茨城県誕生までの流れ①:廃藩置県により現県域内に18県が存在
1869(明治2)年の版籍奉還では、全国274藩の藩主がそのまま知藩事に命じられます。現在の茨城県域に藩庁を置く14藩(水戸藩、松岡藩、宍戸藩、笠間藩、下館藩、下妻藩、麻生(あそう)藩、石岡藩、土浦藩、志筑(しづく)藩、牛久藩、谷田部藩、結城藩、古河藩)が成立。既存の3県も存置されます。こののち谷田部藩が下野国に編入されるなど紆余曲折を経て、1871(明治4)年7月に廃藩置県が行われます。このときには従来の藩がすべて県になったため、全国で3府302県となり、現在の県域には18もの県が設置されました。
中央集権化を推進したい明治政府は、多すぎる諸県の統廃合に着手します。それが同年11月の府県統合(第一次)です。全国3府302県が3府72県まで整理され、現在の茨城県域では旧18県が3県(茨城県、新治県、印旛(いんば)県)に統合されます。各県の県庁は、茨城県は茨城郡水戸、新治県は新治郡土浦、印旛県は印旛郡佐倉に置かれました。
参事が頻繁に後退する「難治の県」
茨城県の初代参事(現在の知事)には、江戸城無血開城の橋渡し役を務めた旧幕臣・山岡鉄舟(やまおかてっしゅう)が就任しました。ですが、山岡の在任期間はわずか1カ月足らずで、以降の長官も在任期間は短く、頻繁に人事が交代しました。水戸学に由来する急進的なイデオロギーが根づいた茨城は、それほど「難治の県」であったのです。
茨城県誕生までの流れ②:利根川を境界として千葉県と分割
府県の統廃合は進められていき、1873(明治6)年6月、印旛県は木更津県と合併して千葉県となります。このときには、残る茨城県と新治県を合併して石岡県とする案もあったようです。
その後、1875(明治8)年5月には、新治県が廃止となり、旧新治県域は茨城県と千葉県に分割されました。その境界となったのは利根川で、新治、筑波、信太、河内、行方、鹿島の各郡は茨城県に編入されることとなりました。また、旧千葉県域のうち、利根川以北の諸郡(猿島、結城、岡田、豊田、葛飾、相馬)も茨城県に編入されることになり、ようやく現在の茨城県域がおよそ確定したことになります。
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・地形・地質総論 茨城県域の地質って?
・東の名峰・筑波山はもともと地下の巨大マグマの塊だった!?
・国内で2番目に大きい湖、霞ヶ浦はどのようにしてできた?
・壁面の岩に海底火山の証!名瀑・袋田の滝が誕生するまで
・平磯海岸の恐竜時代の地層から、アンモナイトや国内初のサメ化石!
・県南部で続々と化石発見! 茨城に生きたナウマンゾウ
・南北に約95m広がる大炭田、常磐炭田を生んだ地層と産業史
…などなど茨城のダイナミックな自然のポイントを解説
【見どころ】Part.2 茨城を駆け抜ける鉄道網・交通網
・特急「はつかり」「ひたち」が走る大幹線・常磐線
・第二常磐線構想で生まれたつくばエクスプレス
・奥久慈清流ラインの異名をもつ魅力あふれる水郡線
・めずらしい非電化通勤路線、関東鉄道常総線・竜ヶ崎線
・鹿島参宮鉄道に始まった、鹿島鉄道鉾田線の在りし日
・水戸~石岡を結ぶ計画も……幻の水戸電気鉄道とは?
・阿見線に加え谷田部線? 常南電気鉄道による幻の計画
…などなど茨城ならではの鉄道事情を網羅
【見どころ】Part.3 茨城で動いた歴史の瞬間
・水に恵まれた茨城に人が定住 権力が生まれる
・地方王権の誕生を示す県内最大の古墳・舟塚山古墳
・石岡に置かれた常陸国府とそれを取り巻く交通路の痕跡
・常陸で成長した武家の二大勢力 常陸平氏と佐竹氏
・源頼朝が佐竹氏・平氏討伐! 鎌倉御家人たちが入国
・長い不遇の時代を経て佐竹氏が常陸の覇者に返り咲く
・水戸で育った尊王攘夷思想 桜田門外の変や天狗党の乱に発展
…などなど、激動の茨城の歴史に興味を惹きつける
【見どころ】Part.4 茨城で育まれた産業や文化
・水戸藩に飲料水を運んだ地下水路・笠原水道
・東洋一の航空基地 霞ヶ浦海軍航空隊が置かれた街・阿見町
・2000万人超が来場した科学博、つくば万博の熱狂と跡地の変身
・鉱山開発と日立製作所の歴史
・原子力とともに歩んだ東海村の半世紀
・陸の孤島だった鹿島が臨海工業地帯になるまで
・野菜産出額日本一の街が茨城に!? 鉾田市で農業が盛んな理由とは
…などなど茨城の発展の歩みをたどる。
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