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ナウマンゾウの化石産出地としては国内有数の茨城

じつは茨城県は、国内有数のナウマンゾウ化石の産出地です。霞ヶ浦湖底や周辺の台地など県南部を中心に数多く報告されており、利根川を挟んで千葉県側の印旛沼(いんばぬま)周辺の台地からも見つかっています。

とくに、花室川(はなむろがわ)の河床からは、ナウマンゾウにとどまらず、オオツノジカやニホンアシカなど大型哺乳類化石が次々と発見されています。合わせて、モミやシラカバなどの植物化石も採取されており、当時の気候を考えるうえで重要な資料となっています。

花室川はつくば市から土浦市、阿見町(あみまち)を経て霞ヶ浦に注ぐ延長10.6㎞の一級河川です。筑波研究学園都市の建設にともない1970年代に河川改修が行われ、河床が約5m掘り下げられました。その結果、更新世末期の地層が露出し、化石が次々と見つかるようになりました。2002(平成14)年8月には、中流域に架かる永田橋の近くでナウマンゾウのほぼ完全な左上顎第3大臼歯の化石が見つかっています。これは、歯冠(しかん)の長さが30㎝を超える最大級のものでした。

なお、花室川のナウマンゾウ化石を含む地層は、約3万5000〜2万5000年前に形成された、更新世後期の桜川段丘堆積物に相当する緩斜面堆積物です。この時代はナウマンゾウが絶滅する直前であり、流域で産出する化石は非常に貴重な試料となっています。

茨城県ではこれまで、県南を中心に17市町村からナウマンゾウ化石が見つかっています。もっとも多く産出しているのは花室川流域で、それに次ぐのが霞ヶ浦・北浦の沿岸部です。
出典:ミュージアムパーク茨城県自然博物館(展示パネル)

ナウマンゾウだけじゃない!常陸大宮で出たステゴロフォドン化石

2011(平成23)年12月、常陸大宮市野上で、上下2本ずつ牙がついたステゴロフォドンの頭蓋骨の化石が見つかりました。発見したのは、茨城県自然博物館のジュニア学芸員(当時、高校2年生)。ステゴロフォドンは古代ゾウの一種で、新生代中新世〜鮮新世(約2303万〜259万年前)の地層から、日本を含めた南〜東アジアでのみ見つかっています。
茨城県内では1950年代〜1980年代、常陸大宮市周辺から歯や顎骨の化石が見つかっていたものの、野上の化石はそれとは比にならないくらい良好な状態だったのです。化石のクリーニングは、約15カ月かけて慎重に行わました。その結果、原始的な特徴を残しつつも、より新しい年代に生きたステゴドンがもつ「新しい特徴」を発見。新旧の特徴を併せもつ古代ゾウで、進化の過程を知る上できわめて貴重な発見となったのです。

花室川両岸には約5万〜1万7000年前の更新世に堆積した砂礫層が分布し、そこからナウマンゾウを筆頭に哺乳類の化石が多産します。とくにが集中しているのは、中流域の永田橋(つくば市)と桜ニュータウン南東部(土浦市)付近。
出典:ミュージアムパーク茨城県自然博物館

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地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から茨城県を分析!

日本の各県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。茨城の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!

【見どころ】 Part.1 地図で読み解く茨城の大地

・地形・地質総論 茨城県域の地質って?
・東の名峰・筑波山はもともと地下の巨大マグマの塊だった!?
・国内で2番目に大きい湖、霞ヶ浦はどのようにしてできた?
・壁面の岩に海底火山の証!名瀑・袋田の滝が誕生するまで
・平磯海岸の恐竜時代の地層から、アンモナイトや国内初のサメ化石!
・県南部で続々と化石発見! 茨城に生きたナウマンゾウ
・南北に約95m広がる大炭田、常磐炭田を生んだ地層と産業史

…などなど茨城のダイナミックな自然のポイントを解説

【見どころ】Part.2 茨城を駆け抜ける鉄道網・交通網

・特急「はつかり」「ひたち」が走る大幹線・常磐線
・第二常磐線構想で生まれたつくばエクスプレス
・奥久慈清流ラインの異名をもつ魅力あふれる水郡線
・めずらしい非電化通勤路線、関東鉄道常総線・竜ヶ崎線
・鹿島参宮鉄道に始まった、鹿島鉄道鉾田線の在りし日
・水戸~石岡を結ぶ計画も……幻の水戸電気鉄道とは?
・阿見線に加え谷田部線? 常南電気鉄道による幻の計画

…などなど茨城ならではの鉄道事情を網羅

【見どころ】Part.3 茨城で動いた歴史の瞬間

・水に恵まれた茨城に人が定住 権力が生まれる
・地方王権の誕生を示す県内最大の古墳・舟塚山古墳
・石岡に置かれた常陸国府とそれを取り巻く交通路の痕跡
・常陸で成長した武家の二大勢力 常陸平氏と佐竹氏
・源頼朝が佐竹氏・平氏討伐! 鎌倉御家人たちが入国
・長い不遇の時代を経て佐竹氏が常陸の覇者に返り咲く
・水戸で育った尊王攘夷思想 桜田門外の変や天狗党の乱に発展

…などなど、激動の茨城の歴史に興味を惹きつける

【見どころ】Part.4 茨城で育まれた産業や文化

・水戸藩に飲料水を運んだ地下水路・笠原水道
・東洋一の航空基地 霞ヶ浦海軍航空隊が置かれた街・阿見町
・2000万人超が来場した科学博、つくば万博の熱狂と跡地の変身
・鉱山開発と日立製作所の歴史
・原子力とともに歩んだ東海村の半世紀
・陸の孤島だった鹿島が臨海工業地帯になるまで
・野菜産出額日本一の街が茨城に!? 鉾田市で農業が盛んな理由とは

…などなど茨城の発展の歩みをたどる。

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