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「寝台特急ゆうづる」は C62形SLが20系客車を牽引して常磐線を走る!

C62形が20系客車を牽引する、栄えある特急列車は昭和30年代に山陽本線で見られましたが、電化が進むにつれ姿を消しました。しかし、これが1965(昭和40)年10月に「寝台特急ゆうづる」で甦りました。

「寝台特急ゆうづる」活躍の舞台となった常磐線・平~仙台間

その活躍の舞台になったのが、常磐線の平(現・いわき)~仙台(岩沼)間です。前年、初の東北方面の「寝台特急はくつる」が上野~青森間に東北本線経由で登場しましたが、2本目となる「寝台特急ゆうづる」は常磐線経由で運転されました。常磐線は距離は長いのですが、勾配が緩やかな長所がありました。常磐線の同区間は非電化で、今はなき平機関区があり、同区のC62形が牽引しました。

寝台特急ゆうづるの朱色のヘッドマークは「夕焼け空を飛ぶ鶴」をイメージ

「夕焼け空を飛ぶ鶴」をイメージした朱色のヘッドマークは、国鉄のデザイナー・黒岩保美(やすよし)氏がC62形に映えるようデザインしたもので、C62形に調和した見事なものでした。

平以北の福島県内の線路は、海岸沿いもあり風光明媚。唱歌『汽車』の歌詞のモデルにもなったといわれる広野(ひろの)(諸説あり)など、海辺をC62形が20系を牽引して疾走する姿はとても美しいものでした。

また、「寝台特急ゆうづる」は平~仙台間をノンストップの2時間15分で走破し、表定速度は時速67.2㎞という高速運転を実現。このため、C62形の石炭には高カロリーな北海道の夕張炭が使われていました。

常磐線電化後の「寝台特急ゆうづる」と現在の常磐線

その活躍もつかの間、1967(昭和42)年10月、常磐線は全線で電化され、最後の蒸気特急でもあったC62形牽引の「寝台特急ゆうづる」の姿はわずか2年間で見納めとなりました。「寝台特急ゆうづる」は電気機関車牽引、または、583系電車となって引き続き運転されましたが、要衝の平機関区は1970(昭和45)年3月に廃止されました。

東北新幹線、青函トンネル開業後も「寝台特急ゆうづる」は走り続けましたが、1993(平成5)年12月に廃止。いわき~仙台間は現在、1日3往復の「特急ひたち」が走るほかはローカル輸送に徹しています。

常磐線は東日本大震災で大きな被害を受け、多数の不通区間もありましたが、すでに全線で復旧。大幹線として抜群の存在感を見せています。

常磐線・福島県域の路線図

常磐線・福島県域の路線図

常磐線は、日暮里(東京都)を起点に千葉県、茨城県を経て、福島県の浜通りを北進、岩沼(宮城県)までの約344㎞を80駅で結んでいます。福島県内は、南は勿来(いわき市)から北は新地(相馬郡新地町)まで28駅あります。

なお、いわき(かつては平)~仙台区間も電化されSL牽引ではなくなったものの、「寝台特急ゆうづる」は常磐線を1993(平成5)年まで走っていました。

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Part.1:地図で読み解く福島の大地

・阿武隈山地や奥羽山脈が境目!浜通り・中通り・会津の3地域
・いわきで発掘された首長竜化石フタバスズキリュウとは?
・福島市がぽっかり入る福島盆地はどうやってできた?
・福島発展の礎を築いた常磐炭田
・磐梯山の大噴火と裏磐梯・五色沼湖群の形成
・猪苗代湖畔からウニ化石!?劇的な会津の地形の成り立ち
・石川町が日本三大産地のひとつ ペグマタイトとはどんな岩石?
・大改修から100年が経過 暴れ川・阿武隈川の今と昔

などなど福島のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2:福島を駆け抜ける鉄道網

・東北本線旧線の黒磯~白河間には明治時代の面影が残されている!?
・日本最大のC62形SL牽引「ゆうづる」が走った常磐線
・かつては東京と新潟を結ぶ架け橋、会津地方の大幹線・磐越西線
・東京・浅草から特急が直通しトロッコ列車も走る会津鉄道
・かつて硫黄輸送で活躍した猪苗代町の沼尻鉄道とは?
・只見川に架かる数々の鉄橋ほか 魅力いっぱい絶景鉄道・只見線

などなど福島ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3:福島で動いた歴史の瞬間

・人間の歯や骨をペンダントに!?原始福島の不思議な弔い
・東北地方最古の前方後円墳!会津大塚山古墳が示す会津の力
・浜通りに古代製鉄遺跡を発見! なぜ大規模な製鉄が行われた?
・中世史総論(関東武士が進出し国盗り合戦!白河・伊達・蘆名・岩城氏の攻防)
・南北朝時代に南朝が拠点とした幻の寺院城郭・霊山寺とは?
・伊達氏のルーツは福島にあり!奥州制覇を果たす道のり
・相馬地方を約700年統治した古豪・相馬氏とはどんな一族?
・奥州きっての城下町・若松はどのようにして生まれた?
・会津若松城で籠城戦を続けた会津藩が開城に至るまで

などなど、激動の福島の歴史に興味を惹きつける。

Part.4:福島で育まれた産業や文化

・最澄と大論戦した僧・徳一が開祖!慧日寺から始まった会津の仏教文化
・猪苗代湖の水を郡山へ! 幹線延長52㎞の安積疏水事業
・県境には二ツ小屋隧道が残る 福島と米沢を結んだ万世大路
・東北唯一の中央競馬場が福島市につくられたわけ
・幕府直営の半田銀山 明治時代は五代友厚が経営
・感染症と闘い続けた細菌学者・野口英世の生涯
・日本酒の金賞受賞数日本一!福島の地酒はなぜすごい?

などなど福島の発展の歩みをたどる。

ほか、巻頭「空撮グラビア」、テーマ別地図、コラム「データでわかる全59市町村」(人口、所得、農業・漁業)、吉田初三郎が描いた福島県の鳥瞰図 など

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