目次
白河口の戦いは戊辰戦争の政局に大きな影響を与える
1867(慶応3)年10月に15代将軍・徳川慶喜が大政奉還をすると、翌1868(慶応4)年1月に京都の伏見で旧幕府軍と新政府軍が衝突しました(鳥羽・伏見の戦い)。戊辰戦争の幕開けです。
松平容保は旧幕府軍として出兵しましたが敗北。新政府軍は東北諸藩に会津討伐の命を下しました。会津に戻った松平容保は新政府に降伏嘆願書を提出しましたが、受け入れられませんでした。
東北諸藩は会津に同情的で、東北34藩から成る奥羽越列藩同盟(おううえつれっぱんどうめい)を結成して新政府軍に抵抗することになります。
白河口の戦いで会津藩は新政府軍の進撃に苦戦を強いられる
はじめ旧幕府軍は白河小峰城(白河市)を占拠し、この“東北の玄関口”で新政府軍の北上を食い止めるつもりでした。しかし、5月1日に新政府軍の総攻撃を受けて白河小峰城は落城(白河口(しらかわぐち)の戦い)。さらに新政府軍は7月29日に二本松城(二本松市)を攻め落とし、8月21日には母成峠(ぼなりとうげ)での戦いに勝利して会津若松の城下へと迫ってきました。
会津藩は会津若松に到る進軍路の十六橋(じゅうろっきょう)(会津若松市・猪苗代町)を破壊しようと試みましたが、想定以上に新政府軍の進軍が速かったために失敗に終わります。やむなく各方面に守備隊を送り敵を迎撃しようとしますが、そのなかには本来、予備兵力のはずの白虎隊(びゃっこたい)も含まれていました。
白河口の戦い
中通りの関門に拠点を築き、会津藩の家老・西郷頼母と仙台・二本松・棚倉藩ら奥羽列藩同盟(東軍)が駐留。薩摩・長州・大垣・忍藩ら西軍による最新の火器での攻撃を受け落城しました。
白虎隊を襲った悲劇
会津藩では年齢順に部隊を編制し、各隊には中国の四聖獣(しせいじゅう)(玄武(げんぶ)、青龍(せいりゅう)、朱雀(すざく)、白虎(びゃっこ))の名を冠していました。このうちもっとも年少の兵で構成されていたのが白虎隊です。
戸ノ口原(とのくちはら)(会津若松市湊町(みなとまち))で敗れた白虎隊は飯森山(いいもりやま)(会津若松市一箕町)に落ち延びましたが、会津城下からのぼった煙を見て落城したと勘違いし、その場で少年兵たちが自刃するという悲劇が起きました。
白河口の戦いに敗れ会津藩は籠城の末に降伏
会津藩は若松城に籠城して抗戦しましたが、この頃には米沢藩をはじめとする同盟諸藩が次々と降伏し、奥羽越列藩同盟は瓦解していました。若松城は孤立無援となり、9月22日、会津藩は開城して新政府軍に降伏したのです。
旧幕府軍の残存兵は会津から仙台へと移り、榎本武揚(えのもとたけあき)の率いる艦隊で蝦夷に渡り、土方歳三らとともに翌年まで箱館戦争を戦うことになりました。
会津藩のその後
会津藩の降伏後、9月26日に庄内藩(山形県鶴岡市)も降伏して東北戦線は終結しました。戦後、会津藩領は新政府軍に没収されて明治政府の直轄地となり、若松城下には明治政府民政局が設置されました。
なお、松平容保は江戸に送られて幽閉されたものの、1869(明治2)年には赦免され、1880(明治13)年には日光東照宮(栃木県日光市)の宮司に任じられて晩年を過ごしました。
『福島のトリセツ』好評発売中!
日本の各県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。福島の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!
Part.1:地図で読み解く福島の大地
・阿武隈山地や奥羽山脈が境目!浜通り・中通り・会津の3地域
・いわきで発掘された首長竜化石フタバスズキリュウとは?
・福島市がぽっかり入る福島盆地はどうやってできた?
・福島発展の礎を築いた常磐炭田
・磐梯山の大噴火と裏磐梯・五色沼湖群の形成
・猪苗代湖畔からウニ化石!?劇的な会津の地形の成り立ち
・石川町が日本三大産地のひとつ ペグマタイトとはどんな岩石?
・大改修から100年が経過 暴れ川・阿武隈川の今と昔
などなど福島のダイナミックな自然のポイントを解説。
Part.2:福島を駆け抜ける鉄道網
・東北本線旧線の黒磯~白河間には明治時代の面影が残されている!?
・日本最大のC62形SL牽引「ゆうづる」が走った常磐線
・かつては東京と新潟を結ぶ架け橋、会津地方の大幹線・磐越西線
・東京・浅草から特急が直通しトロッコ列車も走る会津鉄道
・かつて硫黄輸送で活躍した猪苗代町の沼尻鉄道とは?
・只見川に架かる数々の鉄橋ほか 魅力いっぱい絶景鉄道・只見線
などなど福島ならではの鉄道事情を網羅。
Part.3:福島で動いた歴史の瞬間
・人間の歯や骨をペンダントに!?原始福島の不思議な弔い
・東北地方最古の前方後円墳!会津大塚山古墳が示す会津の力
・浜通りに古代製鉄遺跡を発見! なぜ大規模な製鉄が行われた?
・中世史総論(関東武士が進出し国盗り合戦!白河・伊達・蘆名・岩城氏の攻防)
・南北朝時代に南朝が拠点とした幻の寺院城郭・霊山寺とは?
・伊達氏のルーツは福島にあり!奥州制覇を果たす道のり
・相馬地方を約700年統治した古豪・相馬氏とはどんな一族?
・奥州きっての城下町・若松はどのようにして生まれた?
・会津若松城で籠城戦を続けた会津藩が開城に至るまで
などなど、激動の福島の歴史に興味を惹きつける。
Part.4:福島で育まれた産業や文化
・最澄と大論戦した僧・徳一が開祖!慧日寺から始まった会津の仏教文化
・猪苗代湖の水を郡山へ! 幹線延長52㎞の安積疏水事業
・県境には二ツ小屋隧道が残る 福島と米沢を結んだ万世大路
・東北唯一の中央競馬場が福島市につくられたわけ
・幕府直営の半田銀山 明治時代は五代友厚が経営
・感染症と闘い続けた細菌学者・野口英世の生涯
・日本酒の金賞受賞数日本一!福島の地酒はなぜすごい?
などなど福島の発展の歩みをたどる。
ほか、巻頭「空撮グラビア」、テーマ別地図、コラム「データでわかる全59市町村」(人口、所得、農業・漁業)、吉田初三郎が描いた福島県の鳥瞰図 など
『福島のトリセツ』を購入するならこちら
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!