更新日: 2023年11月24日
千代田区ではビルが「2代目」を襲名する!? 古地図から見る街の移り変わり
「紙地図をたどれば、その町の歴史や人の営みが見えてくる」
実在しない都市の地図を描く、空想地図作家の今和泉隆行さんはそう言います。そんな今和泉さんに、今回は千代田区の変化について語っていただきました。
一大ターミナルの東京駅や官公庁のある霞が関、もはや世界に知れ渡る街となった秋葉原に、本屋の街・神保町、さらには数々の大学がある御茶ノ水と、様々な個性を持つ街が集まっている千代田区。
そんな千代田区はいったいどんな街だったのでしょうか。今和泉さん、今回もよろしくお願いします!
目次
丸ビル、新丸ビルは2代目に
少年B:
今回は千代田区ですね。
今和泉:
まずは東京駅の周辺を見てみましょうか。一見、何も変わってないように見えるんですが、激変しています。
少年B:
ビルの名前が変わってますね。でも丸ビルと新丸ビルはそのまんまだ。
今和泉:
いえ、それがそのままでもないんです。形に注目してみてください。
少年B:
1985年の新丸ビルは漢字の「目」みたいな形、丸ビルは四角の中に「T」のような形をしてるんだなぁ。
今和泉:
では、2022年の地図ではどうでしょうか。
少年B:
えっ、何か形が全然違いますよ!? 昭文社が作図を間違えたんでしょうか。
今和泉:
いや、丸ビルと新丸ビルは同じ名前のまま建て替えられているんですよ。2代目ですね。
少年B:
そんな歌舞伎役者や落語家みたいなことがあるんですか!?
今和泉:
それがあるんです。2001年の地図を見ると、丸ビルがなくなっています。2代目丸ビルは2002年、2代目新丸ビルは2007年に竣工しています。古いほうから建て替えたんですね。
それと、建物をよく見てみると、5Fまでは昔の雰囲気を残しているのがよくわかります。
少年B:
確かに……。建て替えたとはいえ、丸ビルのDNAを残すぞという意思を感じますね。
今和泉:
それから、東京中央郵便局もKITTEになっています。竣工は2012年ですね。
少年B:
丸ビルからちょうど5年刻みですね。元郵便局だから「KITTE」なんですか?
今和泉:
そうです。カメイドクロックみたいなパターンですね。あと、KITTEは東京以外にもあるんですよ。名古屋や博多にもあって、2024年には大阪にもオープンする予定です。全部、一等地にある郵便局を再開発したんですよね。
少年B:
これも下部は元の中央郵便局のデザインに似せているのかな?
今和泉:
似せてるというよりは、下層は中央郵便局の建物を一部そのまま残して再開発しています。構造躯体はそのまま、外観は創建時のタイル・窓を復元しているんですが、道路との関係で位置はズレていますね。
少年B:
へぇー! そのままとはすごい。郵便局としての機能は残ってるんですか?
今和泉:
銀座郵便局JPタワー内分室として残ってますね。記念切手やグッズ類が豊富だそうですよ。あと、丸の内だと国鉄の本社もなくなっていますね。こちらはオアゾになりました。
少年B:
丸善の本店があるところですね。あそこ国鉄本社だったのか!
今和泉:
オアゾは複数のビルの集合体なんですが、元々あった丸の内センタービル以外は2004年の竣工です。2002年から2012年に、丸の内を構成するビルが一気に変わったんですよ。
他にも、三菱商事ビルや丸の内ブリックススクエア、丸の内マイプラザなど、ほとんど建て替わっています。東京ビルも50年で建て替えてますね。丸の内は名前を上げればきりがないぐらい変わっています。
少年B:
ひぇぇ! 時代の変化を日本で一番感じることができるのは、丸の内なのかもしれませんねぇ……!そういえば、都庁も新宿に移転する前は丸の内でしたっけ……。
今和泉:
そうです。東京駅と有楽町駅の間、現在の東京国際フォーラムのところです。こうして見ると国際フォーラムもかなり面積は広いんですが、第二・第三本庁舎が鉄道の東側にあったことを忘れてしまいそうになります。
少年B:
今は小さな駐車場のマークがありますが、駐車場なんですね。
今和泉:
「鍛冶橋駐車場」といって、名前は駐車場なんですが、実質的には高速バスのターミナルになっています。私も時々利用します。
少年B:
わたしも行ったことがあります! あそこが元は都庁だったとは…!
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。