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「石の宝殿」はどんなもの?

生石神社にある「石の宝殿」は、謎の巨石を祀っています。巨石の下に水がたまり、巨石が池の水面に浮いているように見えることから、「浮石」ともいわれています。

巨石の大きさは幅6.4m、高さ5.7m、奥行き7.2m。重さは推定500tを超えます。背面に約1.8mの三角の突起があり、幅約1.6m、深さ約30cmの溝が周囲に刻まれています。

人がノミで加工したような跡が残っていることから、人工物であることは明白です。しかし、この巨石がいつからここにあるのか、何のために置かれているのか、といった記録は神社に残っていません。

「石の宝殿」はシーボルトがスケッチを残していた

江戸時代に来日したドイツの医師・博物学者のシーボルトが、1826年にオランダ商館長の江戸参府に随行する途中、生石神社に参拝し、スケッチ画を残しています。つまり200年近く前から存在するのです。

「石の宝殿」の利用目的の諸説

石の利用目的については、「巨石はろ過装置で、頂上部に空いた穴から水が石の内部に入り、ろ過されたのち、下側にある池に注がれるしくみになっている」というもっともらしい説のほか、「宇宙人と交信するためにつくられた、古代の通信装置」というSFのような説もあります。

「石の宝殿」の利用目的は「古墳の石棺」?

もっとも信頼性の高いのは、「古墳の石棺に使われる予定だった石」という説です。生石神社のある竜山丘陵は溶結凝灰(ようけつぎょうかい)岩でできた岩山で、古代から1930年ころまで採石場でした。この周辺から産出する石は「竜山石(宝殿石)」と呼ばれていました。

加工がしやすいことから、古墳時代には竜山石を使って石棺がつくられたと考えられています。江戸時代になると、城の石垣や土台石などの建築構造資材として各地に出荷されました。池田輝政が築城した姫路城にも、竜山石が多く使われたとされます。

「石の宝殿」は古墳時代からここにあるもの?

こうした歴史から、この巨石は古墳時代からあり、この場所で岩盤を削ってできたもので、畿内に建造する巨大古墳の中心に据える石棺となるものだったという説が主流になっているのです。つまり、大阪や奈良に運ぶ予定だったが、何らかの理由で加工の途中で放置されたということです。

「石の宝殿」の謎はそれでも尽きない

重機のない時代に500tの巨石をどのようにして畿内の古墳まで運ぼうとしていたのか、またどのような経緯で巨石が神社の御神体になったのでしょうか?

これらのことはわかっておらず、石の宝殿にまつわる謎は尽きません。

なお、巨石の周りには通路が設けられ、触ることができます。右側奥の角は50cmほど削れており、その部分に触れると神秘のパワーがもらえると伝えられており、生石神社は近年、「パワースポット」として人気を集めています。

加古川駅と高砂駅を結んでいた高砂線

1913年から1984年まで、加古川から高砂方面を結ぶ路線が運行していました。沿線には国鉄高砂工場がつくられるなど、貨物メインの鉄道路線でした。

その工場の閉鎖に伴って貨物輸送の廃止が決定します。第三セクター鉄道への転換も検討されましたが、老朽化した橋脚の修理に大きな費用がかかることから、1984年に全線が廃止されました。

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