頼朝は鎌倉に幕府を開いたものの、3代将軍・実朝（さねとも）が暗殺されて源家将軍の血筋は途絶します。その後、執権北条氏が幕府の実権を掌握し、執権政治を確立しました。鎌倉時代中期には、そして、後鳥羽上皇が北条氏追討の軍を興すも、幕府軍はこれを退けます（承久の乱）。しかし、元寇や皇位継承問題を経て、再び反幕府の気運が高まると、後醍醐天皇が倒幕を計画します。後醍醐天皇に呼応した新田義貞に鎌倉幕府は攻め滅ぼされました。

足利尊氏が京に室町幕府を開くと、尊氏に与した佐竹氏は常陸国内で復権を果たします。しかし、室町時代には幕府と鎌倉公方（くぼう）（関東足利氏）、鎌倉公方を補佐する関東管領（かんれい）の関係が安定せず、常陸国全域は複雑な権力争いに巻き込まれていきます。

1467（応仁元）年、室町幕府管領家の家督争いに端を発し、幕府を二分する大乱が起きる（応仁の乱）と、それぞれの領国にも騒乱が飛び火します。これにより幕府の権威は完全に失墜し、全国的に戦国時代へと突入することとなります。

鎌倉幕府全盛期。常陸平氏は北条氏の被官として勢力を保ちます。佐竹氏は宇佐美氏や二階堂氏の支配下で存続していたようです。
『茨城県史 中世編』（茨城県、1986年）を元に作成。

この頃、関東には小田原を本拠とする後北条氏が進出してきて、関東管領上杉氏は長尾氏を頼って越後（新潟県）に落ち延びます。長尾氏は上杉の家督と関東管領職を継承し、当主の上杉謙信が関東の覇権争いに関与するようになるのでした。

佐竹氏当主の義重は上杉氏と結びつき、江戸氏や小田氏といった常陸国内の敵対勢力を下し、常陸国の大半を支配下に置くことに成功します。やがて、佐竹氏の北上を警戒する伊達政宗と対立。義重は兵力3万の南奥州諸侯連合軍を率い、人取橋（ひととりばし）（福島県本宮市）で伊達軍と激突します。佐竹軍は伊達軍を圧倒したものの、後北条氏に通じた江戸氏が常陸本国で挙兵する報が入り、撤退を余儀なくされます。以降、佐竹氏の目は後北条氏に向き、東北では伊達氏が勢力を拡大していきます。ですが、後北条氏に対する態度が明暗を分けることになり、豊臣秀吉の小田原征伐に参陣した佐竹氏は本領を安堵され、小田氏は所領を没収されてしまいます。その佐竹氏も、のちに徳川政権下では出羽（秋田県）へと転封されます。

このように常陸国内の支配者は、平安時代の末期からその時々の政権の都合に振り回されながらも、常にその存在感を示し続けてきたのです。

地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から茨城県を分析！

日本の各県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。茨城の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載！