奥羽越列藩同盟の立ち上がり
勤王勢力の闊歩に業を煮やした佐幕派の諸候は、会津・桑名の両藩を中心に、徳川慶喜が居を移していた大坂城から出兵。1869(慶応4)年1月(旧暦)、京都近郊の鳥羽と伏見で薩摩、長州などの勤王軍と対峙しました。これが、鳥羽伏見の戦いです。
兵力は幕府軍が圧倒的であったにもかかわらず、瞬く間に決着がつきました。幕府側の惨敗です。徳川慶喜は夜陰にまぎれて江戸へと逃げ帰り、勤王側に恭順の意を示しています。
一転して立場が悪くなったのは、会津藩と庄内藩であった両藩は合同で勤王軍(新政府による鎮撫軍)と戦おうとしましたが、仙台、米沢の両藩が水面下で説得。会津藩は一旦、降伏すると決めましたが、鎮撫軍の参謀・世良修蔵(せらしゅうぞう)(長州藩士)が譲らず、討伐を主張。戦の終結はご破算になったのです。
その横暴さに憤った仙台藩士が、世良を暗殺したのが同年4月のことです。これで状勢は一転。同年5月3日には、北越6藩を加えた31藩が奥羽越列藩同盟を結び、鎮撫軍と戦うことになりました。戊辰戦争の始まりです。
奧羽越列藩同盟
戦争に反対していた仙台藩主慶邦は、奥州諸藩に協力を呼びかけ、新政府軍に向けて解兵の嘆願を行いました。
奥羽列藩同盟と戊辰戦争
奥羽列藩同盟を結んだ5月以降、各地で戦いが始まりました。
北越の各藩は黒田清隆らの鎮撫軍と交戦し、8月には長岡藩が敗退して河井継之助(かわいつぎのすけ)らが会津に転戦、落命しています。
東北では、板垣退助が参謀を務める鎮撫軍が白河口に押し寄せました。その勢いは止められず、会津城は陥落。
秋田藩が寝返って鎮撫軍を領内に引き入れたため、庄内藩はその討伐に向かいました。結果として、奥羽越列藩同盟側は兵力が分散。9月には同盟が崩れて、仙台藩も庄内藩も降伏し、戊辰戦争が終結したのです。
奥羽越列藩同盟の白河口の戦い
奥州街道の要所である白河に、奥羽越列藩同盟軍による防衛線が張られました。新政府軍は三方からの包囲攻撃を仕掛け、白河城を攻め落としたのです。
東北各地で激しい戦いが起こり、敗れた奥羽越列藩同盟藩は次々に降伏していきました。仙台藩も各地に軍を派遣しましたが、多大な戦死者を出して最終的に降伏しました。
奥羽越列藩同盟は武士の魂を持ち続けた
仙台藩をはじめとした奥羽・北越の各藩は、最後まで死力を尽くして戦いました。榎本武揚が率いる旧幕勢力は箱館へ去り、最後の決戦に臨むことになります。新選組の生き残りであった土方歳三は、会津で戦ったのちに箱館で銃火に倒れました。
歴史の流れを見てみれば、戊辰戦争の口火を切ったのは、仙台藩であったかもしれません。権謀術数を尽くして錦の御旗を掲げた新政府軍の欺瞞に、東北・北越の諸藩は腹を据えかねたのでしょう。武士の魂を持ち続けていたのは、奥羽越列藩の側でした。
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