目次
【福島県の県庁所在地はどこ?】福島県域の各藩で誕生した「県」
戊辰戦争で新政府軍に抵抗した会津藩は、若松城を開城して降伏してからは明治新政府の直轄地となり、若松城下に民政取締所(のちの民政局)が設置され、やがて若松県と名を改めることになります。
【福島県の県庁所在地はどこ?】中通り地方には福島県が成立
中通り地方に目を移すと、明治維新後に長沼藩、守山藩は廃藩となりました。福島藩と白河藩には、会津藩と同様に民政局が置かれ、やがて福島県(一次)と白河県が成立。福島県(一次)には、三池(みいけ)藩(福岡県大牟田市)の分領となっていた旧下手渡藩領や旧幕府直轄地も編入されました。二本松藩、三春藩、棚倉藩はそのまま二本松県、三春県、棚倉県となります。
そして1871(明治4)年11月2日には福島県(一次)、白河県、二本松県が合併し、二本松県が誕生しました。そのわずか12日後の11月14日、二本松県は福島県(二次)へと改称します。
【福島県の県庁所在地はどこ?】浜通り地方には改称した磐前県が存在
浜通りでは磐城平藩、泉藩、湯長谷藩の3藩が平(たいら)民政局の管轄となりましたが、廃藩置県で磐城平県、泉県、湯長谷県が成立しました。この3県に中通りの三春県と棚倉県を合わせ、平県となりました。そして平県は、1871(明治4)年11月14日には磐前(いわさき)県と改称します。
つまり、この第一次府県統合を終えた時点では、現在の福島県域には若松県、福島県(二次)、磐前県の3県が存在していたことになります。
【福島県の県庁所在地はどこ?】現在の福島県の誕生
やがて1876(明治9)年8月21日の第二次府県統合では、若松県、福島県(二次)、磐前県が福島県(三次)に合併されました。現在まで続く福島県はこの流れを汲むものであり、1997(平成9)年には8月21日を「福島県民の日」に制定しています。
なお、1886(明治19)年5月10日に東蒲原(ひがしかんばら)郡が福島県から新潟県へと編入されたことにより、現在の福島県域が確定します。
【福島県の県庁所在地はどこ?】「福島」が県名に選ばれた由来とは
自治体の名称として「福島」の名を用いたり、福島町に県庁の本庁舎が置かれたりした理由については、じつははっきりとしていません。この時期の福島県域でもっとも大きな都市は若松でしたが、戊辰戦争の際に「朝敵」とされた会津若松や、やはり奥羽越列藩同盟に加担して新政府軍と戦った二本松の名は忌避されたものと思われます。
また、中央からの交通の便を考慮すると、県庁所在地には奥州街道沿いの中通りが望ましく、福島町が選ばれたのにはそうした立地的な条件も影響したのでしょう。
福島県が発足してからしばらくのあいだ、福島城が本庁舎として用いられました。1880(明治13)年に初代の県庁舎が完成すると、以後、1954(昭和29)年に現在の本庁舎が完成するまで使用されるのでした。
県庁所在地以外の情報も盛りだくさん!『福島のトリセツ』好評発売中
日本の各県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。福島の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!
Part.1:地図で読み解く福島の大地
・阿武隈山地や奥羽山脈が境目!浜通り・中通り・会津の3地域
・いわきで発掘された首長竜化石フタバスズキリュウとは?
・福島市がぽっかり入る福島盆地はどうやってできた?
・福島発展の礎を築いた常磐炭田
・磐梯山の大噴火と裏磐梯・五色沼湖群の形成
・猪苗代湖畔からウニ化石!?劇的な会津の地形の成り立ち
・石川町が日本三大産地のひとつ ペグマタイトとはどんな岩石?
・大改修から100年が経過 暴れ川・阿武隈川の今と昔
などなど福島のダイナミックな自然のポイントを解説。
Part.2:福島を駆け抜ける鉄道網
・東北本線旧線の黒磯~白河間には明治時代の面影が残されている!?
・日本最大のC62形SL牽引「ゆうづる」が走った常磐線
・かつては東京と新潟を結ぶ架け橋、会津地方の大幹線・磐越西線
・東京・浅草から特急が直通しトロッコ列車も走る会津鉄道
・かつて硫黄輸送で活躍した猪苗代町の沼尻鉄道とは?
・只見川に架かる数々の鉄橋ほか 魅力いっぱい絶景鉄道・只見線
などなど福島ならではの鉄道事情を網羅。
Part.3:福島で動いた歴史の瞬間
・人間の歯や骨をペンダントに!?原始福島の不思議な弔い
・東北地方最古の前方後円墳!会津大塚山古墳が示す会津の力
・浜通りに古代製鉄遺跡を発見! なぜ大規模な製鉄が行われた?
・中世史総論(関東武士が進出し国盗り合戦!白河・伊達・蘆名・岩城氏の攻防)
・南北朝時代に南朝が拠点とした幻の寺院城郭・霊山寺とは?
・伊達氏のルーツは福島にあり!奥州制覇を果たす道のり
・相馬地方を約700年統治した古豪・相馬氏とはどんな一族?
・奥州きっての城下町・若松はどのようにして生まれた?
・会津若松城で籠城戦を続けた会津藩が開城に至るまで
などなど、激動の福島の歴史に興味を惹きつける。
Part.4:福島で育まれた産業や文化
・最澄と大論戦した僧・徳一が開祖!慧日寺から始まった会津の仏教文化
・猪苗代湖の水を郡山へ! 幹線延長52㎞の安積疏水事業
・県境には二ツ小屋隧道が残る 福島と米沢を結んだ万世大路
・東北唯一の中央競馬場が福島市につくられたわけ
・幕府直営の半田銀山 明治時代は五代友厚が経営
・感染症と闘い続けた細菌学者・野口英世の生涯
・日本酒の金賞受賞数日本一!福島の地酒はなぜすごい?
などなど福島の発展の歩みをたどる。
ほか、巻頭「空撮グラビア」、テーマ別地図、コラム「データでわかる全59市町村」(人口、所得、農業・漁業)、吉田初三郎が描いた福島県の鳥瞰図 など
『福島のトリセツ』を購入するならこちら
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!