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奥羽本線の板谷峠越えには専用の機関車があった

開通時は補助機関車を連結して登坂していましたが、それでも不十分で、峠越え区間には多数の専用設計の機関車が投入されました。

奥羽本線の板谷峠越えで初期に活躍したSL・4110形

蒸気機関車でもっとも著名な車両は、1914(大正3)年から製造された4110形です。ドイツ製の4100形を改良した国産の車両で、急勾配の粘着性を高めるため動輪が5軸もあります。

奥羽本線の板谷峠越えで投入された電気機関車の数々

電気機関車は、直流電化時に戦後の貨物用電機の傑作・EF15形が投入されましたが、下り勾配ではブレーキの連続で、発熱により車輪のタイヤがゆるむ事例が続出。抜本的な対策として、1951(昭和26)年より、EF15形に電力回生ブレーキを取り付けた改造機、EF16形が製造されました。

1964(昭和39)年からは抑速発電ブレーキ搭載のEF64形に置き換え、交流電化後は電力回生ブレーキのEF71形、動輪の軸重を軽減できるED78形を新規製造しました。これら電気機関車のブレーキシステムは、モーターを発電機としてはたらかせ、電気エネルギーによりブレーキ力を得るものです。

【板谷峠越え】奥羽本線・福島~米沢間では電車にも補助機関車が連結された

福島~米沢間には、機関車列車のほかに勾配に有利な電車の特急も走るようになりましたが、それまでのキハ181系気動車を使用した特急「つばさ」は単独運転では故障が連続し、EF71形の補助機関車が連結されていたほど厳しい区間でした。

【板谷峠越え】奥羽本線・福島~米沢間に訪れた大変革!山形新幹線の開業

長らくスイッチバックと、おもに専用機関車で克服してきた福島~米沢間ですが、大変革期が訪れました。山形新幹線の開業です。

新在直通方式のミニ新幹線の建設により、福島~山形間は新幹線の線路幅1435㎜に改軌されることとなり、工事のため1990(平成2)年に4駅すべてのスイッチバックを廃止。やや強引に駅を本線上に移しました。

改軌後は機関車が通行できなくなり機関車列車は廃止。代わって1992(平成4)年7月の山形新幹線開業からは、福島~米沢間は山形新幹線に組み込まれ、数往復の普通列車が電車により運転されるほかは、「つばさ」が軽やかに駆け抜けています。山形新幹線はもちろん電車なので勾配に強く、モーターも強力。下り勾配用の抑速ブレーキも備え万全の体制です。

奥羽本線・山形新幹線の開業により生じた問題点

しかし、改軌によって線路が分断。在来線の直通が不可能になり、奥羽本線は、福島~青森間を結ぶ本来の役割が果たせなくなったまま現在に至っています。

奥羽本線・福島~米沢間の路線図

奥羽本線・福島~米沢間の路線図

福島~山形~秋田~青森と東北地方を縦貫する奥羽本線。その福島~米沢区間には、険峻な奥羽山脈が立ちはだかります。実際、福島駅を出て庭坂駅を過ぎればもう山岳地帯。かつては、庭坂駅以降、赤岩・板谷・峠・大沢駅と4駅連続でスイッチバックが導入されていました。

今ではここを山形新幹線が颯爽と走るなか、山形線と呼ばれる普通列車も現役。ただし、新幹線と同じ標準軌専用車両が走るため、他線への乗り入れや直通運転はできていません。

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日本の各県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。福島の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!

Part.1:地図で読み解く福島の大地

・阿武隈山地や奥羽山脈が境目!浜通り・中通り・会津の3地域
・いわきで発掘された首長竜化石フタバスズキリュウとは?
・福島市がぽっかり入る福島盆地はどうやってできた?
・福島発展の礎を築いた常磐炭田
・磐梯山の大噴火と裏磐梯・五色沼湖群の形成
・猪苗代湖畔からウニ化石!?劇的な会津の地形の成り立ち
・石川町が日本三大産地のひとつ ペグマタイトとはどんな岩石?
・大改修から100年が経過 暴れ川・阿武隈川の今と昔

などなど福島のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2:福島を駆け抜ける鉄道網

・東北本線旧線の黒磯~白河間には明治時代の面影が残されている!?
・日本最大のC62形SL牽引「ゆうづる」が走った常磐線
・かつては東京と新潟を結ぶ架け橋、会津地方の大幹線・磐越西線
・東京・浅草から特急が直通しトロッコ列車も走る会津鉄道
・かつて硫黄輸送で活躍した猪苗代町の沼尻鉄道とは?
・只見川に架かる数々の鉄橋ほか 魅力いっぱい絶景鉄道・只見線

などなど福島ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3:福島で動いた歴史の瞬間

・人間の歯や骨をペンダントに!?原始福島の不思議な弔い
・東北地方最古の前方後円墳!会津大塚山古墳が示す会津の力
・浜通りに古代製鉄遺跡を発見! なぜ大規模な製鉄が行われた?
・中世史総論(関東武士が進出し国盗り合戦!白河・伊達・蘆名・岩城氏の攻防)
・南北朝時代に南朝が拠点とした幻の寺院城郭・霊山寺とは?
・伊達氏のルーツは福島にあり!奥州制覇を果たす道のり
・相馬地方を約700年統治した古豪・相馬氏とはどんな一族?
・奥州きっての城下町・若松はどのようにして生まれた?
・会津若松城で籠城戦を続けた会津藩が開城に至るまで

などなど、激動の福島の歴史に興味を惹きつける。

Part.4:福島で育まれた産業や文化

・最澄と大論戦した僧・徳一が開祖!慧日寺から始まった会津の仏教文化
・猪苗代湖の水を郡山へ! 幹線延長52㎞の安積疏水事業
・県境には二ツ小屋隧道が残る 福島と米沢を結んだ万世大路
・東北唯一の中央競馬場が福島市につくられたわけ
・幕府直営の半田銀山 明治時代は五代友厚が経営
・感染症と闘い続けた細菌学者・野口英世の生涯
・日本酒の金賞受賞数日本一!福島の地酒はなぜすごい?

などなど福島の発展の歩みをたどる。

ほか、巻頭「空撮グラビア」、テーマ別地図、コラム「データでわかる全59市町村」(人口、所得、農業・漁業)、吉田初三郎が描いた福島県の鳥瞰図 など

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