霞ヶ浦海軍航空隊に予科練が横須賀から移転
1939(昭和14)年、少年航空兵の養成機関である海軍飛行予科練習部(予科練)が、横須賀から霞ヶ浦海軍航空隊に移転。翌年、同隊水上班が独立し、予科練の専門機関である土浦海軍航空隊になりました。
予科練の訓練は厳しさを極めましたが、丈の短い詰襟の制服は少年らの憧れでした。桜と錨が描かれた七つボタンは、予科練を扱った映画の主題歌「若鷲(わかわし)の歌」で歌われ、予科練と霞ヶ浦は全国に知れ渡ったのです。
戦局悪化のために失われた多くの若い命
当初3年間で基礎知識を習得し、約1年間の実地訓練ののち、部隊に配属される仕組みでしたが、戦局悪化により大量採用と短期養成が求められ、わずか半年の訓練で特攻隊への編入や人間魚雷への搭乗を余儀なくされました。
終戦までの15年間で、試験で選抜された14〜17歳の少年約24万人が入隊し、約2万4000人が戦地へ赴き、戦死者約1万9000人と多くの若い命が失われました。
霞ヶ浦海軍航空隊と予科練があった阿見地区は空襲のターゲットに
旧海軍施設が集中する阿見は戦時中、何度も空襲を受けています。最大の空襲は1945(昭和20)年6月10日、土浦海軍航空隊とその周辺に、米爆撃機B29が30機来襲。予科練生や近隣住民ら374人が犠牲になりました。
霞ヶ浦海軍航空隊と予科練跡地の戦後
予科練跡地は戦後、陸上自衛隊土浦駐屯地となり、構内に予科練戦没者の遺品などを展示する「雄翔館(ゆうしょうかん)」や予科練の碑を配した庭園「雄翔園」があります。隣接地の「予科練平和記念館」では予科練の資料展示を中心に、旧海軍の町・阿見の戦史を紹介しています。
霞ヶ浦海軍航空隊は戦後、創設農地として開放され、外地引揚者や復員軍人ら120人が入植。長年の改良工事により、硬い痩せ地を開墾しました。現在は農地や住宅地、陸上自衛隊霞ヶ浦駐屯地のほか、茨城大学農学部や井関農機などの敷地になっています。
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【見どころ】 Part.1 地図で読み解く茨城の大地
・地形・地質総論 茨城県域の地質って?
・東の名峰・筑波山はもともと地下の巨大マグマの塊だった!?
・国内で2番目に大きい湖、霞ヶ浦はどのようにしてできた?
・壁面の岩に海底火山の証!名瀑・袋田の滝が誕生するまで
・平磯海岸の恐竜時代の地層から、アンモナイトや国内初のサメ化石!
・県南部で続々と化石発見! 茨城に生きたナウマンゾウ
・南北に約95m広がる大炭田、常磐炭田を生んだ地層と産業史
…などなど茨城のダイナミックな自然のポイントを解説
【見どころ】Part.2 茨城を駆け抜ける鉄道網・交通網
・特急「はつかり」「ひたち」が走る大幹線・常磐線
・第二常磐線構想で生まれたつくばエクスプレス
・奥久慈清流ラインの異名をもつ魅力あふれる水郡線
・めずらしい非電化通勤路線、関東鉄道常総線・竜ヶ崎線
・鹿島参宮鉄道に始まった、鹿島鉄道鉾田線の在りし日
・水戸~石岡を結ぶ計画も……幻の水戸電気鉄道とは?
・阿見線に加え谷田部線? 常南電気鉄道による幻の計画
…などなど茨城ならではの鉄道事情を網羅
【見どころ】Part.3 茨城で動いた歴史の瞬間
・水に恵まれた茨城に人が定住 権力が生まれる
・地方王権の誕生を示す県内最大の古墳・舟塚山古墳
・石岡に置かれた常陸国府とそれを取り巻く交通路の痕跡
・常陸で成長した武家の二大勢力 常陸平氏と佐竹氏
・源頼朝が佐竹氏・平氏討伐! 鎌倉御家人たちが入国
・長い不遇の時代を経て佐竹氏が常陸の覇者に返り咲く
・水戸で育った尊王攘夷思想 桜田門外の変や天狗党の乱に発展
…などなど、激動の茨城の歴史に興味を惹きつける
【見どころ】Part.4 茨城で育まれた産業や文化
・水戸藩に飲料水を運んだ地下水路・笠原水道
・東洋一の航空基地 霞ヶ浦海軍航空隊が置かれた街・阿見町
・2000万人超が来場した科学博、つくば万博の熱狂と跡地の変身
・鉱山開発と日立製作所の歴史
・原子力とともに歩んだ東海村の半世紀
・陸の孤島だった鹿島が臨海工業地帯になるまで
・野菜産出額日本一の街が茨城に!? 鉾田市で農業が盛んな理由とは
…などなど茨城の発展の歩みをたどる。
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