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韮山反射炉は江川英龍の海防政策案で作られた

韮山反射炉が建設された背景には、当時、鎖国体制を貫いていた日本と、それを取り巻く諸外国の情勢が強く影響しています。

1840(天保11)年のアヘン戦争で、列強諸国の圧倒的な軍事力に屈した清(中国)を見て、韮山代官の江川英龍(坦庵:えがわひでたつ(たんなん))は大きな危機感を覚えました。そこで、海防政策の一つとして、西洋砲術・西洋式軍隊の導入などの政策とともに、鉄製大砲の生産の必要性を幕府に説きました。

当初、幕府は乗り気ではなかったのですが、1853(嘉永6)年のペリー来航で外国の脅威に直面し、近代的な軍事技術の取り入れを決意。江川英龍に、海防政策の一環として、内海台場の築造と鉄製大砲鋳造のための反射炉建設を命じました。

韮山反射炉は江川英龍の独学で建設された

当初、反射炉の建設予定地は下田港に近い賀茂郡本郷村(現在の下田市高馬)でした。しかし、1854(安政元)年、下田に入港していたペリー艦隊の水兵が反射炉建設地内に侵入するという事件が起こり、急きょ建設地を韮山代官所に近い田方郡中村(現在の伊豆の国市中)に移転することになりました。

江川英龍ペリー来航以前から反射炉の研究を続けていましたが、蘭書の記述のみを頼りに反射炉を建設するのは困難を極めたといいます。設計では、ヒュゲニン(huguenin)著『ロイク王立鉄製大砲鋳造所における鋳造法』という蘭書を参考にしたと言われています。

韮山反射炉と下田

韮山反射炉と下田

反射炉建設地内にペリー艦隊の水兵が侵入する事件が発生し、急遽下田から内陸の韮山に建設地を変更しました。

韮山反射炉の完成を江川英龍は見ることができなかった

反射炉の建設に心血を注いだ江川英龍でしたが、残念なことに、江川英龍自身は韮山反射炉の竣工を見ることなく1855(安政2)年に病死してしまいます。

その後、江川英龍の意思を継いだ息子の江川英敏が、佐賀藩の築地反射炉・多布施反射炉の建設に携わった技師たちに協力を仰ぎ、1857(安政4)年11月、韮山反射炉は着工から3年半の歳月をかけてようやく完成を見ます。

韮山反射炉の終わり

その後、幕府直営の反射炉として、鉄製18ポンドカノン4門、青銅製砲数十門が鋳造され、1864(元治元)年、韮山反射炉はその役割を終えました。

国指定史跡 韮山反射炉

住所
静岡県伊豆の国市中268
交通
伊豆箱根鉄道駿豆線伊豆長岡駅からタクシーで7分
料金
入場料=大人500円、小・中学生50円/(障がい者手帳持参で無料)

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・磐田市にトンボの楽園があった!
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・静岡最古の古代人は愛鷹山付近にいた!
・日本考古学の聖地・登呂遺跡
・日本書紀に見る静岡とヤマトタケルの伝説
・源頼朝も流された流刑地伊豆
・下田が開港の舞台になったのはなぜか
・江戸城よりも大きかった駿府城天守台
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・家康の遺体は日光ではなく久能山にある?
・徳川慶喜と渋沢栄一の意外なつながり

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