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紙の地図とWEB地図は何が違う?紙の地図から読み解く「街のカラー」

少年B

更新日: 2022年5月31日

紙の地図とWEB地図は何が違う?紙の地図から読み解く「街のカラー」

地図は、いったい何のためにあるのでしょうか。

この記事を読んでいるあなたは「迷わないようにするため」とか「周囲のお店を把握するため」と答えるのではないでしょうか。少なくとも、わたしはそう思っていました。

しかし、存在しない街の地図を描き続ける空想地図作家の今和泉隆行さんは「地図を見ると、人々の生活や風景の変化がわかる」と言います。えっ、一体どういうこと……?

今回はそんな今和泉さんに、知られざる地図の秘密や、新たな地図の楽しみかたまで、ぜんぶ聞いてきました。





今和泉 隆行(いまいずみ たかゆき)
1985年生まれ。7歳の頃から実在しない都市の地図=空想地図を描き続けている「空想地図作家」。地図デザイン、テレビドラマの地理監修・地図制作にも携わる他、地図を通じた人の営みを読み解き、新たな都市の見方、伝え方作りを実践している。(Twitter:@chi_ri_jin






聞き手:少年B
1985年生まれのフリーライター。地図自体に造詣が深いわけではないが、地図を見ながら「こことここの間に道路ができたら便利だなぁ」などと妄想を膨らませるのが趣味のひとつ。(Twitter:@raira21

地図の役割は変化する

少年B:
こんにちは! 今日は新しい地図の楽しみかたを教えてもらいにきました。では、さっそくGoogleマップを開いていきましょうか。

今和泉:
あ、ちょっと待ってください。今のGoogleマップだと、地図を楽しむのにはちょっと不向きかもしれません。

少年B:
ええっ!? じゃあどんな地図がいいんですか?

今和泉:
今回は昭文社のこの本、「街の達人」を使いましょうか。今のGoogleマップは「情報の背景」に徹しているので、見た目の情報量は薄くなっているんです。いいとかわるいではなくて、ですよ。

▲昭文社の「街の達人」

少年B:
情報の背景???

今和泉:
WEB地図は「検索するための地図」なんです。目的地や経路を表示するためのものなので、検索結果が映えるよう、地図としての情報は薄くしているんです。だって、A地点からB地点に行くための経路や目的地を探しているのに、他の情報でゴチャゴチャしてたら見づらいじゃないですか。

少年B:
確かに……!


▲現在のGoogleマップは、検索情報を目立たせるため、あえて情報を薄くしているという

今和泉:
なので、検索結果がない状態では情報が少ないんです。逆に、地図会社の作る紙の地図は、検索をしない時代の「全部乗せ」なんです。見比べてみると全然違うのでおもしろいですよ。

少年B:
WEB地図がピザ生地にお好みでトッピングをしていくカスタマイズだとすると、紙の地図はウルトラスーパーデラックス、みたいなイメージですね。

今和泉:
そうです。実は、空想地図を描いている人たちは、「Googleマップは実用的に使うくらいだったけど、昭文社の都市地図を読み、描くことに開眼した」みたいな人がけっこう多いんです。

少年B:
ええっ!? そうなんですか???

今和泉:
紙の地図は情報量の多いグラフィックとして、「美しい」「こういうものを描きたい!」となるんだと思います。Googleマップはとても便利ですけど、検索情報を入れないとプレーンのピザ生地なので、それを「描きたい!」とはあんまり思わないんでしょうね。

でも、実はそんなGoogleマップにも紙の地図の影響があったのをご存じですか?

少年B:
えっ、知らないです! そんなものがあるんですか!?

今和泉:
最近はなくなってしまったんですが、初期のGoogleマップはコンビニなどのロゴを載せていたんですよ。これは、日本チームの発案だそうです。元々、お店のロゴを載せていたのは、それこそマップルなどの紙の地図。紙地図の文化がWEB地図にも伝わっていったんですね。

▲2006年のGoogleマップ。コンビニのアイコンが見える © Google

少年B:
へぇぇ! そして、そこからGoogleマップは検索の内容を重視するようになり、現在のプレーンピザみたいな地図になっていったのか……!

今和泉:
WEB地図の大手・Yahoo!地図も、もともとは昭文社のライバル的存在だった名古屋のアルプス社をYahoo!が買収して、アルプス社のメンバーを中心に開発していたんです。

だから、今あるWEB地図も、元々は日本の紙地図があったからこそ発展したもの、とも言えるんじゃないかなと思いますね。

▲現在の「街の達人」。言われてみると、確かに古いGoogleマップは紙地図に似ている

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【筆者】少年B

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1985年生まれのフリーライター。地図自体に造詣が深いわけではないが、地図を見ながら「こことここの間に道路ができたら便利だなぁ」などと妄想を膨らませるのが趣味のひとつ。(Twitter:@raira21

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