最初に東京‐青森間の鉄道敷設を提案したのは、実業家の高島嘉右衛門（たかしまかえもん）でした。しかしそのときは、政府の財政難のため実現しませんでした。

とはいえ、国の予算が下りるのを待っていたら、いつまでたっても鉄道整備は進みません。それなら民間資本を投入すればよいのでは。こうした流れで、第十五銀行（華族銀行）頭取の池田章政（いけだあきまさ）が中心となり、1881（明治14）年に日本初の私鉄・日本鉄道会社が設立されました。

日本鉄道によって東北本線の建設が進められ、1883（明治16）年に上野‐熊谷間、1887（明治20）年に上野～仙台～塩釜間の鉄道が開通しました。当時の上野～仙台間の所要時間は12時間20分でした。

ちなみに、当初の予定では仙台‐野蒜間に鉄道が敷かれるはずでしたが、1884（明治17）年の台風で野蒜港計画が白紙になったため、仙台・塩釜間に変更されました。その後、1891（明治24）年に青森までの全線が完成しました。

仙台停車場（仙台駅）の建設にあたっては、建設場所をめぐる議論がありました。日本鉄道は、市街地から離れた榴岡（つつじがおか）（現在の東北本線宮城野貨物支線の仙台貨物ターミナル駅付近）へ停車場を設置しようとしていました。

これを知った地元商人たちが、城下町の衰退を恐れて反対。移設費用を仙台区民が負担すると申し出て、立地を変更するよう要求しました。

結局この要求が通り、東北本線は仙台市街地寄りに引き込まれ、現在仙台駅がある位置に停車場が建設されることとなりました。

なんにせよ、鉄道の開通は宮城の経済に大きな影響を与えました。物流の主流は舟から鉄道に移り、鉄道を中心に都市が発展していきました。

その後の、1906（明治39）年の日本鉄道国有化、1987（昭和62）年の国鉄分割民営化を経て、現在は東京‐盛岡間がJR東北本線となっています。

2002（平成14）年に盛岡～八戸間、2010（平成22）年に八戸～青森間が第三セクターに経営移管され、それぞれ「IGRいわて銀河鉄道」「青い森鉄道」となりました。宮城県内では、廃線となった支線などもありますが、おおむね開業時の路線のままです。

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