茨城の古代史:縄文時代
やがて氷河期が終わって温暖化が進むと、世界的規模で海面が上昇します。これにより海面は現在よりもはるかに内陸まで入り込み、古代の関東平野には「香取の海」と呼ばれる広大な内海が出現します。霞ヶ浦、印旛沼(いんばぬま)、手賀沼(てがぬま)までがつながり、さらに香取海には鬼怒川が注いでいました。古代の茨城県域は、非常に豊かな水源をもつ土地でした。
温暖で四季の変化に富んだ自然環境のもとで、内海や河川流域に次第に人々が定住し、狩猟採集生活を行ったため、海岸には数多くの貝塚がつくられました。花輪台貝塚(北相馬郡利根町)、石畑遺跡(猿島郡五霞町)、城地貝塚(古河市)、森東貝塚(常陸太田市)などがその代表例として挙げられるでしょう。
このうち、花輪台貝塚からは、ヴィーナス型土偶が出土しています。この「花輪台のヴィーナス」は縄文早期のもので、同遺跡が存在した約9000~8000年前には縄文文化が花開いていたことがうかがえます。
茨城の古代史:弥生時代
県域に稲作を中心とする弥生文化が伝わったのは、紀元前100年~後100年頃のことです。弥生時代中期の女方(おざかた)遺跡(筑西市)や小野天神前遺跡(常陸大宮市)では再葬墓(さいそうぼ)が確認されています。再葬とは、遺体を一度埋葬して白骨化させたあと、改めて骨壺などに埋葬し直す埋葬方法で、とくに東日本を中心に広まった風習です。この時代に共同体が発展し、精神性や宗教的価値観を示す文化が発達していったのです。
村落共同体の規模が拡大すると、弥生時代後期には権力構造(政治的集団)が誕生します。権力者は古墳に葬られるようになり、畿内に興ったヤマト王権が東日本まで伸長してくると、舟塚山(ふなつかやま)古墳(石岡市)の首長のように、各地の首長はヤマト王権と関係を深めます。ヤマト王権はさらなる征夷策(東進)を進めるために中央集権化を進め、ヤマト王権の支配を受けた県域には常陸国(ひたちのくに)が成立。常陸国は、東進の前線拠点としての機能を果たしていくのでした。
茨城の古代史:総論
地理的な状況から、征夷を目的に東国に下向した者は現地で軍事貴族と化していき、それが武家となります。常陸国内では桓武平氏(かんむへいし)の流れを汲む常陸平氏と、河内源氏(かわちげんじ)の流れを汲む佐竹氏が台頭し、地域に根ざして勢力を拡大していきます。やがて武家は中央政権に抗うほどの力をもち、東国では平将門の乱が起きるのでした。
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【見どころ】 Part.1 地図で読み解く茨城の大地
・地形・地質総論 茨城県域の地質って?
・東の名峰・筑波山はもともと地下の巨大マグマの塊だった!?
・国内で2番目に大きい湖、霞ヶ浦はどのようにしてできた?
・壁面の岩に海底火山の証!名瀑・袋田の滝が誕生するまで
・平磯海岸の恐竜時代の地層から、アンモナイトや国内初のサメ化石!
・県南部で続々と化石発見! 茨城に生きたナウマンゾウ
・南北に約95m広がる大炭田、常磐炭田を生んだ地層と産業史
…などなど茨城のダイナミックな自然のポイントを解説
【見どころ】Part.2 茨城を駆け抜ける鉄道網・交通網
・特急「はつかり」「ひたち」が走る大幹線・常磐線
・第二常磐線構想で生まれたつくばエクスプレス
・奥久慈清流ラインの異名をもつ魅力あふれる水郡線
・めずらしい非電化通勤路線、関東鉄道常総線・竜ヶ崎線
・鹿島参宮鉄道に始まった、鹿島鉄道鉾田線の在りし日
・水戸~石岡を結ぶ計画も……幻の水戸電気鉄道とは?
・阿見線に加え谷田部線? 常南電気鉄道による幻の計画
…などなど茨城ならではの鉄道事情を網羅
【見どころ】Part.3 茨城で動いた歴史の瞬間
・水に恵まれた茨城に人が定住 権力が生まれる
・地方王権の誕生を示す県内最大の古墳・舟塚山古墳
・石岡に置かれた常陸国府とそれを取り巻く交通路の痕跡
・常陸で成長した武家の二大勢力 常陸平氏と佐竹氏
・源頼朝が佐竹氏・平氏討伐! 鎌倉御家人たちが入国
・長い不遇の時代を経て佐竹氏が常陸の覇者に返り咲く
・水戸で育った尊王攘夷思想 桜田門外の変や天狗党の乱に発展
…などなど、激動の茨城の歴史に興味を惹きつける
【見どころ】Part.4 茨城で育まれた産業や文化
・水戸藩に飲料水を運んだ地下水路・笠原水道
・東洋一の航空基地 霞ヶ浦海軍航空隊が置かれた街・阿見町
・2000万人超が来場した科学博、つくば万博の熱狂と跡地の変身
・鉱山開発と日立製作所の歴史
・原子力とともに歩んだ東海村の半世紀
・陸の孤島だった鹿島が臨海工業地帯になるまで
・野菜産出額日本一の街が茨城に!? 鉾田市で農業が盛んな理由とは
…などなど茨城の発展の歩みをたどる。
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