更新日: 2024年9月23日
浜名湖の歴史~湖か?川か?海か?特異な水辺の誕生の起源~
海の水と川の水が混ざり合う浜名湖は、地理上は「湖」、河川法では「川」、漁業法では「海」に分類される不思議な水辺。
その成り立ちや変遷に迫ってみましょう。
≪ポイント≫
・浜名湖は淡水と海水が混ざり合う汽水湖
・一時はほぼ淡水湖となるが大地震によって海水が流れ込み汽水湖となった
・江戸時代には天然うなぎの産地として知られていた
目次
浜名湖の歴史:語源
浜松市と湖西市にまたがる浜名湖は、その昔、奈良や京の都に近い琵琶湖が「近淡海(ちかつおうみ)」と呼ばれたことに対し、都から遠く離れていることから「遠淡海(とおつおうみ)」と呼ばれ、7世紀頃から明治初期まで県西部にあった「遠江国(とおとうみのくに)」の語源となったと考えられています。
美しい自然に囲まれた湖畔には、温泉宿やホテル、ミュージアム、遊園地などの観光施設が点在し、夏には海水浴やマリンスポーツで訪れた多くの人で賑わいを見せます。
浜名湖は淡水と海水が混ざり合う汽水湖
本湖と猪鼻(いのはな)湖・庄内(しょうない)湖などの支湖からなる浜名湖は、南部の「今切口(いまぎれぐち)」で遠州灘とつながる汽水湖(きすいこ)です。
汽水湖は淡水と海水が混ざり合う塩分の低い水をたたえる湖で、国内には浜名湖のほか、サロマ湖(北海道)、十三(じゅうさん)湖(青森県)、宍道(しんじ)湖(島根県)などがあります。
浜名湖では汽水湖の水質が漁業に生かされており、うなぎ、海苔(のり)、牡蠣(かき)、すっぽんなどの養殖が盛んに行われてきました。
浜名湖の湖岸線の長さは国内の汽水湖最長
湖の面積は約65k㎡で、国内の湖沼の面積としては10番目の広さですが、複雑に入り組んだ地形が沿線を長くしており湖岸線は128kmと、こちらは琵琶湖に次ぐ国内2番目の長さで、汽水湖としては最も長くなっています。
浜名湖で見られる独特の潮の満ち引き
湖には約3億3000万tの水があると言われていますが、湖と海をつなぐ水の出入り口は幅200mほどの今切口しかなく、その今切口を1日4000万tもの水が出入りしています。入り組んだ地形に加え、狭い今切口が浜名湖内の潮の満ち引きを複雑にしており、外海で潮が引く時間になっても、湖内の奥地ではなかなか潮が引きません。今切口から近い舞阪に比べると、湖中央部の村櫛(むらくし)で約2時間、奥地の引佐細江(いなさほそえ)湖、猪鼻瀬戸では約3時間のずれが生じると言われています。
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