目次
鳴門海峡に渦潮ができるメカニズム②:潮の流れの速度差
海水は、水位の高い満潮側から低い干潮側へ向かって激しい勢いで流れ込む性質をもっています。
最大1.5mという落差がもたらす運動エネルギーに加え、狭くなっている鳴門海峡に海水が一気に大量に流れ込むことから、鳴門の渦潮は高速になるのです。
鳴門海峡の渦潮は2つの潮流の速度差によって発生
鳴門海峡の海底はV字形谷を形成しており、中央の谷底にあたる最深部は約100mあります。
潮流は抵抗の少ない深部(中央部)では速く流れ、抵抗が多い浅瀬(淡路島側と鳴門市側)では遅く流れます。
鳴門海峡の中央を進む速度の速い潮流は、その横を流れる遅い潮流とぶつかり、押しのけて進みます。2つの潮流の速度差によって回転力が生まれ、大きな渦が発生します。これが鳴門の渦潮が発生するしくみです。
鳴門海峡の渦潮の右巻き、左巻き
ユニークなのは、鳴門海峡の中央部で発生した渦が、淡路島側では右巻き、鳴門市側では左巻きの渦になることです。これらの渦は列をなして流されながら大きくなります。ですが、海峡から離れると潮流が減速していくため、やがて渦は消滅していきます。
鳴門海峡の渦潮のメカニズムは奇跡の自然現象!
鳴門海峡の渦潮は、潮の干満と潮流、特殊な地形が重なって生まれた奇跡の自然現象であることがわかります。
明石海峡も潮流が速いことで知られる!
兵庫県で潮流の速い海域といえば、淡路島と明石市の間にある明石海峡周辺もそうです。明石海峡には、太平洋から大阪湾を経て達する潮流と、豊後水道から入って瀬戸内海を横切ってきた潮流が行き来しています。大潮になると流れが速くなります。
明石海峡で獲れる明石ダコはなぜおいしい?
兵庫県が「マダコの漁獲高日本一」であることはよく知られています。明石海峡周辺から明石沖の潮流の速い海域で漁獲されたマダコは「明石ダコ」と呼ばれ、ブランドタコとなっています。
明石ダコがおいしい理由は高速の潮流と豊富なエサ!
明石ダコがおいしい理由は、高速の潮流と豊富なエサにあります。明石海峡の速い潮流のなかで育つ明石ダコは、激しい潮流に流されないようにふんばるため足が太く短く、身がひきしまっています。そのためコリコリとした歯ごたえが生まれるのです。
明石海峡周辺には魚介類の餌となるプランクトンが多い
明石海峡は魚介類のエサとなるプランクトンが多く栄養豊富な海域となっています。その理由は、速い潮流によって海水がかきまわされるからだけではありません。
明石海峡付近では、潮流は満潮時には東から西へ、干潮時には西から東へと向かいます。栄養豊富な海水が絶えず循環するようになっているため、プランクトンも海峡全域をぐるぐると回っているのです。
明石海峡周辺には明石ダコのエサになる魚介が豊富!
海峡周辺には、そのプランクトンをエサとする明石ダイやアナゴ、カニやエビといった魚介類が豊富にいます。明石ダコは、そのカニやエビをたっぷり食べて成長するので、身がおいしくなるというわけです。
とくに梅雨のころから7月下旬の育ち盛りの時期の明石ダコは、産卵に向けて体力と栄養を蓄えようと活発にエサを捕るため、旨みが増すのです。
明石で食べたいソウルフード
明石ダコの旨みが凝縮した干しダコでつくる「たこ飯」は、明石自慢の郷土料理です。また、ソウルフードの「明石焼き」(地元では「玉子焼」と呼ばれる)にも明石ダコが使われています。県外では高級食材でも、地元では気軽に使える食材なのです。
海底送水管で運ばれている家島諸島の水
播磨灘の大小40余りの島々で構成される家島諸島は、姫路市に編入されています。このうち人が住んでいるのは家島、坊勢島(ぼうぜじま)、男鹿島(たんがじま)、西島の4島です。これらの島には大きな川がなく、昔は雨水や井戸水を利用して生活していました。1966年~1973年には、赤穂市から水を購入し、船で給水を行なった。さらに1974年~1983年には、海水を真水に変える「淡水化装置」を使用したといいます。
ですが、いずれの方法でも水を十分に確保できなかったため、1983年以降、改めて赤穂市から購入。現在、水は海底送水管を通して赤穂市から4島に運ばれています。
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