トップ > カルチャー >  東海 > 静岡県 >

遠州七不思議ゆかりの地

遠州七不思議ゆかりの地

【遠州七不思議①】夜泣き石/小夜(さよ)の中山(掛川市)

旧東海道、日坂宿(にっさかじゅく)と金谷宿(かなやじゅく)の間にある小夜の中山峠に、夜泣き石と呼ばれる石があります。ここは急坂が続く街道の難所で、山賊も出る危険な道でした。

あるとき身重の女性が安産祈願に向かう途中、山賊に襲われ、殺されてしまいました。切られた腹から生まれた赤ん坊を助けるため、母の魂は傍の石に乗り移って泣き、それを聞きつけた僧侶によって無事赤ん坊は命を救われます。乳の代わりに水飴を与えられ、立派に成長した子どもは、後に母親の仇を討ったといいます。

今も小夜の中山には夜泣き石が残り、小夜の中山トンネル脇の「小泉屋」と久延寺近くの「扇屋」で「子育て飴」が売られています。

【遠州七不思議①】夜泣き石/小夜(さよ)の中山(掛川市)

掛川市の久延寺に残る夜泣き石。

久延寺 夜泣石

住所
静岡県掛川市日坂佐夜鹿291
交通
JR東海道新幹線掛川駅からしずてつジャストライン事任東山行きバスで30分、八幡宮前下車、徒歩1時間20分
料金
情報なし

【遠州七不思議②】桜ヶ池の大蛇/池宮(いけみや)神社(御前崎市)

平安末期、比叡山(ひえいざん)に皇円阿闍利(こうえんあじゃり)という名僧がいました。彼は弥勒菩薩(みろくぼさつ)に教えを乞いたいと願いましたが、菩薩がこの世に現れるのは56億7千万年後、とてもそこまでは生きられません。嘆いた皇円は1169(嘉応元)年、大蛇となって長い命を生きると決め、桜ヶ池の底に自らの身を沈めました。皇円の弟子である法然(ほうねん)上人が池を訪れ、供養のために赤飯をヒノキの櫃(ひつ)に詰めて沈めました。

今でも池のそばにある池宮神社では、彼岸の中日に赤飯を詰めた櫃を池に沈めて竜神に供える「お櫃納め」が行われています。不思議なことに数日後には、空になった櫃が浮いてくるといわれています。

桜ヶ池

住所
静岡県御前崎市佐倉
交通
JR東海道本線菊川駅からしずてつジャストライン御前崎灯台行きバスで40分、桜ヶ池下車、徒歩5分
料金
情報なし

【遠州七不思議③】天狗の火(御前崎市)

その昔、文吉という若者がいました。漁師である千吉の家に遊びに行き、時が過ぎるのも忘れて過ごしました。

帰る文吉に、千吉は朝取れたばかりの魚を土産に持たせました。真っ暗な中、文吉は魚を抱えて海沿いを歩きましたが、突然、はるか向こうの山の方から、なにやら青い光が飛んできました。それを見た文吉は天狗だと気づき、急いで近くの小舟の影に身を隠し、千吉からもらった魚を投げました。火が見えなくなってからおそるおそる出てみると、砂の上には両目をえぐられた魚が散らばっていました。魚の目は天狗の好物。天狗が残した魚を食べた者は幸せになれるともいわれています。

遠州灘では火の球が現れる不思議な現象を「天狗の火」と呼び、同様の伝説が、静岡県各地に残っています。

【遠州七不思議④】池の平の幻の池(浜松市天竜区)

天竜区水窪(みさくぼ)町の山奥のくぼ地に、およそ7年周期で夏の終わりに突然池が出現する幻想的な池。

【遠州七不思議⑤】子生まれ石(牧之原市)

龍門山大興寺の住職が往生するころになると、裏山の沢の崖の壁から石が生まれるという不思議な伝説。

【遠州七不思議⑥】無間の鐘/阿波々(あわわ)神社(掛川市)

