たたら製鉄と鉄そのものを伝えた「鉄の道」
古代日本で優れた製鉄技術があった播磨、吉備(きび:現在の岡山県、兵庫県、広島県など)、伯耆(ほうき:現在の鳥取県)、出雲(いずも:現在の島根県)。古代末から中世にかけ原料が砂鉄中心となり生産地域が移っていきますが、良質な砂鉄で佐用や宍粟でつくられた鉄は、揖保川(いぼがわ)や吉井川を利用した水運によって姫路など瀬戸内海沿岸の地域、さらに畿内へと流通しました。平安時代から日本刀の産地として知られる備前の刀工も、佐用や宍粟の鉄を使っていました。
たたら製鉄に使われた砂鉄は名刀にも使われた
たたら製鉄に使われた砂鉄は、不純物が含まれるが低温で融解できる赤目(あこめ)砂鉄と、純度は高いが高温でなければ融解できない真砂(まさ)砂鉄があります。播磨の砂鉄は赤目砂鉄が多いですが、千種では良質の真砂砂鉄が採取され、強度が必要な刀剣によく使われました。
歴史に残る備前の名刀にも、播磨の鉄から生まれたものが少なくないのです。
伝承では宍粟が製鉄発祥の地
日本では古くから、金屋子(かなやご)神が製鉄と鍛冶の神として信仰されてきました。島根県安来市の金屋子神社では、金屋子神は最初に播磨国志相(現在の宍粟市千種町)の岩鍋(いわなべ)に降臨して鉄器鋳造の技術を伝承し、さらに「吾(われ)は西方を主(つかさど)る神なれば西方に赴(おもむ)かば良き宮居あらん」と白鷺に乗って出雲に移ったと伝えています。
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