田中城の歴史
田中城は、直径約600mの4つの曲輪(くるわ)(区画)が同心円状に配置され、6つの三日月堀(馬出曲輪)が虎口に造られていました。三の丸は土塁の4か所が外に向かって突出しており、この形状が亀に似ていることから、別名「亀城」「亀甲城」とも呼ばれていました。
この田中城の歴史は、16世紀、土豪・一色(いっしき)氏が今川氏の命を受け徳一色城(とくのいっしきじょう)を築城したことに端を発するとされ、田中城の築城当初は、西の遠州の国人衆への備えとして築かれたといわれています。
その後、1568(永禄11)年に武田信玄が駿河侵攻を開始すると、田中城は駿河西部の城砦 網の要として重要視されるようになっていきます。
田中城の築城法の特徴
1570(永禄13)年、徳一色城は武田信玄によって攻略され、城の縄張りは馬場信房(ばばのぶふさ)が担当。この武田家時代に田中城の戦闘的機能が整えられたと考えられます。
馬出曲輪が6か所設けられたのは武田流の築城法の一つです。
田中城には本丸櫓(やぐら)が現存(移築)
本丸には天守閣はなく、二階の本丸櫓がありました。これは、戦の備えではなく、月見など風流を楽しむ際に使用した建物だったとされています。
田中城の落城
1582(天正10)年、長年にわたる家康の攻撃を受け田中城は落城。藩政時代には志太地区で唯一の藩である田中藩の政庁となりました。
その後、大政奉還により、志太地区は静岡藩の領地となったため、田中藩は安房国長尾藩へ転封(大名の領地をほかに移すこと)となり、藩主と家臣一同は新しい領地へ移っていきました。
1871(明治4)年の廃藩置県により、田中城もその役割を終えたのです。
田中城で食した「鯛の天ぷら」が家康の死因!?
田中城へは徳川家康が趣味の鷹狩りを楽しむためにしばしば立ち寄っていました。
1616(元和2)年1月21日、城に入った家康は、鯛をゴマ油(かやの油とも)で揚げすりにんにくをかけた料理を前にします。京都で流行しているというその料理のあまりのおいしさに、家康が思わず食べ過ぎ腹痛を起こしてしまいます。
それから約3ヶ月後の4月17 日、家康は駿府城内にて死去。直接の死因は胃がんで、長らく続いた腹痛は胃がんの末期的症状という説が有力ですが、食べ過ぎた鯛料理がその引き金になったのかもしれません。
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