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足利義輝の戦略地図~将軍権威の復権が三好政権に警戒され襲撃される

永禄元年(1558)に長慶と和解し、京都に戻った義輝は、長慶の傀儡(かいらい)から脱すべく、将軍権威の復活に乗り出します。三好一族に対抗すべく諸大名に上洛を促す一方で、諸国の争いの調停に積極的に乗り出し、彼らに偏諱(へんき)を与えるなどの戦略を取りました。折しも三好長慶が3人の弟と養子を次々に失い、弱体化していた時期であり、義輝の権威は徐々に全国に浸透していきました。

しかしこれが三好一族の警戒を招きます。永禄8年(1565)、三好三人衆松永久秀の子・久通(ひさみち)らによって将軍御所が襲撃されてしまうのです。義輝は剣豪将軍の名に恥じぬ奮戦ののち、討ち取られたのでした。

名を与え、争いを調停して権威を高めた足利義輝

足利家の権威回復に向けて動き出した義輝は、三好氏に栄典を与えて繋がりを強めて政治体制を安定させると、義輝は地方の大名との外交を通し、将軍家の支配体制を強めていきました。

戦国の豆知識:足利義輝の戦略地図

偏諱を与えるとは、自分の名の一字を与えることです。義輝の偏諱を受けた戦国武将には、伊達輝宗、上杉輝虎(謙信)、毛利輝元、朝倉義景、島津義久などがいます。

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『地図でスッと頭に入る戦国時代』見どころ

【〝北条早雲〟の伊豆制圧―1493年】
地図:北条早雲の台頭を許した関東の情勢(北条早雲の関東進出の戦略がわかる)
【鉄砲伝来―1543年】
地図:火縄銃の波及(種子島に伝来した新兵器が多方面に広まっていく様がわかる)
【三好政権―1549年】
地図:三好政権の支配地(信長以前の畿内を支配した政権のしくみと失敗の構造がわかる)
【キリスト教伝来―1549年】
地図:イエズス会の布教体制(教区)(カトリックの布教体制とキリシタン大名の関係がわかる)
【桶狭間の戦い―1560年】
地図:合戦後の東海情勢(義元没後に起こった今川家崩壊の過程がわかる)
【第4回川中島の戦い―1561年】
地図:疑問だらけの大会戦(川中島の戦いに関する通説のウソがわかる)
【堺の降伏―1569年】
地図:堺の硝石と金(信長が畿内進出後真っ先に堺を押さえた理由がわかる)
【長篠の戦い―1575年】
地図:長篠の戦い戦況図(武田軍を鉄砲の前へ誘き寄せた信長の高度な戦術がわかる)
【大坂の夏の陣―1615年】
地図:徳川軍の進軍経路と大坂の陣(なぜ大坂城の南側が戦場となったのか?がわかる)

『地図でスッと頭に入る戦国時代』監修者

小和田哲男(おわだてつお)
1944年、静岡県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。現在、
静岡大学名誉教授。(公益財団法人)日本城郭協会理事長。専門は日本中世史。著書に
『家訓で読む戦国 組織論から人生哲学まで』(NHK 出版)、『戦国武将の生き方死に
ざま』(新人物往来社)、『明智光秀・秀満:ときハ今あめが下しる五月哉』(ミネルヴァ書房)
など多数。

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