「西宮名塩ニュータウン」はどんな街?
西宮名塩ニュータウンは六甲山地の東の山裾に位置します。西宮名塩駅は標高90mの高さにあり、ニュータウンがある東山台地区のもっとも高い場所は標高340mに達します。それは「山」と呼んでもよい高さです。
それもそのはず。名塩地区は、1960年代半ばまでは10軒足らずの集落と棚田が広がる里山でした。のどかな里山の景色を変えたのは鉄道建設と新都市計画です。
1950年代半ばから、名塩地区周辺は阪神都市圏のベッドタウンとして注目されはじめます。当時の国鉄は増加する通勤客を運ぶため、福知山線の複線化工事を計画。やがて名塩地区を鉄道が通ることになり、新駅の設置も決定しました。それが1986年に開業した西宮名塩駅です。
国鉄の鉄道建設と並行して、兵庫県は名塩新住宅市街地開発事業に着手。住宅・都市整備公団が里山を造成し、西宮名塩ニュータウンを開きました。完成したのはバブルが崩壊する1991年です。
集合住宅はもともとあった棚田の形状を生かして階段状に建設されました。そのため、駅側から見れば、住宅の背後に違う住宅の高層階が見え、背後にまた違う住宅の高層階が見える……、という景色が生まれたのです。
「西宮名塩ニュータウン」の人口の推移
当初の計画では、西宮名塩ニュータウン(開発当初は東山台地区)の人口は約1万2000人と見込まれていました。ところが、現在の東山台地区の人口は約5800人(2017年10月)で、約48%しか入居していません。しかも2007年の6485人をピークに、居住人口は伸び悩み傾向にあります。
近年では、少子高齢化のみならず、都心回帰のニーズや住宅需要の多様化などを背景に兵庫県の郊外型ニュータウンでは人口が減っています。西宮名塩ニュータウンもその傾向にあり、近い将来、「忘れ去られた天空都市」と呼ばれないようにしてほしいものです。
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