「兵庫県は日本の縮図」を地質から探る
地質学的な特徴を見てみましょう。県域のほとんどが、世界的規模の断層である中央構造線に属しています。中央構造線は、日本列島がまだアジア大陸の一部だった1億年以上前に活動を開始し、現在も段階的に活動しつづけている断層です。
日本列島は2500万年くらい前に、中央構造線の一部を含んだ状態で大陸から離れはじめ、約1万3000年前に現在の形になったと考えられています。
兵庫県の地質:播但地方
県中央部以北の播但山地の基盤をなす地層は、古生代(約5億4100万~約2億5190万年前)や中生代(約2億5217万~約6600万年前)にできた堆積岩(たいせきがん)で形成されています。
兵庫県の地質:丹波地方
丹波地方では、砂岩(さがん)・泥岩(でいがん)、石灰岩(せっかいがん)などを含む丹波群層の上に、中生代白亜紀前期(約1億4500万~約1億2000万年前)の地層「篠山層群」が分布しています。この時代は恐竜の全盛期で、丹波市と丹波篠山市では多くの恐竜やほ乳類などの化石が見つかっています。
兵庫県の地質:播磨地方
播磨平野は、河川がもたらした土砂を主体に形成されています。播磨地方の丘陵は、地質時代のうちもっとも新しい層である第三紀層からなっています。その東方に位置する六甲山地は花崗岩(かこうがん)類からなり、300~900m級の山地をなしています。
兵庫県の地質:淡路島
淡路島の地質も第三紀層からなり、全体として花崗岩系の硬い岩石でできた丘陵台地が広がっています。淡路島は周囲を海に囲まれており、加えて地層が軟弱であるため、浸食作用が強く働きます。そのため大地は海水や風に削られてきました。
また、第三紀層は固まりにくい泥質の堆積岩類や変成岩類を多く含むため、地すべりが多く発生します。淡路島の丘陵地では、数十万年前に地すべりがくり返されたことで複雑な凹凸が形成されたと考えられています。
「兵庫県は日本の縮図」を気候から探る
兵庫県はこのように地域によって地形や地質が異なるため、気候もおのずと異なります。
播但山地と丹波高地を境に、北側は冬期にシベリアの季節風を受けて大量の雪が降る日本海型気候となり、南側は温暖な瀬戸内式気候となります。日本海側の気候風土と瀬戸内海・太平洋側の気候風土をあわせ持っている点も日本の縮図と呼ばれる理由です。
兵庫県の気候と特産品の関係
県の中央部は、やや少雨傾向の内陸気候となります。丹波地方は、昼夜の気温差が大きく、土壌は肥沃(ひよく)な粘土質なので農業に適しています。丹波栗と黒豆が特産品です。
瀬戸内海側は年間を通じて温暖で降水量が少ないです。海に囲まれた淡路は、年中温暖な地域で海山の幸に恵まれています。日照時間が長く空気が乾燥していることを利用してつくられる特産品は数えきれません。
兵庫県の降水量と気温
日本海型気候の北部では、年降水量の約40%が12月から3月までの間に降ります。これに対し、瀬戸内海側ではこの期間がもっとも降水量が少ないのです。年平均気温を比較すると、県北の豊岡市では14.3℃、県南の神戸市では16.7℃となっており、2.4℃の差があります。
豊岡市の14.3℃は富山県の年平均気温と同じで、全国平均15.3℃より1℃低い。神戸市の16.7℃は佐賀県や和歌山県、大阪府の年平均気温と同じで、全国平均より1.4℃高い。
「兵庫県は日本の縮図」全域に広がる温泉
県内に活火山はなくても温泉は多い。有馬温泉(神戸市)、城崎温泉(豊岡市)をはじめ、草山温泉(丹波篠山市)、赤穂温泉(赤穂市)、塩田温泉(姫路市)、洲本温泉(洲本市)など全域に広がっています。
こうした自然の恩恵をたっぷり味わうことができることも、日本の縮図といえます。
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