福知山線の廃線跡は正式なハイキングコースに!
1960年代後半、三田、神戸、西宮の北部で人口10万人規模のニュータウンを建設する計画が持ち上がり、福知山線は通勤路線として改めて整備されます。宝塚より北の山間部を通る区間は廃棄され、代わりに西宮名塩のニュータウンを経由する路線を新設。生瀬から道場までの区間に、新たに長大なトンネルが築かれることになりました。
1986年からは新線が利用され、しかも、同時期には北山トンネルの近くでは武庫川ダムの建設が決定していたので、福知山線の廃線区間はダム湖に沈む運命と思われていました。
ところが、ダム計画は諸般の事情から実質的に凍結状態となります。福知山線の廃線区間は、観光客や鉄道ファンの間でしだいに人気を集め、2016年には宝塚市によって正式にハイキングコースとして開放されました。
福知山線の廃線跡ハイキングコースの見どころ
生瀬駅と武田尾駅の近くには、それぞれ廃線敷ハイキングコースへの入り口があります。約4.7kmの区間では、砂利の敷かれたバラスト(道床)や、山積みにされた枕木、保線(ほせん)施設、キロポスト(距離標)や速度標などの鉄道標識が多く残されており、徒歩約2時間で踏破できます。
コース内の見どころは数多くあります。北山第2トンネルは全長が400m以上もあり、奥深くまで進むと中は真っ暗です。長尾山第1トンネルと長尾山第2トンネルの間にある親水広場は、春には桜、秋には紅葉で非常に美しく彩られます。
なお、トンネル内は灯がないため、昼間でも懐中電灯は必須。また、自転車やバイクでの通行はできません。足元が危険な場所もあるので、歩くなら注意が必要です。
福知山線廃線跡のトンネルが自動車道路に
福知山線廃線区間で唯一車両が通行できるトンネルは、武田尾駅と道場駅の間にある草山トンネルで、全長は305mです。現在も自動車用に使われており、レンガの外壁はいかにも歴史を感じさせます。途中に横穴があり、旧ルートは封鎖されたままになっています。
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