや天保山出入口はぐるぐる回ってますが、これはそういう意味だったんですね。なるほど!
今和泉:
ちなみに、天保山は「日本一低い山」としても有名です。ただ、東日本大震災以降は宮城県の日和山が日本一に返り咲いています。
少年B:
山の低さをめぐる攻防があるんですね。
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