古関裕而の青年期
1922(大正11)年、家業を継ぐため福島商業学校に入学。しかし、 第一次世界大戦後のインフレで家業は廃業。いっぽう、古関裕而自身は山田耕筰(こうさく)に影響を受けて作曲に熱中し、卒業する頃には「福島ハーモニカ・ソサエティー」に入会し、作曲や指揮に携わっていました。
古関裕而は銀行に勤めるも音楽家への道をあきらめなかった
商業学校卒業後、音楽学校進学を夢見ながらも、 伯父が頭取をしていた川俣銀行(川俣町)に勤務。作曲は続けながら、学生時代から憧れていた山田耕筰に作品を送り、手紙のやりとりをしたこともありました。これがのちに、古関裕而の人生に大きな転機をもたらすことになります。
古関裕而は作曲コンクール入選をきっかけに人生の伴侶と出会い結婚
20歳のときには、 ロンドンのチェスター楽譜出版社のコンクールに舞踊組曲「竹取物語」ほか4曲を応募し、2位に入選。この快挙を掲載した新聞記事が縁で、愛知県豊橋市の内山金子(きんこ)と文通が始まり、出会いから半年後の1930(昭和5)年に結婚しています。
古関裕而は日本コロムビアに入社して専属作曲家に
同年の夏、日本コロムビアの専属作曲家になる誘いを受けて上京。 古関裕を推薦したのは山田耕筰でした。山田はコロムビアの専属作曲家であり顧問だったのです。
入社5年後の1935(昭和10)年、「船頭可愛(せんどうかわい)や」が初のヒット曲に。同時期、今も歌い継がれる早稲田大学の応援歌「紺碧(こんぺき)の空」や「六甲おろし」なども作曲しています。
古関裕而は兵士を励ました軍歌も数多く作曲
日中戦争勃発後は「露営の歌」や「暁に祈る」を作曲。戦地への従軍や慰問の経験から、兵士の疲れを癒やし、励ますことを願ってつくられたものでしたが、 戦時歌謡としての色合いが強く、非難の声もありました。
古関裕而は記憶に残る名曲を次々に発表
戦後は、 劇作家・菊田一夫とコンビを組み、ラジオドラマ「鐘の鳴る丘」「君の名は」などの音楽を担当し、 活躍の場を広げていきました。
1948(昭和23)年には、現在まで使われている夏の甲子園(全国高等学校野球選手権大会)テーマ曲「栄冠は君に輝く」を作曲。
1964(昭和39)年の東京五輪では行進曲「オリンピック・マーチ」を、1972(昭和47)年の札幌冬季五輪では「純白の大地」を作曲しました。
古関裕而は大作曲家として称賛される
こうした功績を称えられ、 古関裕而は1969(昭和44)年に紫綬褒章、1979(同54)年には勲三等瑞宝章を受章。同年には福島市名誉市民第一号にも選ばれました。
古関裕而が校歌を作曲した福島県内の学校(2020年10月現在)
古関裕而が80年の生涯を閉じるまでに作曲した作品総数は5000曲に上りますが、その中には全国各地の学校の校歌や応援歌が約300曲含まれています。福島県内では母校の県立福島商業高等学校をはじめ、100校以上で古関裕而のメロディが採用されています。
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Part.1:地図で読み解く福島の大地
・阿武隈山地や奥羽山脈が境目!浜通り・中通り・会津の3地域
・いわきで発掘された首長竜化石フタバスズキリュウとは?
・福島市がぽっかり入る福島盆地はどうやってできた?
・福島発展の礎を築いた常磐炭田
・磐梯山の大噴火と裏磐梯・五色沼湖群の形成
・猪苗代湖畔からウニ化石!?劇的な会津の地形の成り立ち
・石川町が日本三大産地のひとつ ペグマタイトとはどんな岩石?
・大改修から100年が経過 暴れ川・阿武隈川の今と昔
などなど福島のダイナミックな自然のポイントを解説。
Part.2:福島を駆け抜ける鉄道網
・東北本線旧線の黒磯~白河間には明治時代の面影が残されている!?
・日本最大のC62形SL牽引「ゆうづる」が走った常磐線
・かつては東京と新潟を結ぶ架け橋、会津地方の大幹線・磐越西線
・東京・浅草から特急が直通しトロッコ列車も走る会津鉄道
・かつて硫黄輸送で活躍した猪苗代町の沼尻鉄道とは?
・只見川に架かる数々の鉄橋ほか 魅力いっぱい絶景鉄道・只見線
などなど福島ならではの鉄道事情を網羅。
Part.3:福島で動いた歴史の瞬間
・人間の歯や骨をペンダントに!?原始福島の不思議な弔い
・東北地方最古の前方後円墳!会津大塚山古墳が示す会津の力
・浜通りに古代製鉄遺跡を発見! なぜ大規模な製鉄が行われた?
・中世史総論(関東武士が進出し国盗り合戦!白河・伊達・蘆名・岩城氏の攻防)
・南北朝時代に南朝が拠点とした幻の寺院城郭・霊山寺とは?
・伊達氏のルーツは福島にあり!奥州制覇を果たす道のり
・相馬地方を約700年統治した古豪・相馬氏とはどんな一族?
・奥州きっての城下町・若松はどのようにして生まれた?
・会津若松城で籠城戦を続けた会津藩が開城に至るまで
などなど、激動の福島の歴史に興味を惹きつける。
Part.4:福島で育まれた産業や文化
・最澄と大論戦した僧・徳一が開祖!慧日寺から始まった会津の仏教文化
・猪苗代湖の水を郡山へ! 幹線延長52㎞の安積疏水事業
・県境には二ツ小屋隧道が残る 福島と米沢を結んだ万世大路
・東北唯一の中央競馬場が福島市につくられたわけ
・幕府直営の半田銀山 明治時代は五代友厚が経営
・感染症と闘い続けた細菌学者・野口英世の生涯
・日本酒の金賞受賞数日本一!福島の地酒はなぜすごい?
などなど福島の発展の歩みをたどる。
ほか、巻頭「空撮グラビア」、テーマ別地図、コラム「データでわかる全59市町村」(人口、所得、農業・漁業)、吉田初三郎が描いた福島県の鳥瞰図 など
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