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蛇松線は静岡の物流を担う鉄道になった

この貨物線は、1889(明治22)年2月1日に官設鉄道の国府津駅~静岡駅間が開業した後は、石油や木材、海産物など一般の貨物を輸送する路線になりました。1899(明治32)年に正式な駅となった狩野川右岸の駅は、所在地の、付近にあった蛇のような枝ぶりの松の木に由来する蛇松(じゃまつ)という地名から「蛇松駅」という駅名になり、路線名も「蛇松線」と通称されました(正式には固有の路線名をもたない、東海道本線の支線でした)。

「蛇松線」はモータリゼーションの波に押されて衰退

1944(昭和19)年、狩野川の永代橋西側にあった魚市場が沼津港内港に移転すると、蛇松線も沼津港内港へ乗り入れることとなり、1947(昭和22)年3月1日、従来の蛇松駅を改称・移転した「沼津港駅」を終点とする新ルートが開業しました。ただし、従来の狩野川右岸への旧ルートも、沼津港駅の構内側線として存続し、「沼津港線」とも呼ばれるようになった蛇松線は、先端部が2つに分かれる形となりました。

このように、戦後間もない頃はルートを変更してまで地域の需要に応えた蛇松線でしたが、その後やって来たモータリゼーションの進展には勝てなかったのです。貨物の輸送手段がトラックへ移行していくのと反比例するように輸送量は減少し、1974(昭和49)年8月31日限りでその歴史に幕を閉じました。

蛇松線は今もその名残が点在

廃止された静岡県最古の鉄道の跡は、その後沼津市によって白銀町から旧蛇松駅跡まで、約1.8㎞の区間について緑地・緑道化が進められました。1982(昭和57)年、約120種、14000本の植栽木のある「蛇松緑道」として生まれ変わり、現在は市民のいこいの場として親しまれています。

また、途中の「蛇松緑道お祭り広場」付近で緑道から分岐し、旧沼津港駅跡まで続く線路跡も見逃せません。戦後開業したこの区間では、廃止から半世紀近く過ぎた今もなおレールが残っている部分が多く、かつて走っていた鉄道の面影が色濃く感じられます。

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Part.1 地図で読み解く静岡の大地

・富士山が標高日本一、駿河湾が深海日本一になった理由
・南から来た、火山の贈り物、伊豆半島ジオパーク
・交通の難所「大崩海岸」は海底噴火によって作られた!
・「日本三大人工美林」数えられる天竜の杉林は川の氾濫に関係があった?
・磐田市にトンボの楽園があった!
・湖?川?海?浜名湖の正体を探れ!
・世界遺産「三保松原」は江戸時代に「島」から「半島」になった!

などなど静岡のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 静岡を駆け抜ける鉄道網

・静岡県の鉄道の歴史は沼津市内の貨物線から始まった
・かつては「東海道本線」だった由緒正しき(?)御殿場線
・JRと私鉄が一体となって形成する伊豆半島東海岸の鉄道ルート
・意外なエピソードを秘めた東海道本線・静岡鉄道の並行区間
・「政令指定都市・静岡」の市内も走る山岳鉄道、大井川鐵道井川線
・軍事上の要請が背景にある天竜浜名湖鉄道(旧国鉄二俣線)のルート

などなど静岡ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 静岡で動いた歴史の瞬間

・静岡最古の古代人は愛鷹山付近にいた!
・日本考古学の聖地・登呂遺跡
・日本書紀に見る静岡とヤマトタケルの伝説
・源頼朝も流された流刑地伊豆
・下田が開港の舞台になったのはなぜか
・江戸城よりも大きかった駿府城天守台
・日本にたった一つしかない形の城・田中城
・家康の遺体は日光ではなく久能山にある?
・徳川慶喜と渋沢栄一の意外なつながり

などなど、激動の静岡の歴史に興味を惹きつける。

Part.4 静岡で育まれた産業や文化

・模型の首都!静岡が生まれたワケ
・バイクに楽器。浜松のものづくりは綿花の栽培から
・ボールは友達!サッカー王国しずおか
・富士山麓の湧水が育てた製紙業
・月ではなく富士山に帰ってしまう「かぐや姫」
・仏教界のスーパースター空海が静岡に残した伝説

…などなど静岡の発展の歩みをたどる。

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