関東鉄道:常総線の始まりと成り立ち
常総線は、取手(とりで)駅から下館(しもだて)駅までの51.1㎞を結ぶ関東鉄道の主力路線です。1912(明治45)年6月に常総鉄道として設立され、1913(大正2)年11月に取手〜下館間が開業したのがその始まりです。
常総鉄道は、のちにバス会社16社を買収するなどし輸送力を拡大。1945(昭和20)年3月には筑波鉄道と合併し常総筑波鉄道となります。戦後は、常磐線が電化するまで上野駅への直通の列車が走るなど活況を呈し、1965(昭和40)年6月に鹿島参宮鉄道と合併、関東鉄道の常総線となりました。
その後、沿線の宅地化が進み常総線利用者は増加。1976(昭和51)年には複線化工事に着手し、1984(昭和59)年11月、取手〜水海道(みつかいどう)間17.2㎞の複線化が終了。当時、北海道などを除けば非電化複線が築かれるのは非常にめずらしかったようです。こうして可能になったラッシュ時の数分間隔での運転は、見事というほかありません。また車両は、従来車に加えて、1990年代からは自社発注の新型気動車を次々と投入、近代的な通勤路線として賑わっています。
関東鉄道常総線の路線
関東鉄道:竜ケ崎線の始まりと成り立ち
竜ヶ崎線は、龍ケ崎市西部の佐貫(さぬき)駅から同市中心地の竜ヶ崎駅までの4.5㎞を結ぶ短い路線です。常磐線佐貫駅は2020(令和2)年3月に龍ケ崎市駅に改称されますが、関東鉄道では以前のまま、改称されていません。
竜ヶ崎線は、1898(明治31)年に発足した龍崎馬車鉄道がその始まりです。実際、藤代(ふじしろ)〜龍ヶ崎間に馬車鉄道の敷設が計画されますが、のちに蒸気機関車による軽便鉄道へ変更。建設を阻む小貝川を渡らない佐貫を起点にした龍崎鉄道として、1900(明治33)年8月に佐貫〜龍ヶ崎間が開業します。1944(昭和19)年5月、龍崎鉄道は鹿島参宮鉄道へ譲渡され、1965(昭和40)年6月には関東鉄道の竜ヶ崎線となりました。
沿線は常総線同様に宅地開発が進み、通勤通学輸送を担うようになります。佐貫〜竜ヶ崎間は単線で交換設備はありませんが、全線を単行、朝夕は2両編成で往復します。また、全国にさきがけて1971(昭和46)年8月からワンマン運転が行われています。車両は常総線同様、1997(平成9)年から専用の新型車を導入していますが、毎週土曜日には従来車のキハ532形を運行するほか、第2・第4日曜日には龍ケ崎市のマスコットキャラクターをフルラッピングした「まいりゅう号」を運行、人気を博しています。
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・奥久慈清流ラインの異名をもつ魅力あふれる水郡線
・めずらしい非電化通勤路線、関東鉄道常総線・竜ヶ崎線
・鹿島参宮鉄道に始まった、鹿島鉄道鉾田線の在りし日
・水戸~石岡を結ぶ計画も……幻の水戸電気鉄道とは?
・阿見線に加え谷田部線? 常南電気鉄道による幻の計画
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【見どころ】Part.3 茨城で動いた歴史の瞬間
・水に恵まれた茨城に人が定住 権力が生まれる
・地方王権の誕生を示す県内最大の古墳・舟塚山古墳
・石岡に置かれた常陸国府とそれを取り巻く交通路の痕跡
・常陸で成長した武家の二大勢力 常陸平氏と佐竹氏
・源頼朝が佐竹氏・平氏討伐! 鎌倉御家人たちが入国
・長い不遇の時代を経て佐竹氏が常陸の覇者に返り咲く
・水戸で育った尊王攘夷思想 桜田門外の変や天狗党の乱に発展
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・鉱山開発と日立製作所の歴史
・原子力とともに歩んだ東海村の半世紀
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