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【福島県の歴史】時勢に翻弄された南北朝時代

1333(元弘3)年、鎌倉幕府が滅亡して後醍醐天皇による建武の新政が始まると、後醍醐天皇は北畠顕家(きたばたけあきいえ)を陸奥守に任じて多賀城(宮城県多賀城市)に派遣しました。

やがて足利尊氏が建武政権に反旗を翻して京へ攻め上ると、北畠顕家は奥州の軍勢を率いて上洛。その後、吉野に逃れた後醍醐天皇の吉野朝廷(南朝)と京の朝廷(北朝)が対立すると、南奥州の武士たちはおもに南朝方に加担しましたが、次第に時代の趨勢は北朝方へと傾いていきます。

【福島県の歴史】一揆や反乱が続いた室町時代

南朝が衰退すると、室町幕府の任命した奥州総大将や奥州管領が奥州を支配しました。しかし、南北朝時代の混迷はなかなか収束せず、奥州の国人たちはたびたび国人一揆を起こします。

1391(明徳2)年、3代将軍・足利義満が奥州を鎌倉府(関東支配のための幕府の出先機関)の管轄下に入れると、鎌倉府の長官である鎌倉公方・足利満兼はふたりの弟(篠川公方(ささかわくぼう)と稲村公方(いなむらくぼう))を南奥州に派遣し、両公方が伊達氏や白河氏に所領を献上するよう強要しました。これに対し、1400(応永7)年には伊達政宗(大膳大夫)が反乱を起こし、さらに1413(応永20)年には伊達持宗(だてもちむね)(政宗の孫)も反乱したのです。

【福島県の歴史】伊達氏の勢力が増大した戦国時代

鎌倉公方は関東で関東管領と対立した結果、室町幕府の介入を許し、1439(永享11)年に滅ぼされてしまいます。鎌倉府の影響を逃れた南奥羽では、白河結城(しらかわゆうき)、伊達、蘆名、岩城(いわき)の諸氏が勢力を拡大していきました。

このうち伊達氏は幕府に接近し、1523(大永3)年に伊達稙宗(だてたねむね)が陸奥守護(むつしゅご)に任じられ、奥州支配の大義名分を獲得。分国法(ぶんこくほう)『塵芥集(じんかいしゅう)』を制定して戦国大名化しましたが、息子の晴宗(はるむね)と対立しました。

戦国時代勢力図

戦国時代勢力図
『福島県の歴史』(山川出版社、2015年)を元に作成

15世紀後半に白川氏が最大勢力を築きますが、内紛により衰退し、16世紀以降は伊達氏が台頭しました。蘆名氏は16世紀に会津を掌握。岩城氏は常陸方面への進出を狙い、佐竹氏とのあいだで抗争を繰り広げました。

【福島県の歴史】会津の支配者が次々と変わった安土桃山時代

伊達氏は「独眼竜」政宗の代に最大版図を築き、福島県域の3郡(会津・岩瀬・安積(あさか))を支配します。相馬氏領を除く福島全域を支配下に入れたものの、1590(天正18)年に豊臣秀吉の小田原征伐に遅参したために3郡を没収されてしまいます。

代わりに会津には蒲生氏郷(がもううじさと)が入りました。その後、越後から上杉景勝(うえすぎかげかつ)(上杉謙信の養子)が入りますが、上杉氏は1600(慶長5)年の関ヶ原の戦いで徳川家康と対立したため、戦後に米沢へと転封となりました。このため会津には蒲生氏が復し、子のない蒲生氏にかわって加藤嘉明(かとうよしあき)へと引き継がれるなど、支配者が二転三転しながら江戸時代を迎えることになりました。

【福島県の歴史】会津の支配者が次々と変わった安土桃山時代

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Part.1:地図で読み解く福島の大地

・阿武隈山地や奥羽山脈が境目!浜通り・中通り・会津の3地域
・いわきで発掘された首長竜化石フタバスズキリュウとは?
・福島市がぽっかり入る福島盆地はどうやってできた?
・福島発展の礎を築いた常磐炭田
・磐梯山の大噴火と裏磐梯・五色沼湖群の形成
・猪苗代湖畔からウニ化石!?劇的な会津の地形の成り立ち
・石川町が日本三大産地のひとつ ペグマタイトとはどんな岩石?
・大改修から100年が経過 暴れ川・阿武隈川の今と昔

などなど福島のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2:福島を駆け抜ける鉄道網

・東北本線旧線の黒磯~白河間には明治時代の面影が残されている!?
・日本最大のC62形SL牽引「ゆうづる」が走った常磐線
・かつては東京と新潟を結ぶ架け橋、会津地方の大幹線・磐越西線
・東京・浅草から特急が直通しトロッコ列車も走る会津鉄道
・かつて硫黄輸送で活躍した猪苗代町の沼尻鉄道とは?
・只見川に架かる数々の鉄橋ほか 魅力いっぱい絶景鉄道・只見線

などなど福島ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3:福島で動いた歴史の瞬間

・人間の歯や骨をペンダントに!?原始福島の不思議な弔い
・東北地方最古の前方後円墳!会津大塚山古墳が示す会津の力
・浜通りに古代製鉄遺跡を発見! なぜ大規模な製鉄が行われた?
・中世史総論(関東武士が進出し国盗り合戦!白河・伊達・蘆名・岩城氏の攻防)
・南北朝時代に南朝が拠点とした幻の寺院城郭・霊山寺とは?
・伊達氏のルーツは福島にあり!奥州制覇を果たす道のり
・相馬地方を約700年統治した古豪・相馬氏とはどんな一族?
・奥州きっての城下町・若松はどのようにして生まれた?
・会津若松城で籠城戦を続けた会津藩が開城に至るまで

などなど、激動の福島の歴史に興味を惹きつける。

Part.4:福島で育まれた産業や文化

・最澄と大論戦した僧・徳一が開祖!慧日寺から始まった会津の仏教文化
・猪苗代湖の水を郡山へ! 幹線延長52㎞の安積疏水事業
・県境には二ツ小屋隧道が残る 福島と米沢を結んだ万世大路
・東北唯一の中央競馬場が福島市につくられたわけ
・幕府直営の半田銀山 明治時代は五代友厚が経営
・感染症と闘い続けた細菌学者・野口英世の生涯
・日本酒の金賞受賞数日本一!福島の地酒はなぜすごい?

などなど福島の発展の歩みをたどる。

ほか、巻頭「空撮グラビア」、テーマ別地図、コラム「データでわかる全59市町村」(人口、所得、農業・漁業)、吉田初三郎が描いた福島県の鳥瞰図 など

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