やがて縄文時代になると、地球規模での環境変化が訪れます。急激な地球温暖化にともなって氷河が融解すると海面が上昇（縄文海進）したため、海岸線の位置は現在よりも内陸にありました。四季の変化に富んだ自然環境のもとで、採集生活が比較的安定化し、人々は竪穴式住居をつくって定住するようになります。

約1万年前の仙台内前（うちまえ）遺跡（福島市松川町）からは住居跡（2号住居跡）が見つかっており、縄文時代草創期の爪形文（つめがたもん）土器や多数の石器類が発見されています。宮畑（みやはた）遺跡（福島市岡島）や和台（わだい）遺跡（福島市飯野町）ではクリなどの栽培を行った形跡が確認されており、狩猟採集と原始的な植物栽培から生活の糧を得ていたと推測されます。

弥生時代に入ると、大陸から伝来した稲作文化は前期（前3世紀～2世紀）頃には東北地方に伝播したようで、番匠地（ばんじょうち）遺跡（いわき市内郷御厨町（うちごうみまやまち））や勝口前畑（かつぐちまえはた）遺跡（福島市八島田）などで水田跡が見つかっています。

天王山（てんのうやま）遺跡（白河市久田野（くたの））では壺に詰められた大量の炭化米が出土していることから、収穫物の蓄積が一般的になったことがわかります。

富の蓄積は権力を誕生させ、3世紀末から4世紀頃には有力者が地域を支配するようになりました。豪族たちは畿内のヤマト王権と結びつき、前方後円墳の築造が許されるようになり、古墳時代には、全長127mの亀ヶ森古墳（河沼郡）、全長114mの会津大塚山古墳（会津若松市）と、大型の古墳が次々と造営されていきました。

雄略（ゆうりゃく）天皇の治世下（5世紀）では信夫（しのぶ）（現在の福島県北部）に国造（くにのみやつこ）（地方官）が任命されます。乙巳（いっし）の変（大化の改新、645年）後に中央集権化のため国造制が国郡制に改められると、会津を除く福島県域は陸奥国（むつのくに）となりました。

やがて律令制が乱れ、地方の有力豪族が私有地（荘園）をもつようになると、それを守るための武士団が形成されます。その代表例が平泉（岩手県西磐井郡）を拠点に仏教色の強い独自文化を花開かせた奥州藤原氏で、福島全域は奥州藤原氏の支配下に入ります。

信夫郡は藤原氏の家系の信夫佐藤氏が治めるようになり、浜通りの豪族・岩城則道（いわきのりみち）は藤原氏の祖・藤原清衡（ふじわらのきよひら）の養女（徳姫）を娶りました。

この則道の菩提を弔うために徳姫が建立したのが、福島県内で唯一の国宝建造物「白水阿弥陀堂（しらみずあみだどう）」（いわき市）です。

奥州藤原氏は平泉（岩手県）に中尊寺金色堂を建てるなど栄華を誇ったものの、源義経をかくまった咎を責められ、源頼朝から攻め込まれてしまいます（奥州征伐）。1189（文治5）年に奥州藤原氏が滅亡すると、奥州全域は鎌倉幕府の管理下に置かれました。佐藤氏は力を失い、福島県域は奥州征伐で手柄を挙げた関東の武士団に分与されるのでした。

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