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新幹線相生駅の設置のもととなった「夜間新幹線」構想とは?

人口約3万人の相生に新幹線の駅ができたのは、地元の住民にとっても意外なことでした。一部では、相生出身の政治家で1970年代に通産大臣を務めた河本敏夫(こうもととしお)による誘致ともいわれていますが、正確ではありません。

寝台は3種類あり、2人用個室は2段ベッド+ソファなど、1人用個室はシングルベッドと荷物置き、普通寝台は開放型のベッドでした。そのほかに特別個室もありました。

新幹線相生駅の線路が2本に分かれているわけ

航空写真を見ると、相生駅の新幹線ホームは上り線と下り線が各2本に分かれ、合計4本のレールがあることがわかります。これは、「夜行新幹線」という構想のために相生駅が築かれたことを示しています。

国鉄は山陽新幹線の計画時、東京から博多まで一晩に24本の夜行新幹線を運行することを検討していました。ただし、新大阪から岡山では、夜間に上り線または下り線のいっぽうで保守点検整備を行なうため、単線で運行することになります。

その場合、上り列車と下り列車がすれ違うときはいっぽうの車両を一時的に待機させる場所が必要となるのでした。

姫路駅がその役割を担う予定となっており、さらに予備の待機駅として相生駅と西明石駅が設置されました。相生駅の上り線と下り線がさらに2本に分かれているのはこのためなのです。

新幹線相生駅設置のもととなった「夜行新幹線」が実施されていればどうなった?

計画は進み、寝台つきの961形車両がつくられ、試験走行も行なわれました。

ところが、1970年代に国鉄内部で労使間トラブルが多発したうえ、沿線住民から新幹線の運行による夜間の騒音を問題視する声が上がります。

最終的に、環境庁(現在の環境省)は、新幹線の運行時間を朝6時から深夜零時までと定めたので、夜行運転の計画は白紙撤回されてしまいました。

ちなみに、相生湾は播磨灘でもっとも大きな入江となっており、湾の最奥にある那波(ななみ)の浜は、古代には瀬戸内海を運航する船が、出航に適した風が来るまで待機する「風待ち」の港として使われました。

つまり、夜行新幹線が実現していれば、かつて船が待機するのに使われた場所が、超特急が待機する場所になっていたわけです。

消えた壮大なモノレール計画

兵庫県内には、神戸と京都を結ぶ「京神急行」(けいしんきゅうこう)など、計画のみで終わった未成線が複数あります。

1966年に開業した姫路市営モノレールは、将来的には市内で環状運転を行ない、日本海側にまで延長する壮大な構想がありました。しかし、運賃が高いことなどから利用者が期待したほどに増えず、1979年に廃業しました。

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