奥州相馬氏が拠点としたのが小高城（おだかじょう）（南相馬市）です。現在は本丸跡に小高神社が建っており、相馬野馬追（そうまのまおい）では野馬懸（のまかけ）が催される場所としても知られていますが、もともとは南北朝時代に南朝に備えるために建てられた城（小高城）でした。三方向を川や湿地に囲まれており、水に浮かんでいるように見えることから「浮船城（うきふねじょう）」とも呼ばれていたといいます。

相馬野馬追は、太田神社（南相馬市原町区）、中村神社（相馬市中村）、小高神社（南相馬市小高区）の相馬三社の合同祭礼に合わせて催される神事で、甲冑騎馬が練り歩く行列と神旗争奪戦、火祭り、野馬懸けなどが行われます。

相馬野馬追の起源は平将門にまでさかのぼり、将門が下総国葛飾郡小金ヶ原（千葉県流山市）に馬を放ち、軍事訓練をしたことによると伝えられています。この行事は奥州相馬氏に受け継がれ、江戸時代に現在のような祭礼の形式になりました。

1590（天正18）年、豊臣秀吉が小田原の後北条（ごほうじょう）氏を攻めた小田原征伐の際には、奥州相馬氏は豊臣方に恭順の意を示して本領を安堵されました。なお、この頃には一時的に牛越城（うしごえじょう）（南相馬市）を居城としていたようです。いっぽうの下総相馬氏は後北条方に与したために改易となっています。

伊達氏と熾烈な領地争いを繰り広げた相馬氏。伊達氏に対抗する軍事拠点として、仙台方面の要地に城を築きました。別所館は相馬氏が奥州で最初に住んだ城。旧武山家住宅は、中村藩の在郷武士の住宅。同慶寺には中村藩歴代藩主の墓があります。

1611（慶長16）年には中村城を改修し、本拠地を小高から中村へと移しました。そして、利胤を初代藩主として中村藩を立藩。近世大名として江戸時代を送り、そのまま幕末を迎えることになります。

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