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明石の子午線はどうやって測られた?

明石市は正確な子午線位置を決めるため、1928年に星を観測して経度を決める天体測量を実施し、天文経緯度を決定しました。天文経緯度とは、それぞれの地点で天体観測によって決められた経緯度です。

そのときに建てられた「トンボの標識」は1945年の明石大空襲で破壊されたため、1951年に子午線標識位置を決める再観測が実施されました。このとき、天文経度の東経135度の子午線は、1928年の観測より11.1m東を通っていることが判明しました。

1960年、再観測にもとづいた子午線上に明石市立天文科学館が開館しました。しかし、地図で調べると天文科学館は、東経135度から少しズレたところに建っているではないですか……。いったいどうしてなのでしょう?

明石の子午線のズレは地球の形と世界測地系の登場によるものだった!

経緯度には天文経度のほかに、地球の形に近い楕円体を考慮して地図をつくるために用いる測地経緯度があります。日本では地上測量(三角測量)による日本測地系の経緯度が使われてきました。

ところが、地球の表面は凹凸があり、完全な楕円体ではありません。そのため、測地経緯度と天文経緯度は一致しないのです。日本測地系の経度にもとづく地図上の東経135度の経線は、明石市立天文科学館の西370m付近にある神戸大学附属小学校などの敷地を通っているのです。

さらに近年、コンピュータシステムによる位置情報の測定技術が発展したため、これに対応する世界共通の基準「世界測地系」が必要となりました。

世界測地系の登場により測量法が改正され、日本測地系経度の基準点が2002年に変更。その結果、世界測地経度の東経135度の経線は、天文科学館の西120m付近を通ることになったのでした。

明石市立天文科学館は1960年、東経135度子午線上に開館した。
国土地理院標準地図を元に作成

明石港にある日本最古の石造り灯台

明石港にある旧波門崎燈籠堂(きゅうはとさきとうろうどう)は、1657年に第5代明石藩主の松平忠国が建てたといわれており、現存する旧灯台で、日本最古の石造り灯台となります。1963年に明石港が拡張された際、沖合に新しい灯台ができたため役割を終えました。約300年間も明石の水運を陰で支えていたことになります。

旧波門崎燈籠堂は、1999年に海上保安庁から明石市に譲渡され、2014年に国の有形文化財に登録されました。現在、市が管理しています。

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