登呂遺跡からわかる弥生・古墳時代の様子
昭和の終わり頃から、九州・近畿・東北など、全国各地で弥生時代の遺跡の発掘調査が進み、その研究成果から弥生時代の集落の様子が次第に明らかになってきました。
1999(平成11)年から2003(平成15)年の5年間にわたり、登呂遺跡でも再発掘調査が行われることとなりました。
調査の結果から、登呂遺跡は洪水による被害を受けながらも、弥生時代後期から古墳時代初頭頃まで続いた遺跡だったこと、住居や高床倉庫のほかに祭殿が建てられていたこと、住まいの区域と水田の区域の境に水路がつくられていたこと、水田の大区画の中を小区画に分けていたことなど、新しい事実が次々と明らかになりました。
登呂遺跡の発掘が日本の考古学に大きく貢献
弥生時代の水田跡の遺構が確認されたのは日本で初めてのことであり、登呂遺跡の発見は“弥生時代=水田稲作”というイメージが定着する契機となりました。さらに、この登呂遺跡の発掘調査をきっかけに日本考古学協会が発足されるなど、学会の注目度も高く、戦後日本の考古学の発展に大きく貢献しています。
また、2016(平成28)年8月17日には、登呂遺跡が弥生時代の集落などの実態を初めて学会に提示した遺跡であり、出土品は戦前から戦後にかけての日本考古学の研究史を語るうえで欠かせない資料でもあるとして、その学術的価値が評価され、出土品のうち775点が国の重要文化財に指定されました。
登呂遺跡の復元と静岡市立登呂博物館
現在は、遺跡内に住居や高床倉庫といった当時の建物や水田が復元されています。また、遺跡に隣接して「静岡市立登呂博物館」があり、1階は参加体験型展示、2階は出土品の土器や丸木舟など、登呂遺跡の考古資料が展示されています。
登呂の住居
登呂遺跡で見られる「平地住居」は、床を地面と同じ高さにして、周りにドーナツのような盛土で壁をつくり、さらに住居の外周に排水溝を掘りめぐらせて水の侵入を防ぐ工夫が施されています。
高床倉庫
収穫した稲などを保管しておく高床倉庫。湿気を防ぐために、地面から1.3m の高さに床を上げ、床と柱の間にはネズミなどの侵入を防止するための「ねずみ返し」という板が挟み込まれています。
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Part.1 地図で読み解く静岡の大地
・富士山が標高日本一、駿河湾が深海日本一になった理由
・南から来た、火山の贈り物、伊豆半島ジオパーク
・交通の難所「大崩海岸」は海底噴火によって作られた!
・「日本三大人工美林」数えられる天竜の杉林は川の氾濫に関係があった?
・磐田市にトンボの楽園があった!
・湖?川?海?浜名湖の正体を探れ!
・世界遺産「三保松原」は江戸時代に「島」から「半島」になった!
などなど静岡のダイナミックな自然のポイントを解説。
Part.2 静岡を駆け抜ける鉄道網
・静岡県の鉄道の歴史は沼津市内の貨物線から始まった
・かつては「東海道本線」だった由緒正しき(?)御殿場線
・JRと私鉄が一体となって形成する伊豆半島東海岸の鉄道ルート
・意外なエピソードを秘めた東海道本線・静岡鉄道の並行区間
・「政令指定都市・静岡」の市内も走る山岳鉄道、大井川鐵道井川線
・軍事上の要請が背景にある天竜浜名湖鉄道(旧国鉄二俣線)のルート
などなど静岡ならではの鉄道事情を網羅。
Part.3 静岡で動いた歴史の瞬間
・静岡最古の古代人は愛鷹山付近にいた!
・日本考古学の聖地・登呂遺跡
・日本書紀に見る静岡とヤマトタケルの伝説
・源頼朝も流された流刑地伊豆
・下田が開港の舞台になったのはなぜか
・江戸城よりも大きかった駿府城天守台
・日本にたった一つしかない形の城・田中城
・家康の遺体は日光ではなく久能山にある?
・徳川慶喜と渋沢栄一の意外なつながり
などなど、激動の静岡の歴史に興味を惹きつける。
Part.4 静岡で育まれた産業や文化
・模型の首都!静岡が生まれたワケ
・バイクに楽器。浜松のものづくりは綿花の栽培から
・ボールは友達!サッカー王国しずおか
・富士山麓の湧水が育てた製紙業
・月ではなく富士山に帰ってしまう「かぐや姫」
・仏教界のスーパースター空海が静岡に残した伝説
…などなど静岡の発展の歩みをたどる。
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