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竹田城の城主を6代にわたって治めた太田垣氏
竹田城は、山名氏の重臣である太田垣氏が6代にわたって城主を務めました。1540年ころには、竹田城から約15kmの距離にある生野銀山での採鉱(さいこう)が本格化し、山名氏が銀山を支配しました。そこで竹田城は生野銀山を管理する役割も担うことになります。
竹田城の城主は太田垣氏から豊臣秀長ののち赤松広秀に
毛利軍が出雲や伯耆に進軍し、但馬へ迫りました。すると太田垣氏は毛利軍に降伏します。その後、丹波の豪族で「赤鬼」と呼ばれた赤井直正に竹田城を占拠された際には、明智光秀の丹波制圧に加わり城を奪取します。ところが、太田垣氏は毛利軍と和睦し、信長勢に対抗したのでした。
怒った信長は秀吉に但馬攻めを命じ、秀吉の実弟・秀長(ひでなが)が侵攻してきます。太田垣氏はまたしても降伏し、秀吉は秀長を竹田城主に据えました。秀吉の狙いは、但馬制圧と生野銀山の支配にありました。その秀吉の死後、播磨龍野城主の赤松広秀が竹田城主となります。
竹田城最後の城主の自決後は廃城に
赤松広秀は関ケ原の戦いで西軍につき、東軍の丹後田辺城を攻めました。ところが、西軍の敗戦を知ると東軍に寝返り、今度は西軍の鳥取城を攻めます。このとき、城下町への焼き討ちにより鳥取城を落城させたものの、「自分が命じていない焼き討ちを決行した」として家康の不興(ふきょう)を買い、赤松広秀は切腹を命じられました。
こうして城主を失った竹田城は石垣のみを残して廃城となり、以降、竹田城が歴史の表舞台に登場することはありませんでした。
竹田城は城主を持つことなく観光地へ
竹田城跡が脚光をあびるきっかけは、1990年に公開された角川映画『天と地と』のロケ地に選ばれたことです。その後も2003年公開の『魔界転生(まかいてんしょう)』や、2012年公開の高倉健主演映画『あなたへ』のロケ地にも選ばれました。
また、2006年には「日本100名城」に選定されました。こうして知名度が上がり、観光客数も一気に伸びました。高所に見事に築かれた石垣の壮観さから「日本のマチュピチュ」とも呼ばれて人気を博しています。
竹田城跡
- 住所
- 兵庫県朝来市和田山町竹田古城山169
- 交通
- JR播但線竹田駅から全但バス「天空バス」竹田城跡行き(12~翌2月運休)で20分、竹田城跡下車、徒歩20分
- 料金
- 見学料=大人(高校生以上)500円、中学生以下無料/年間パスポート=1000円/(20名以上の団体は1割引、障がい者手帳持参で本人と同伴者無料)
映画『天と地と』を鑑賞するならこちら
映画『魔界転生』を鑑賞するならこちら
映画『あなたへ』を鑑賞するならこちら
赤井直正の「テンの皮」逸話
賤ケ岳七本槍の1人で、のちに淡路国洲本藩主となる脇坂安治(やすはる)は26歳のとき、武功を立てます。
信長から明智光秀の援軍に赴くよう命じられた脇坂安治は黒井城(丹波市)攻めに参加しました。このとき黒井城を支配していたのは、「赤鬼」の異名を持つ猛将・赤井直正。安治は単身で城に乗り込み、降伏を促しました。直正は安治の度胸の良さに感心し、赤井家の家宝である「テンの皮の槍鞘(やりさや)」を差し出したとされます。
ですが、皮を見るとメスのテンでした。安治は翌朝、手勢300人を率いて黒井城を猛攻し、直正を討ち取ります。安治はこのとき、直正が持っていたオスのテンの皮でできた槍鞘を戦利品として手に入れました。以降、安治はテンの皮を旗指物とし、秀吉の家来として活躍します。
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