更新日: 2024年1月14日
宮城県の名所には和歌に詠まれた地が多数!歌枕の地として京都・奈良に次ぐ!?
宮城県には、古くから和歌の中で詠まれてきた歌枕の地が多数存在します。
時代を超えて、今なお人々を惹きつける名所・旧跡を見てみましょう。
宮城の名所と歌枕
平安時代の歌人で、作歌のための手引書などを手掛けた能因法師(のういんほうし)は、陸奥を京都、奈良に次ぐ第三の歌枕の国として位置づけていたといいます。
しかし、実際には陸奥に訪れることなく詠まれた歌も多数ありました。これには、古代・中世の頃、陸奥が理想郷とされていたからという説があります。ここでは、代表的な宮城の歌枕を紹介します。
宮城の名所と歌枕①:あねは(のまつ)【姉歯(の松)】(栗原市)
金成姉歯にあった松。小野小町の姉または松浦佐用姫(まつらさよひめ)の姉の墓上に植えた五葉松と伝わります。
宮城の名所と歌枕②:あぶくまがわ【阿武隈川】(県南部)
「阿武隈に 霧立ち曇り明けぬとも 君をばやらじ 待てばすべなし」(古今集・東歌)で陸奥の地名として認識されるようになりました。
宮城の名所と歌枕③:うきしま【浮島】(多賀城市)
多賀城跡の東、浮島神社が鎮座する丘。平安時代、屏風絵の題材でもありました。
宮城の名所と歌枕④:うやむやのせき【有耶無耶の関】(川崎町・山形市)
陸奥と出羽の国境であった笹谷峠のあたりにあった関。「むやむやの関」「もやもやの関」とも。
宮城の名所と歌枕⑤:おぐろざき【小黒崎】(大崎市)
小黒ヶ崎山を指し、「美豆の小島」とともに詠まれました。
宮城の名所と歌枕⑥:おじま(のいそ)【雄島(の磯)】(松島町)
松島に浮かぶ島。108の岩窟があったといわれ、現在は半数程度が残ります。島と本土を結ぶ朱塗りの「渡月橋」は東日本大震災により流失しましたが、現在は復旧しました。
宮城の名所と歌枕⑦:おだえのはし【緒絶の橋】(大崎市)
古川三日町と古川七日町との境を流れる緒絶川に架かる橋。男女の縁が切れることを詠んだ歌が多くあります。
宮城の名所と歌枕⑧:くりこまやま【栗駒山】(栗原市)
宮城、岩手、秋田の3県にまたがる成層火山。標高1626m。岩手では須川岳、秋田では大日岳と呼ばれています。栗駒山の名は、山の残雪が駒の形になった時に苗代に種をまく習慣に由来するといいます。
宮城の名所と歌枕⑨:しおがま(のうら)【塩竈(の浦)】(塩竈市)
古代、多賀城の外港として機能し、また製塩地としても知られ、陸奥を代表する歌枕となりました。塩竈の浦の別称として「千賀の浦」「千賀の塩竈」もあります。
宮城の名所と歌枕⑩:すえのまつやま【末の松山】(多賀城市)
宝国寺の裏手にある2本の松がそびえる丘。岩手県の浪打峠を指すという説もあります。
宮城の名所と歌枕⑪:そでのわたし【袖の渡し】(石巻市)
市の北部の北上川にあった渡し場。義経が船賃の代わりに片袖をちぎって船頭に渡したという伝説が残っています。
宮城の名所と歌枕⑫:たけくまのまつ【武隈の松】(岩沼市)
植え継ぎにより根元から二木に分かれているため、二木の松とも呼ばれています。現在は「二木の松史跡公園」内に7代目とされる樹高約17mの松がそびえています。
宮城の名所と歌枕⑬:(のだの)たまがわ【(野田の)玉川】(多賀城市・塩竈市)
古歌に詠まれた六玉川の一つで、塩竈市大日向から多賀城市内を通り、砂押川に注ぎます。
宮城の名所と歌枕⑭:つつじがおか(つつじのおか)【榴が岡(榴の岡)】(仙台市)
榴岡天満宮や榴岡公園辺りを指し、かつてはツツジの名所でしたが、現在は桜の名所となっています。
宮城の名所と歌枕⑮:つぼのいしぶみ【壺碑】(多賀城市)
もともとは陸奥にあったとされる大きな石を指しましたが、江戸時代以降は多賀城碑を指すようになりました。
宮城の名所と歌枕⑯:とふ(のすがごも【十符(の菅薦)】 ) (仙台市・利府町)
東北で生産された、編み目が十筋ある菅の敷物。
宮城の名所と歌枕⑰:なとりがわ【名取川】(名取市)
宮城県中南部を東流する一級河川。仙台市と名取市の境で仙台湾に注いでいます。恋歌が多くあります。
宮城の名所と歌枕⑱:まがきしま【籬島】(塩竈市)
塩竈湾内に位置する無人島。鹽竈神社の末社、曲木神社が祭られています。
宮城の名所と歌枕⑲:まつしま【松島】(松島町)
松島湾内の島々。別称は「松が浦島」。
宮城の名所と歌枕⑳:みづのこじま【美豆の小島】(大崎市)
江合川にある小島。かつての面影がなくなっていましたが、近年、地元を中心に整備活動が行われています。
宮城の名所と歌枕㉑:みやぎの【宮城野】(仙台市)
多賀城に向かう道筋にあたり、軍事上の拠点でありました。古くは原野が広がり、萩の名所として知られました。
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