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「丹波」をめぐる地名争奪戦

2004年に氷上郡の6つの町が合併する前、新市名の公募で1位は「氷上市」、2位が「丹波市」でした。しかし、合併協議会は、上記のような「丹波」の地名が持つブランドを意識して丹波市の名を選びました。

当時の丹波町としては丹波市と同じ名前で混同を招きやすい問題がありましたが、この点は翌年の3町合併にともなう京丹波町という新町名の採用で解決されました。篠山市は「篠山こそ丹波ブランドの本家」と不満を抱いていたこともあり、平成から令和への改元を機に丹波篠山市への改名に踏み切ったのです。

「丹波の黒豆」をめぐるブランド名争奪戦

改名前の篠山市は、2002年に「丹波黒大豆発祥の地」の石碑を建てていますが、これは伊達ではありません。農林水産省が公表している2017年度の市町村別農業産出額で「豆類」の項目を比較すると、篠山市(当時)は6億7000万円、丹波市は4億6000万円、京都府の京丹波町は1億円でした。このなかには黒大豆以外も含まれますが、生産額は明らかに丹波篠山市がリードしています。

丹波篠山市の丹波ささやま農業協同組合は、地域ブランドである丹波篠山黒豆の名を、地域団体商標として登録しています。

「丹波」エリア一体でのPRを目指して

丹波エリアに属する市町村は、「丹波」ブランドをめぐって争ってばかりいるわけではありません。2010年には、京都府内の福知山市、綾部市、亀岡市、南丹市、京丹波町、兵庫県内の篠山市(当時)、丹波市の7つの市町村が連携して「大丹波連携推進協議会」が発足し、共同で名産品や観光地をアピールしています。ようやく丹波はまとまったのでした。

黒豆と並ぶ名産品の丹波焼

篠山では平安時代から窯業(ようぎょう)が行なわれています。室町時代から茶器が多く作成され、江戸時代に遠州流茶道を大成した小堀遠州も丹波焼を好みました。現在も丹波篠山市今田町(こんだちょう)の「立杭陶の郷」(たちくいすえのさと)には、斜面を利用した近世初期の大規模な登り窯が残されています。

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