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つくば万博のおもなパビリオンと目玉

会場内には多くの企業や国のパビリオンが立ち並び、当時の最先端技術を駆使したアトラクションが観客を楽しませました。とくに人気を博したのが、NEC C&C パビリオン、富士通パビリオン、鉄鋼館、日本アイ・ビー・エム館、住友館、松下館といった映像展示を主としたパビリオンで、会期中を通していつも長蛇の列ができるほどでした。

そのほかにも、未来の乗り物・リニアモーターカーが会場内に設置された専用軌道を走り、空を見上げればスカイライド(ロープウェイ)ビスタライナー(モノレール)が稼働していました。
片やロボットシアターでは二足歩行ロボットが歌い踊り、子どもたちの目をくぎ付けにしました。まるで未来の遊園地のようで、高いアミューズメント性を兼ね備えたつくば万博は、多くの熱狂的なファン(リピーター)を生み出し、世に科学ブームを巻き起こしました。
こうして参加各国の研究者や企業人がもたらした科学の熱気は、会期中まったく衰えることなく、最終的に約2033万人の観客を動員するに至ったのです。

つくば万博成功の要因はインフラ整備

つくば万博が成功した要因は、もちろん各パビリオンの魅力が一番でしたが、筑波の立地のよさも見逃せません。会場となった筑波研究学園都市は、東京から100km圏内(筑波までは約60km)という場所でした。

ただ、当時の筑波は首都圏からのアクセスがすこぶる悪く、「陸の孤島」と呼ばれていたのです。そこで、つくば万博の開催に合わせて交通インフラの整備を行い、交通の便を格段に向上させ、多くの来場者を呼び込むことに成功したのです。

面積約120ヘクタールに及ぶ万博会場の跡地は、科学万博記念公園や筑波西部工業団地などに利用されています。科学万博記念公園は、緑豊かな市民の憩いの場となり、工業団地には、研究機能をもつ事業所が多く集まっています。
『科学万博 ’85案内図』(昭文社、1985年)など各種資料を元に作成。

つくば万博のインフラ整備①:エキスポライナー

国鉄(当時)常磐線の牛久(うしく)駅〜荒川沖(あらかわおき)駅間には、会場の最寄り駅として万博中央駅(現・ひたち野うしく駅)を新たに設置。上野駅〜万博中央駅までは、臨時快速の「エキスポライナー」が運行され、万博中央駅からは2両連結バスのスーパーシャトルが観客を会場へと運びました。

つくば万博のインフラ整備②:エキスポドリーム

会場付近の宿泊施設不足を補うため、おもしろい施策もとられています。寝台列車をホテル代わりにしたのです。21時台に土浦駅で寝台列車「エキスポドリーム」に客を入れ、留置線で翌朝まで待機。翌朝に万博中央駅へ向けて出発するというわけです。

このエキスポドリームには、ブルートレインの「あさかぜ」に使われた20系という寝台列車用客車と581系・583系電車が使用されました。マスコットの「コスモ星丸」が描かれた記念乗車証も発売され、子どもや鉄道ファンを中心に人気を博しました。

つくば万博のインフラ整備③:常磐自動車道の開通

鉄道だけでなく、自動車道も整備されました。開催前には常磐自動車道が部分開通し、東京方面から筑波までの車でのアクセスが容易となりました。
1978(昭和53)年に着工が予定されていた、土浦と筑波研究学園都市を結ぶ新交通システムの建設は見送られたものの、国、県、関係市町村が一丸となり、万博の成功に向けて動いていました。そしてこの成功が、科学の街・つくばの存在を日本国中に知らしめるきっかけになったのです。

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地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から茨城県を分析!

日本の各県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。茨城の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!

【見どころ】 Part.1 地図で読み解く茨城の大地

・地形・地質総論 茨城県域の地質って?
・東の名峰・筑波山はもともと地下の巨大マグマの塊だった!?
・国内で2番目に大きい湖、霞ヶ浦はどのようにしてできた?
・壁面の岩に海底火山の証!名瀑・袋田の滝が誕生するまで
・平磯海岸の恐竜時代の地層から、アンモナイトや国内初のサメ化石!
・県南部で続々と化石発見! 茨城に生きたナウマンゾウ
・南北に約95m広がる大炭田、常磐炭田を生んだ地層と産業史

…などなど茨城のダイナミックな自然のポイントを解説

【見どころ】Part.2 茨城を駆け抜ける鉄道網・交通網

・特急「はつかり」「ひたち」が走る大幹線・常磐線
・第二常磐線構想で生まれたつくばエクスプレス
・奥久慈清流ラインの異名をもつ魅力あふれる水郡線
・めずらしい非電化通勤路線、関東鉄道常総線・竜ヶ崎線
・鹿島参宮鉄道に始まった、鹿島鉄道鉾田線の在りし日
・水戸~石岡を結ぶ計画も……幻の水戸電気鉄道とは?
・阿見線に加え谷田部線? 常南電気鉄道による幻の計画

…などなど茨城ならではの鉄道事情を網羅

【見どころ】Part.3 茨城で動いた歴史の瞬間

・水に恵まれた茨城に人が定住 権力が生まれる
・地方王権の誕生を示す県内最大の古墳・舟塚山古墳
・石岡に置かれた常陸国府とそれを取り巻く交通路の痕跡
・常陸で成長した武家の二大勢力 常陸平氏と佐竹氏
・源頼朝が佐竹氏・平氏討伐! 鎌倉御家人たちが入国
・長い不遇の時代を経て佐竹氏が常陸の覇者に返り咲く
・水戸で育った尊王攘夷思想 桜田門外の変や天狗党の乱に発展

…などなど、激動の茨城の歴史に興味を惹きつける

【見どころ】Part.4 茨城で育まれた産業や文化

・水戸藩に飲料水を運んだ地下水路・笠原水道
・東洋一の航空基地 霞ヶ浦海軍航空隊が置かれた街・阿見町
・2000万人超が来場した科学博、つくば万博の熱狂と跡地の変身
・鉱山開発と日立製作所の歴史
・原子力とともに歩んだ東海村の半世紀
・陸の孤島だった鹿島が臨海工業地帯になるまで
・野菜産出額日本一の街が茨城に!? 鉾田市で農業が盛んな理由とは

…などなど茨城の発展の歩みをたどる。

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