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羽田にある「稼働しない」可動橋の謎 【東京都大田区】

オフィス プラネイロ

更新日: 2023年11月24日

羽田にある「稼働しない」可動橋の謎 【東京都大田区】

※「今昔マップ on the web」より

こちらは国土地理院地形図より、大田区・羽田空港周辺を拡大した図です。1994(平成6)年発行とありますから、およそ30年前のものになります。南側を流れる多摩川の対岸は、神奈川県川崎市。東側の海は東京湾です。

この地図を更に見ていくと、羽田空港の脇に「羽田可動橋」の文字を見つけました。

この「可動橋」とはどんな橋なのでしょう。
そして、何故この場所に建設されたのでしょうか。
色々な疑問が湧いてきました。

ゴッホにも描かれた可動橋。その起源は敵の侵入を防ぐものだった。

ゴッホにも描かれた可動橋。その起源は敵の侵入を防ぐものだった。
※「今昔マップ on the web」より

「可動橋」とは、船を通行させるため「橋桁などが動く」構造の橋のことです。

その歴史を振り返ってみると、起源は中世ヨーロッパまで遡るようです。 お城の門に備え付けられた橋。ガラガラと鎖を巻き上げると、橋桁が持ち上がっていくアレです。橋を跳ね上げて外敵の侵入を防ぐ「防衛のための」橋というわけです。

やがて時代の流れとともに、可動橋の目的も変化します。水運が発達すると、防衛目的だけでなく、水上交通と陸上交通とを両立させるため架設されていったようです。

また、可動橋は大きく以下の4つに分類されます。
・跳開橋 → 橋桁が跳ね上がる
・旋回橋 → 橋桁が水平方向に回転
・昇開橋 → 橋桁が上昇
・引込橋 → 橋桁が水平移動

「跳開橋」といえば、中央が切れ、橋桁がハの字型に跳ね上がるタイプがおなじみです。ゴッホ「アルルの跳ね橋」に描かれている橋、といえば分りやすいかもしれません。ただ、一般的に、跳開橋にはひとつの橋桁のみ跳ね上がるものが多いそうです。

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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

現住所は地図雑学系ライター、本籍は地図実踏調査員。昭文社地図の現地調査歴15年以上の、自称「地理のプロフェッショナル」チームです。これまで調査・取材で訪問した市区町村は、およそ500以上。昭文社刊『ツーリングマップル』『全国鉄道地図帳』等の編集に参加しています。休日は、国内外の廃線、廃鉱など「廃」なものを訪ねる「廃活」、離島をめぐる「島活」中。好きな廃鉱は旧羽幌炭鉱、好きな島はサンブラス諸島(カリブ海)と大久野島。特技は「店で売ってる野菜の産地名⇒県名を当てること」。

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