茨城県の漁業の歴史と漁場
県の漁業の歴史を近世まで遡ると、現在と大きく変わらず、沿岸部、霞ヶ浦・北浦、利根川、鬼怒川、那珂川、久慈川などの河川で漁業が活発でしたが、半農半漁の漁村が多く、近世後期頃までは流通は近隣に限られていました。
茨城県の漁業の歴史:鹿島灘
鹿島灘では、関西から銚子(千葉県)に導入されたイワシ地引き網漁法が18世紀前期までに広がり、イワシが大量に獲れるようになりました。加工された干鰯(ほしか)、〆粕(しめかす)肥料は関東や東北に出荷され、近世後期には新たな流通ルートも開拓されました。
茨城県の漁業の歴史:霞ヶ浦・北浦周辺
霞ヶ浦・北浦周辺では、平安末期から南北朝期にわたって、近隣の海夫が香取神宮に供祭(ぐさい)料を貢進し、水域での漁労や交通における特権を保証されていた記録が残ります。
戦国期からは漁民の自治組織「霞ヶ浦四十八津(しじゅうはっつ)」「北浦四十四ヶ津(しじゅうしがつ)」がつくられていましたが、幕府や藩の規制を受けて弱体化していきました。湖の入口の水はけが悪くなることによる周辺の田畑への水害が問題視され、江戸後期には定置漁具や魚網が禁止されるなど、漁民の活動の幅が狭められました。
茨城県の漁業の歴史:河川
河川では、利根川が1654(承応3)年に現在の流路を通るようになると、東北と江戸を結ぶ内陸水路として舟運が発展し、潮来や境などの河岸が栄えました。利根川、那珂川、久慈川ではサケが特産品となりました。
茨城県の漁業の歴史:江戸時代の水産物の売上高
1790(寛政2)年に水戸藩から江戸やその他諸国に販売された諸産物の代金の書き上げによると、6位は粕干鰯、干し魚、鰹節、油粕(5158両)、10位が生塩魚(4093両)で、海産物が占める比重は大きかったようです。また、1874(明治7)年の物産表では、水産物の生産額が4.5%と一定の地位を占めており、現在の茨城県の水産業の素地ができあがっていたことがわかります。
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日本の各県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。茨城の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!
【見どころ】 Part.1 地図で読み解く茨城の大地
・地形・地質総論 茨城県域の地質って?
・東の名峰・筑波山はもともと地下の巨大マグマの塊だった!?
・国内で2番目に大きい湖、霞ヶ浦はどのようにしてできた?
・壁面の岩に海底火山の証!名瀑・袋田の滝が誕生するまで
・平磯海岸の恐竜時代の地層から、アンモナイトや国内初のサメ化石!
・県南部で続々と化石発見! 茨城に生きたナウマンゾウ
・南北に約95m広がる大炭田、常磐炭田を生んだ地層と産業史
…などなど茨城のダイナミックな自然のポイントを解説
【見どころ】Part.2 茨城を駆け抜ける鉄道網・交通網
・特急「はつかり」「ひたち」が走る大幹線・常磐線
・第二常磐線構想で生まれたつくばエクスプレス
・奥久慈清流ラインの異名をもつ魅力あふれる水郡線
・めずらしい非電化通勤路線、関東鉄道常総線・竜ヶ崎線
・鹿島参宮鉄道に始まった、鹿島鉄道鉾田線の在りし日
・水戸~石岡を結ぶ計画も……幻の水戸電気鉄道とは?
・阿見線に加え谷田部線? 常南電気鉄道による幻の計画
…などなど茨城ならではの鉄道事情を網羅
【見どころ】Part.3 茨城で動いた歴史の瞬間
・水に恵まれた茨城に人が定住 権力が生まれる
・地方王権の誕生を示す県内最大の古墳・舟塚山古墳
・石岡に置かれた常陸国府とそれを取り巻く交通路の痕跡
・常陸で成長した武家の二大勢力 常陸平氏と佐竹氏
・源頼朝が佐竹氏・平氏討伐! 鎌倉御家人たちが入国
・長い不遇の時代を経て佐竹氏が常陸の覇者に返り咲く
・水戸で育った尊王攘夷思想 桜田門外の変や天狗党の乱に発展
…などなど、激動の茨城の歴史に興味を惹きつける
【見どころ】Part.4 茨城で育まれた産業や文化
・水戸藩に飲料水を運んだ地下水路・笠原水道
・東洋一の航空基地 霞ヶ浦海軍航空隊が置かれた街・阿見町
・2000万人超が来場した科学博、つくば万博の熱狂と跡地の変身
・鉱山開発と日立製作所の歴史
・原子力とともに歩んだ東海村の半世紀
・陸の孤島だった鹿島が臨海工業地帯になるまで
・野菜産出額日本一の街が茨城に!? 鉾田市で農業が盛んな理由とは
…などなど茨城の発展の歩みをたどる。
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