岳南電車の路線の特徴とは
岳南電車の終点、岳南江尾(えのお)駅は吉原(よしわら)駅の東北東の方角にありますが、吉原駅を出発した電車は、JR東海道本線と並んでまず西に向かって走ります。工業地域に向かう前に吉原地区の中心市街地を経由しようと、大回りルートで線路が敷かれているのです。地図を見ると、岳南電車の線路は東海道本線と並んで走った後、吉原駅からおよそ900mのあたりで進路をほぼ90度変えて北へ向かい、吉原本町駅のあたりから東へ向かっていることがわかります。
岳南電車路線図
終点の岳南江尾駅は富士市の東部にありますが、起点の吉原駅から延びる線路はまず西へ向かい、900mほど進んだ辺りでほぼ90度向きを変え、富士市吉原地区の中心部を通ってから岳南江尾駅に向かうルートをとっています。シャトルバスの運行が試行された岳南江尾駅~JR東田子の浦駅間は直線距離で約2.2㎞離れており、徒歩なら40分程度で移動できます。
岳南電車で運行される夜景鑑賞のための特別列車
本吉原駅付近から岳南富士岡駅付近まで、電車は製紙工場が集積する地域を走ります。沿線に工場のタンクやパイプライン、煙突などがひしめき合い、その中をローカル電車が走る風景が、夜になって灯が入ると幻想的な美しさを見せることから、岳南電車は鉄道として全国初の「日本夜景遺産」に認定されており、照明を消した車内で「夜景観賞士」の資格をもつ同社社員がガイドを務める、夜景観賞ツアーの特別電車が運転されることもあります。
このように、沿線十数か所の工場と総延長7㎞もの専用線(引込線)で結ばれ貨物輸送に賑わった昔とは別の形で、岳南電車と沿線の製紙工場との新たな関係が始まっているのです。
岳南電車はもっと長くなるはずだった?
車窓が工業地域から住宅地域に変わり、しばらく進んで東海道新幹線の下をくぐると、電車は岳南江尾(かんなんえのお)駅に到着します。その昔、岳南電車には線路を沼津まで伸ばす計画がありましたが、それは実現せずに終わり、沼津市境まであと約2㎞のこの駅が終着駅となりました。
“沼津への鉄道”を目指した過去の夢は、一度だけ実現しかかったことがあります。2012(平成24)年6月1日から5か月間、岳南電車沿線と沼津方面とを結ぶ公共交通の利便性向上を図るべく、岳南江尾駅と、約2.2㎞南にある東海道本線東田子の浦駅との間にシャトルバスが試験運行されたのです。しかし、このシャトルバスは利用が伸びず、結局試験だけで終わってしまったのでした。
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・南から来た、火山の贈り物、伊豆半島ジオパーク
・交通の難所「大崩海岸」は海底噴火によって作られた!
・「日本三大人工美林」数えられる天竜の杉林は川の氾濫に関係があった?
・磐田市にトンボの楽園があった!
・湖?川?海?浜名湖の正体を探れ!
・世界遺産「三保松原」は江戸時代に「島」から「半島」になった!
などなど静岡のダイナミックな自然のポイントを解説。
Part.2 静岡を駆け抜ける鉄道網
・静岡県の鉄道の歴史は沼津市内の貨物線から始まった
・かつては「東海道本線」だった由緒正しき(?)御殿場線
・JRと私鉄が一体となって形成する伊豆半島東海岸の鉄道ルート
・意外なエピソードを秘めた東海道本線・静岡鉄道の並行区間
・「政令指定都市・静岡」の市内も走る山岳鉄道、大井川鐵道井川線
・軍事上の要請が背景にある天竜浜名湖鉄道(旧国鉄二俣線)のルート
などなど静岡ならではの鉄道事情を網羅。
Part.3 静岡で動いた歴史の瞬間
・静岡最古の古代人は愛鷹山付近にいた!
・日本考古学の聖地・登呂遺跡
・日本書紀に見る静岡とヤマトタケルの伝説
・源頼朝も流された流刑地伊豆
・下田が開港の舞台になったのはなぜか
・江戸城よりも大きかった駿府城天守台
・日本にたった一つしかない形の城・田中城
・家康の遺体は日光ではなく久能山にある?
・徳川慶喜と渋沢栄一の意外なつながり
などなど、激動の静岡の歴史に興味を惹きつける。
Part.4 静岡で育まれた産業や文化
・模型の首都!静岡が生まれたワケ
・バイクに楽器。浜松のものづくりは綿花の栽培から
・ボールは友達!サッカー王国しずおか
・富士山麓の湧水が育てた製紙業
・月ではなく富士山に帰ってしまう「かぐや姫」
・仏教界のスーパースター空海が静岡に残した伝説
…などなど静岡の発展の歩みをたどる。
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