更新日: 2024年1月20日
末法思想と鎌倉新仏教~次々に誕生した新しい仏教宗派~
鎌倉時代に登場した仏教宗派は、奈良時代や平安時代の宗派に比べて、教えの内容がシンプルな点に特徴があります。この時期までに現在まで続く主要な宗派がほぼ出そろいました。
【要点はココ】
◎末法思想が鎌倉新仏教の興隆に影響しました。
◎シンプルな教えが民衆の支持を集めました。
◎浄土宗、浄土真宗、日蓮宗、臨済宗、曹洞宗は現在も多くの信徒を抱えています。
末法思想が新仏教誕生の契機に
平安末期から鎌倉時代にかけて、日本では戦乱や天変地異が相次ぎました。世間では仏教の教えが減衰した暗黒時代の到来(末法思想)が噂され、多くの人々が不安にさいなまれていました。そうした世相を背景に誕生したのが、鎌倉新仏教と呼ばれる6つの仏教宗派です。具体的には法然(ほうねん)の浄土宗、親鸞の浄土真宗、一遍(いっぺん)の時宗(じしゅう)、日蓮の日蓮宗、栄西(えいさい)の臨済宗、道元(どうげん)の曹洞宗(そうとうしゅう)を指します。
それまでの仏教は国家の鎮護(ちんご)を祈ったり、貴族のために現世利益(げんせりやく)を祈ったりするものでしたが、新仏教は「現世が不幸でも来世で救われたい」という一般庶民の願いに応えるものでした。その違いが新仏教の革新的な点であり、多くの人々をひきつけた要因です。
末法思想により誕生した鎌倉新仏教で主要な仏教宗派が出そろった
浄土宗、浄土真宗、時宗などの浄土系宗派は、厳しい修行をしなくても阿弥陀如来を信じたり、「南無阿弥陀仏」の念仏をとなえれば救われるという単純明快な教えを説き、多くの支持を集めました。日蓮宗も「南無妙法蓮華経」の題目(だいもく)をとなえることが救いに通じると説きます。臨済宗や曹洞宗などの禅系宗派は、坐禅(ざぜん)によって悟りを得ることを目指す教えで、武士を中心に信仰されました。
現在に続く主な仏教宗派は、この時期までにほぼ出そろったのです。
鎌倉新仏教のキホン
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