粟ヶ岳(あわがだけ)の頂上にあった鐘はつくと大金持ちになりますが、死後は地獄に落ちるという噂のある鐘。鐘は寺の古井戸に埋められているといいます。

粟ヶ岳山頂 阿波々神社

住所
静岡県掛川市初馬5419
交通
JR東海道新幹線掛川駅から掛川バスサービス東山行きバスで31分、終点下車、徒歩45分
料金
無料

【遠州七不思議⑦】波小僧(御前崎市)

昔、漁師に捕えられた波小僧が、海へ逃してくれた恩返しとして、天気の変わり目を大きな音で知らせるようになったと伝えられています。

【遠州七不思議⑧】京丸牡丹(浜松市天竜区)

恋路を引き裂かれ、気田川で心中した男女の命日になると川のふちに大きな牡丹の花をさかせるといいます。

【遠州七不思議⑨】片葉の葦/応声教院(おうしょうきょういん)(菊川市)

法然上人から授けられた袈裟(けさ)に触れた葦(あし)が、念仏の功徳に感じて片葉が伸びなくなったと言われています。

【遠州七不思議⑩】能満寺のソテツ/能満寺(のうまんじ)(吉田町)

徳川家康がほしがったソテツを能満寺から駿府城へと運ぶと、ソテツが夜な夜な泣いたので、再び能満寺に戻したという話。

能満寺の蘇鉄

住所
静岡県榛原郡吉田町片岡2517-1能満寺
交通
JR東海道本線島田駅からしずてつジャストライン榛原町行きバスで30分、吉田高校前下車、徒歩5分
料金
情報なし

『静岡のトリセツ』好評発売中!

日本の各県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。静岡の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!

Part.1 地図で読み解く静岡の大地

・富士山が標高日本一、駿河湾が深海日本一になった理由
・南から来た、火山の贈り物、伊豆半島ジオパーク
・交通の難所「大崩海岸」は海底噴火によって作られた!
・「日本三大人工美林」数えられる天竜の杉林は川の氾濫に関係があった?
・磐田市にトンボの楽園があった!
・湖?川?海?浜名湖の正体を探れ!
・世界遺産「三保松原」は江戸時代に「島」から「半島」になった!

などなど静岡のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 静岡を駆け抜ける鉄道網

・静岡県の鉄道の歴史は沼津市内の貨物線から始まった
・かつては「東海道本線」だった由緒正しき(?)御殿場線
・JRと私鉄が一体となって形成する伊豆半島東海岸の鉄道ルート
・意外なエピソードを秘めた東海道本線・静岡鉄道の並行区間
・「政令指定都市・静岡」の市内も走る山岳鉄道、大井川鐵道井川線
・軍事上の要請が背景にある天竜浜名湖鉄道(旧国鉄二俣線)のルート

などなど静岡ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 静岡で動いた歴史の瞬間

・静岡最古の古代人は愛鷹山付近にいた!
・日本考古学の聖地・登呂遺跡
・日本書紀に見る静岡とヤマトタケルの伝説
・源頼朝も流された流刑地伊豆
・下田が開港の舞台になったのはなぜか
・江戸城よりも大きかった駿府城天守台
・日本にたった一つしかない形の城・田中城
・家康の遺体は日光ではなく久能山にある?
・徳川慶喜と渋沢栄一の意外なつながり

などなど、激動の静岡の歴史に興味を惹きつける。

Part.4 静岡で育まれた産業や文化

・模型の首都!静岡が生まれたワケ
・バイクに楽器。浜松のものづくりは綿花の栽培から
・ボールは友達!サッカー王国しずおか
・富士山麓の湧水が育てた製紙業
・月ではなく富士山に帰ってしまう「かぐや姫」
・仏教界のスーパースター空海が静岡に残した伝説

…などなど静岡の発展の歩みをたどる。

『静岡のトリセツ』を購入するならこちら

リンク先での売上の一部が当サイトに還元される場合があります。
1 2

記事をシェア

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!

エリア

トップ > カルチャー >  東海 > 静岡県 >

この記事に関連するタグ