清水港の近代港湾としての幕開けは、1899（明治32）年の開港場指定からです。蒸気機関の登場や産業の近代化と同時期であり、実質的にはここから諸外国との貿易がスタートしました。

1906（明治39）年には、清水港から初めてアメリカへ茶を輸出。以後、取扱量は増大し、1918（大正7）年には日本の茶の輸出量の8割を占めるようになります。茶の貿易が始まることによって、天竜川や大井川流域などの生産地に加え、牧之原や日本平など、広い丘陵地帯での大規模栽培も増えていきました。

また、1930（昭和5）年にはマグロ油漬け缶詰の輸出が始まります。静岡県の水産試験場で開発されたこの缶詰はアメリカで大変人気だったといいます。

この成功でマグロの需要が増え、さらに戦後になると、交通事情が良くなったことや、優れた冷凍保存技術を持つ施設の整備が進んだことも加わり、清水港にはますます多くのマグロが水揚げされるようになりました。現在、清水港の冷凍マグロの水揚げは、国内全体の水揚げ量の約50%を占め日本一を誇っています。

そのほかにも、みかん、オートバイ、楽器など、静岡県内をはじめとした近隣地域の生産品を中心に、臨海部の工業化の進展に合わせ、清水港はその港域と機能を拡張していきました。

1952（昭和27）年、清水港は特定重要港湾の指定を受け国際貿易港となりました。コンテナ輸送への対応にもいち早く応じ、1970（昭和45）年にはコンテナ船・パシフィックバンガー号が初入港しています。

国内有数の貿易港として成長を続け、高度経済成長期の日本を支える重要な役割を果たしてきた清水港は2011（平成23）年、静岡県内で唯一の「国際拠点港湾」に指定されました。今後のさらなる発展に期待が膨らみます。

静岡県にあるもう一つの「日本一」の漁港と言えば、カツオ水揚げ量日本一を誇る焼津漁港です。

焼津の漁業は、すでに江戸時代には相当の規模を誇っており、27隻のカツオ漁船には幕府から船鑑札が与えられていました。1908（明治41）年、初めて石油発動機付漁船が建造されると、漁場は黒潮流域の遠方に拡がりました。

1952（昭和27）年以降、南洋漁場の開拓が始まり、東はミッドウェイ島近海から西は南シナ海、南は赤道付近へと漁場を拡大。現在、焼津漁港で水揚げする大型漁船は年間400隻を数え、全国有数の遠洋漁業水揚げ基地に発展しています。

静岡県の中央に位置し、関東と関西を結ぶ東海道のほぼ中央という交通アクセスの良い漁港で、水産文化都市づくりを目指す焼津市の中核として役割を果たしています。

日本の各県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。静岡の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載！